空想の世界へ

子供の頃に比べたら、大人になった毎日は少し生きづらい。仕事して、趣味をして、お金もらって、税金とかの支払いして。年金に期待できないから副業を調べたり、将来を考えて保険を調べたり。
それが大人になるということ。何も考えずにその日一日を全力で生きていけば、明日がやって来る子供の頃とは違う。全部違う。出来ることもたくさん増えた、会いたいと思ったら会いに行けるようになった。でも、なんだか息ができないなとかたまに思う。

最近、真面目にカメラ始めた。真面目に、っていうのは、きれいだなー!スマホでカシャ!じゃなくて、カメラを持って、きれいだな、特にこの色がきれいだからここを撮ろう、とか考えて撮るから。仕事場を出て車までの数メートルもきょろきょろしてしまう。ここいいな、とか、ここの花咲いたら撮りたいなーとか。今までも見てたはずなのに、すごく明るく見える。光ってる気がするのが不思議。今までも見てたのに、自分の目ってただのガラス玉だったのかしら。

子供の頃は何もかも面白くて仕方なかった。考え事ばっかしてた。目の前のことをやりながら、頭の中では全然それのことなんて考えてなかったのかも。故意に物隠しに遭ってたのに、全然知らなかった。数年後に友達から言われて知った。友達と遊んでるのは楽しかった。でもその子の家の犬の名前なんてどーでも良かったんだと思う。かわいいねーって言いながら、犬ってうさぎとかやぎとは違うにおいがする。とか考えてた。多分。

本を読むのがすきだった。学生時代が終わるまでは、貪るように読んだ。最近は読めてない。読みたいけど、まとまった時間を作るのって大変。ノンフィクションも、歴史も、発掘調査の記録も、外国のファンタジーも読んだ。大人になって、幾つかアニメ映画になって、不思議な気持ちになった。全部同じ会社が作ってくれた。頭の中で空想したイラスト、声、空気とはまた違うその世界は、それはそれで面白かった。絵のない方が好きだった。想像するのがすきだった。作者が提示した容姿、声色、ひとみのつよさを、もくもく想像した。現実より、本の中にいるほうが、幸せだったかもしれない。

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