見出し画像

「進撃の巨匠 竹内栖鳳と弟子たち」@福田美術館

大阪に行く用事があったので、ついでに気になっていた展示を見に京都へ。京都を離れてから2年経っていて、久々に来た嵐山は新しい店が出来て少し新鮮な気持ちになった。

竹内栖鳳の絵は何度か見たことがあるけれど、今回の展示で気になる作品がいくつかあったのでそれについてまとめてみる。
福田美術館はほとんどの展示が撮影OK・SNSアップOKなので、自分が気になった作品を撮影して後で見返せるのでありがたい。

雪月花

これは川合玉堂・横山大観・竹内栖鳳がそれぞれ描いた三幅対で、展示されている中でも一番惹かれた。
いろんな展示を見に行った際、気になる画家をメモしていて、去年見た展示で川合玉堂の『老松蒼鷹』『峰の夕』と横山大観の『旭日』がその中に入っていた。
つまり、この2人は元々好きな作品があって、そこに今回のメインである竹内栖鳳がいるとなれば嫌いな訳がない。
絵の説明でも「当時三巨匠の豪華共演」と書かれていて、たしかにその通りだ。
私は特にこの三幅対の中で、右幅の竹内栖鳳の構図の切り取り方に目がいった。

この掛け軸ではメインの花である桜部分が見切れている。
この掛け軸だけ見ていると不自然な印象だ。
なぜ桜がこんなに左によっているのだろう? しかもこの桜をじっくり眺めると、丘の緑や崖の土色に対して詳細に桜が描かれており、やはりこの掛け軸のメインは桜の部分なのだろうと思う。

でもこの作品は三幅対で一つ。
左幅に掛かっている川合玉堂も左下に重心がなっていて、中央の横山大観に目線がいくようになっている。
全体で捉えると左右に余白があり、中央に重心がある構図になっていて、共演だからこその技を感じた。
とても気に入って、閉館間際で人がいなかったので何度もこの絵の前を往復してしまった。

野雀

可愛らしい雀の絵に惹かれるものがあった。
見れば見るほど愛らしく見えてくる。
ふくふくと肥えているわけでもないのに、色の濃淡で表現された胸毛、嘴の下から胸元にかけての黒い毛の色合い、スッと伸びた尾。
シンプルだけど野雀対する愛情が伝わってくるような印象を持った。
絵に添えられた説明いわく、野雀は竹内栖鳳の最も愛した画題らしい。

春日野

これは構図が気に入っている。
京都にいた頃、仕事に疲れたり悩みがあるとよく奈良に足を運んで鹿を眺めにいった。
なんとなくその時に自分から見た鹿を思い起こす構図だなと思った。
後ろを見るたびに首を回す鹿の感じが今にも動き出しそう。

また、近くで見ると、薄く塗られた墨の上に細かな毛が書かれていて、鹿の一見柔らかそうに見える毛も、近く寄ると固くピンと立っている、そういった鹿らしさが描かれているのも印象的だった。

弟子たちの作品

展示のテーマには「弟子たち」とあり、竹内栖鳳に連なる弟子の作品も展示されていた。
その中で気になったものについても少し触れてみる。

麗日 (西山翠嶂)

この絵は「正午の牡丹」を描くように言われて描かれたもの。
牡丹をメインにせず、「正午」を表現するために陰影を強めるのでもなく、猫の目を細めることで表現するのにハッとさせられた。
言われたものを書くのではなく、どう表現すればテーマが伝わるのかを考える。
この考えは仕事にも通じるものがあるなと思った。

墨絵牡丹図 (村上華岳)

牡丹の花びらの透けるような濃淡が気に入っている。

牡丹の今にも風に揺れそうなふわっと柔らかな花弁、葉はフラットな印象なのがより牡丹の部分を際立たせているように感じる。

展示を見て

いろんな展示を見ていると、まだまだ知らない芸術家に出会ったり、自分の好きな方向性や仕事で活かせる部分が見つかって面白い。

展示とは関係ないが、今回iPhoneで純正以外のカメラアプリで撮ったところ、改めて写真を見返しているとすべて歪んでいてちょっとショックだった。アプリの問題なのかな。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?