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モモが食べたい。そのに。

モモをネットで調べると
チベット/ネパールでよく食べます。
モモ屋さんがたくさんあります。
みんな好きです。
という情報に並んで、
「特別食」です。
と書いてある。

多様な文化の交わる土地で、
信仰や習慣が違って
全く同じものは食べられなくても、
同じテーブルを囲んで「モモ」を食べられる。
そういう意味でも、
おうちで食べるモモは
特別なおもてなしの食事なんだろう。

さて、中になんでもいれてよい
というのはたのしい。
四種類の肉を牛から順に切っていく
肉は包丁を押し付けても
繊維が伸びるだけなので、
きちんと刃を引いて
繊維を断ち切るように。
牛が荒いとボソボソするので、
細かく、細かく。
鶏は小さく切り分けつつ、
血の残っている部分と
黄色い脂肪を徹底的に排除する。
豚は、大まかに切れていればいい。
脂肪が柔らかいので、
多少切れていなくても
どうせ手の熱で溶ける。
いい加減みじん切りに飽きた。
ちょっと塩を入れて、
何肉かわからなくなるまでこねる。

各種スパイスをざぱっと入れて、
雰囲気でパクチーを買ってきたので、
ばさー。
雰囲気でクレソンも買ってきたので、
ばさー。
キャベツとトマト、玉ねぎ、など。
刻む。よく刻む。
混ぜて、夏なので冷蔵庫へ。

普段なら、ここで皮に行くのだけど、
先にソースを作る。
モモアチャールと言うらしい。
食べたことのあるモモは
チリソースだったけど、
いろんなレシピを見比べてみると
どうやらトマトソースをベースに
たくさんスパイスを入れたもので、
特にすりゴマをたくさん入れるそうな。
へぇぇぇ。
ゴマを炒ってすってみる。
これが。
トマトソースに。
へぇぇぇぇ。

モモアチャールを煮込んで、
蒸し器にお湯を沸かして、
さぁ目をそらしていた皮を作ろう。
餃子の皮のレシピはだいたい
薄力粉と強力粉を混ぜることになっている。
薄力粉が入ると、
グルテンの粘りが弱くなるので
よくこねなくてはいけない。
グルテンの伸びが切れてしまわないように
注意しながらすべすべになるまでこねて、
こねて、こねて。
これがけっこう大変。
強力粉だとここら辺は雑でいい。
ではなぜ、薄力粉を混ぜるか。
伸ばしやすいからです。
成型が楽なんです。
薄力粉が入れば、
ちっちゃい綿棒で片手でコロコロするだけで、
すぐに餃子の皮になる。
強力粉だとそうはいかない。
手打ちうどんの店なんかで
たまに実演をしている店があるけれど、
あの職人さんが渾身の力を込めて
全身を使って伸ばしてる、
おうどんですらたいがい中力粉。
量は少なくても、
強力粉の皮を伸ばすには
すごい力が必要だし、
伸びたはずの皮は
手を離すとあっという間に縮む。

同じ方向からのぶつ切りだと丸めにくいので、
筒状に伸ばしたタネを切り分ける時には、
切るごとに転がして、
右と左の断面が
同じ方向にならないようにするとよいらしい。
タネを丸めたら、
潰して縁から中央に向かって皮を伸ばす。
こうすることで、具を置くことになる真ん中に
ほどよい厚みがつくことになる。
モモの皮はとても薄いらしいので、
頑張って大きく、薄く。
そして伸びたら間髪を容れずに
具をのせて一気に包む。
ぼーっとしてると縮むから。
何も考えず、餅つきの合いの手くらい
素早く具をのせて、包み切る。
形は、なんでもいい。
大切なことは
一、破かない
一、具をたくさん入れる
の2つだけ。

家で餃子を食べる時に
「わー、綺麗な形!芸術的で食欲が湧くわ」
などと思うだろうか。
私は思わない。
餃子の時点でうまそうなんだから、
家の餃子がどんな形をしていようと
知ったことではない。
そんなことよりも、
肉汁をきっちり閉じこめ、
絶対に逃さないことの方が100倍大事。
指に脂がついていると
皮同士がくっつかなくなってしまうので、
具に触っていない指で包んで、
どこも破れてないかちゃんと全体見る。
手作りの皮はどんだけでも詰め込めそうな
気配がするので、
その気配に従ってたくさん具を入れる。
破れてなくて、
中身がぎっちり詰まっていれば、
もう文句を言われる筋合いはどこにもない。

ネットの情報によると、
どうやらネパールのモモは餃子型のようだ。
しかし、早く包まないと縮むので
小籠包・マンドゥ型にする。
大きめの皮の縁をピャッと集めて、
ぎぅとつまんで、
上に余った部分をちぎり取るだけ。
簡単!
そのために大きく伸ばしてんだから。
ちぎったあまりはまとめて麺状にしておくと
後々使いやすい。
乾燥してまとまらないようだったら、
ちょっと濡れ布巾で包むとすぐ融合する。

食べる分だけ包み終えたら、
さっさと蒸し始める。
蒸している間に保存用を作って、
片栗粉を敷いたバットに入れて
すぐ冷凍してしまう。

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