見出し画像

霧神楽と場踊り

8月12日18時の回。
キナーレ(モネ)の、エルリッヒの池に霧神楽が立ち上る中で踊る、みたいな。
*
記録映像も撮ってたから、どっかでそれは出るのかもしれないけど。
なんとなくYouTubeで観たことあるくらいで、あんまり詳しいことは知らんけどなんか絶対面白いだろうなって行ったら泣いたって話。
*
ここからは、ネタバレ?というか、私はこう感じた、こんな風に見えた。っていう備忘録みたいなもの。
*
*
*
*
*
*
*
男は歩いていた。先のよく見えない道を、手探りに歩いては、ひとつ休み、また、歩いていた。
男はひどく若いように見える。ものすごくつかれているように見える。何か、とても大きなものを抱えているのかもしれない。男は、少しずつ、少しずつ、歩みを進める。
*
どこからか、霧が立ちこめてきたようだ。男は少しずつ、少しずつ、霧の深い道を歩く。すこし道に迷いながら、霧に飲み込まれながら。
*
霧は、男を飲み込んでいく。男は何故か自分を飲み込まんとする霧に対して、少しずつ怯えた表情になっていく。霧は、男にとって霧以上のものに見えているようだ。男は逃げ惑うように霧から離れようとするが、霧は男の元へと、男をその身に隠すように濃度を増していく。やめてくれ、もうやめてくれと、男は必死になっている。
*
私は、それをただ観ていることしか出来ない。何故彼を助けに行くことが出来ないのか。彼は目の前にいるのに、私の姿は彼には見えていないのだ。私も、少しずつ霧に飲まれていく。
*
霧から逃れられなかった男は、いつの間にか霧に操られるように踊りくるっている。自分の意思に反するように、あんなに好きだったことを無理やりにやらせられているように、男は踊る。苦しそうに踊る。
*
時折霧から逃れようとする男だったが、やがてその表情から苦悶が消えたように思えた。まるで霧と一体化してしまったのか、彼が霧になってしまったのか。彼はまるで自分の意思かのように、呼吸をするように、それが当たり前のように踊る。大きな風が吹き、霧神楽も男に踊りを促すように、深く、大きく、広がりあふれていく。
*
男の踊りは、少しずつ、身軽になっていくような気がした。ぎこちなかった身体の運びが、まなざしが、少しずつ、霧と共になることで、力強くなっていくような気がした。あんなに怯えていた霧とひとつになった男は、初めからは想像もつかない程に、凛々しく力強い壮年へと変わっていた。
*
やがて霧は消えた。男は、はたとした表情で辺りを見回すが、あんなに立ちこめていた霧はどこにもない。あんなに怯えていたものは、きっと自分の弱さだった。幼さだった。歳を重ねた男は、あの頃の自分とひとつになった男は、もう霧に怯えることは無いだろう。彼は一度だけ後ろを振り返ると、また歩き出した。
*
*
*
*
*
私には、霧が目をそらしたい自分自身で、その自分と向き合い、受け入れることで、本来の自分を取り戻す。よりよい自分に変わっていく。
みたいなストーリーに見えて。
なんか、ゲド戦記の影との戦いみたいな。影=霧みたいな。

逃げても逃げても追いかけてくる、だって自分だから。向き合い、苦痛を伴いながらも受け入れていくことで、ものすごいぱわーを自分の内から発することが出来るみたいな。でもそうやって成長したんだよ、ってことを、自分ではあまりよく分かってない。でも確かに霧とひとつになった自分は、霧に出会う前の自分とは違うみたいな。
*
セリフないし、音と目の前に起きた出来事で完結してしまうので、多分人によってどんな風に捉えたかとか感じたかは全然違うと思うのだけど。
私は、その生まれ変わるような変化、成長みたいなのが、ものすごく刺さって、なんか、たまらなくなって途中からめちゃくちゃ泣いてたんだけど。隣の人も終わったあと鼻ぐすぐすしてたから、まあ、色んな人が色んな感じ方をしたんじゃないかなと。
*
なんか、そんな感じ!!すごかったです!!また生で観られればいいなって思った!!!いいエネルギーみたいなのをたくさんもらったので、やっぱり生の芝居とか舞台とかっていいなって思いました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?