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絵 センス 磨き方[検索]


みなさん、絵のセンスってどうやって磨いてますか?(突然の難題)

センスを磨く、難しい。センスって何?!
そもそも流行に敏感にならないといけないわけでしょ?ファーブーツ見て「バッファローマンじゃん」とか思ってるような人間がセンスを語るなどお門違いハリケーンミキサーもいいところですが、同じように「センスって何?」と思っている誰かの役に立つかもしれないので、スーパー我流・センスの磨き方について書いてみます。

※絵で食ってる人間でもないしフォロワー4桁以上いる人間でもありません あくまで我流の備忘録だよ




■センスはどうやって磨くのか

まず、「磨く」と表現すると“そのへんに落ちてる石ころをむちゃくちゃ研磨してダイヤモンドにしないといけない”感が出てしまうので、言い換えます。

『引き出しを増やす』

これです。
とりあえずハードルの高さはすこし和らぎました。

センスの良い人は、間違いなく引き出しが多いです。
ファッションと同じです。半裸にファーブーツではマジでバッファローマンになってしまいますが(わからん人はバッファローマンで検索してね)うまいことコーディネートすると綺麗なお姉さんが出来上がります。センスの良い人は手持ちの豊富な引き出しからいろいろ引っ張ってきて、適材適所のトータルコーディネートをするわけです。この服を着るならアクセサリーはこれ、このシーンにふさわしい上着はこれ、この靴を履きたいから他はこうしよう、みたいな。

そしてセンスには方向性があります。
方向性が定まってくると、自分の好みにしっくりくるアイテムのみを揃え、似合わないものは手放します。ゆったりしたシルエットのカジュアルが好きな人はヒョウ柄の短パンとか履きませんものね。

ちょっとファッションで例えすぎたけど、引き出しの端から端まですべてを使うのではなく、数多のいろんな要素から必要なものを選び組み合わせてうまくまとめる力、それがセンスの良さです。(たぶん)


絵も分解すると、いろんな要素から出来上がっています。
色の選び方、主線の引き方、髪の塗り方、背景、意図的な視線の誘導など、まとまっているから一枚の絵に見えますが、細かく注目して見てみると、ところどころに特筆すべき要素が見えます。


で、センスはどうやって磨くのか?

答えは『引き出しを増やす』です。



■引き出しを増やすにはどうするか


普段からアンテナを張っておく必要があります。
…なんて回りくどい言い方しても仕方ないので単刀直入に言います。
他からパクります。

聞こえが悪いですが、いわゆるトレパクみたいな意味合いではありません。
要素を盗むというか、いろんなところからパクります。

具体的にどうするかというと最初の「普段からアンテナを張っておく」に戻るんですが

とにかく「いいなぁ」と思った絵・写真・デザインを保存しまくり、すべて同じフォルダに放り込んでおく。

以上。



目の描き方、太さ、背景のデザイン、影のつけかた、構図、文字の置き方、カラーバランス、絵柄好き、なんでもかまいません。とにかく参考になりそうなポイントがあれば、スクショなり保存なりしてフォルダに入れる。
私はこれを参考フォルダと名付けてます(そのままやん)

基本なにかしらグッときたら保存していいのですが、「主線はこんな色でもいいんだ」「このレイアウトは自分じゃ思いつかない」「この構図挑戦してみたい」「こういう色の空を描いてみたい」というふうに、見返したときになぜこれを保存したのか思い返せる程度に引っかかりがあるとなおよいです。

絵が上手い人の絵はもちろんのこと、CDジャケット、海外のレトロなポスター、赤ちゃん向けの絵本、お菓子のパッケージ、企業のおしゃれなWebサイト、漫画の表紙、ヴィレヴァンに売ってそうなステッカー、お笑いライブのフライヤー、アニメのキービジュアル集合絵、すごいコスプレ写真、バンドのアー写、Twitterで検索した知らない学生たちの自撮りなど、もうとにかく、インターネットの海に漂っているものはなんでも使います。これを読んでるあなたのあげた写真が知らないうちに私の参考資料になってるかもしれません。

で、描いてるときに「背景どうしようかな」「線の色どうしようかな」「構図どうしようかな」「影のつけ方どうしようかな」とか迷ったら、このフォルダを開いてヒントを探す。保存してある画像をじっくり見て分解し、「背景の描き方、この要素は落とし込めるかも」と思ったら、取り込む。そんな感じ。繰り返すけどまるまるトレパクはダメですよ。

先ほども申し上げた通りセンスには方向性があるので、自分に合わない・描いてても楽しくないような要素を無理に取り込む必要はありません。チャレンジはしてみてもいいかもしれませんが、そもそもグッときて保存したものは自分の描きたい方向性に近しい何かがあるはずなので、方向性を捻じ曲げない範囲で自分の絵をコーディネートしていこう!イェー!



■参考例

参考フォルダに助けられた絵、思い当たる例がいくつかあったので載せてみます。描いた絵自分で解説するの照れくさいな…


ぺこぱのラジオにミルクボーイがゲストで来た回の絵
(芸人のファンアートだよ)

描き始めの構想
・ミルクボーイ、描きやすい顔立ちなのでデフォルメ映えする
・楽しい回だったので楽しそうな絵にしたい

ミルクボーイのネタといえばコーンフレーク…というわけで参考フォルダにあった海外のシリアルパッケージから発想を得ました。シリアルにピッチャーからミルクを注いでる構図ですが、ミルクボーイのミルクとコーンフレークに必須のミルクがうまいことダブルミーニングぽくなってラッキー。
PEKO・MILKをそれぞれ強調したのは商品名ぽくて字面がよかったからです。ぺこぱのラジオにゲスト出演だったので、なんとなく遊びに来た感も出てると思います。ミルクボーイの二人は舞台衣装の色合いが落ち着いてるので、ブラウン寄りのレトロな色味&紙っぽいテクスチャをかけました。シリアルパッケージの箱っぽさもアップ。

ちなみにこのラジオは映像配信もあり実は全員私服でしたが、ノイズにしたくなかったので二組とも宣材写真そのままの舞台衣装にしました。

参考フォルダのおかげでぽんぽんと発想がまとまりすぐ描けた覚えがあります。こうやって要素のピースが次々ハマっていく感じは楽しくてクセになります。



エミちゃんと仲間のダンサーたち
(DDRのキャラクターだよ)


描き始めの構想
・アクスタ絵でお出しされた数年ぶりの新規衣装エミを描きたい
・ピンク寄りの肌色を使いたい

バストアップの人物絵を描くときは、拙くても画面内にどうにか「手」をねじ込むようにしてます。(キャラの特性や状態での都合を除いた手指が見えない構図は “あ、描けないんだな” 感出てしまうとどこかで学んだ)

ただ正面からの固定カメラ目線絵だとだいたいパターン化してくるのが悩みどころです。自分の絵、真正面ピースしてる絵とか異様に多いんよな。そもそも未だにちゃんと描けてない。構図の引き出しまだまだ少なすぎ草。マヨネーズかけて食うたろか。

しかし!ど真ん中にいざ描いてみると衣装が柄なし青無地、かつエミちゃんも青髪なので、いまいち映え感というか、パンチが足りませんでした。(普段の衣装は水玉模様が派手なのである程度画面に彩りが出るんですが)
こうして悩んだときに参考フォルダを開くのがポイントです。
保存していたフレークシールの画像が目に留まり、そこから発想を得て周りのミニキャラを描き足しました。

自分の絵は基本立体感や奥行きがないので、ミニキャラに影をつけたのは良かったかなと思ってます。画面に奥行きが生まれている…気がする。あとなんか、シャカシャカアクキー感もある。

英字はこれまた参考フォルダにあったイカスデザインのTシャツたち(ロゴの上部分が途切れてる・写真の上に手書きの筆記体っぽい文字)から発想を得ました。Everybody dance with meはDDRの好き曲好き譜面・D2Rのサビの歌詞です。

あとはもうピンクとブルーのいかにもダンレボっぽいギラギラ高彩度配色にして完成。この色使うせいでDDRの絵だいたい色味が偏る。コナミ特許取ってんのかな。


蓮太郎と賢人
(ダンキラのキャラクターだよ)


描き始めの構想
・参考フォルダの“インディーズバンドが地下ライブハウスの入り口前で撮ったアー写”を見て「こんなの描きたいな」と思った

という単純な動機からはじまる絵もあります。
実はこの二人を描こうと思ったのは完全に後付けで、『描きたい構図にしっくりくるキャラを選んだらこうなった』というパターンです。この現象はよく起こります。ただストーリーの中でちゃんとこの二人が一緒に地下っぽいライブハウスへ行く回があるので、あながち逸れてもないかな。

あとごちゃっとした絵に小ネタを仕込むのが好きなので、後ろのポスターとかはゲーム遊んでる人ならわかってくれるんじゃないかみたいな小ネタ要素をちょこちょこ散りばめてます。自己満足なのでわかってもらえなくても別にOKの気持ちで。



椿聖人の誕生日絵
(ダンキラのキャラクターだよ)


描き始めの構想
・チェック柄が描きたい
・靴裏が描きたい

勝手なこだわりですが、チェック柄に限らず服の柄は基本的に手描き派です。便利なフリー素材はいっぱいあるんですけど、平面な柄を貼り付けると立体感が損なわれるのがどうしても気になってしまうので…絵に沿わせて変形させるのも難しい…あと手描き、苦じゃないむしろ楽しい……

構図は参考フォルダにあった、運動会か何かのリレーでバトンを受け渡す瞬間の写真から。いいヒントがないか探していたら見つけた、グッときて保存してた過去の自分ナイス。
背景はこれまた参考フォルダから、クリスマス時期に保存したおもちゃプレゼント用の包装紙より発想を得ました。彼に関連するアイテムをちょこちょこ描いています。



これはぺこは°


これはbemani 


ステッカー風。
もはやどのジャンルでもやるやつです。お家芸。
アングラな繁華街のストリートに貼ってるステッカーも当然のように参考フォルダへ保存しています。こういうステッカーは小物描くときや描き文字・ロゴ方面で良いアイデアになるので好き。

実際のステッカーは黒に近いグレーゾーンなデザインがそこそこあるので、そういうとこも意識しつつ描きました。ビックリマンシール風は超ノリノリでやった。絵柄や等身をなるべく自分の絵にしないようにしたけどどうだろうか……


こんなパキパキの色スプラトゥーンでしか見んやろ


応用のワッペン風。
描いてるのはキャラに関連するチームや技の名前です。BMCや星のB-boyはロゴマッシュアップみたいなことやりたいなと思った結果です。ロゴだけ発表しても面白くないなと思って絵にねじ込んでみました。



描いて、行き詰まったら参考フォルダを見てヒントを探す。

もしくは描きたいものが浮かばないときに参考フォルダを見てヒントを探す。

そんな感じでやっとります。




おまけ・適当な絵でもそれっぽく見せる方法



■ 人物白黒、背景一色

白黒+青
白黒+グレー影+緑
白黒+トーン+青



「ただのらくがき」ではなく「ちょっとした完成品」に見えるかどうかはパッと見の白色の多さで変わると思うのですが(同人誌の原稿とかもそうだよね)それを解決するのがこの手法です。むしろ下手に色塗るよりいい感じに見えるときもある!ワハハ!

黒(影)部分をベタ塗りでハッキリさせておくと、より映えます。

白黒+トーン+背景色ではなくストールに黄色



背景にビビッドな色+人物は明度下げる


目だけ明るくしてみるパターン


別に白黒じゃなくてもいいんだけど、肌色を塗らないのはかなり時短になります。塗らないというか肌色も白と見なすイメージ。

肌色って他の色となじませるの結構難しいんですよね。しっくりこないときってだいたい肌色が他の色となじんでないパターン多い。
というわけでらくがきだと肌ほぼこの方法で省略してます。

怪奇のみなさん(芸人のファンアートだよ)

これとか結構色使ってるけど、肌色塗ってないからまとまってると思う。肌色ナチュラル無視。
いや、肌塗ると髪とかもちゃんと塗らないといけないし…

肌を手抜きする代わりに服装はそこそこ忠実に描いた。どっかで手を抜いたら別のどこかでちょっと気合入れるとまとまる気がします。




白黒だけじゃなく、3色ぐらいにまとめるのもイイ感じです。

3色。白黒じゃなく主線を赤にしてみたパターン
そしてトーンすごい便利
チェック柄のおかげで寂しくなってない=余白を埋めるの大事



逆に線がごちゃごちゃして余白が少なければ色みがなくてもそれっぽく見えるかも?
影は全面塗ってから透明ペン(消しゴム)で光が当たる部分削ってく方がうまくいきがち



配色センスないもん!!分かんないもん!!!!!って人は「カラーパレット」で画像検索するとイイ感じの色の組み合わせがいっぱい出てくるのでちょっと参考になると思う。いちばん暗い色を主線にしていちばん明るい色を肌色・白の代わりにするといいよ!!



■ 1カ所だけがんばって描く

スコールだけ描いた


スイーツのとこ頑張った


スタバ風だけ頑張った(あとの線は案外単純)

 
実在する飲料(のパロ)とか、スニーカーとかがおすすめです。食べ物も。特に楽器や機械系はちゃんと描けてたらグッとすごい絵になるよね。難易度高すぎるけどね楽器は。3D素材の恩恵を受けるしかない!


■ 総柄風

余白が少ないので手抜き感が薄いように見えます。
が、マジでぜんぜん時間かかってない絵です。
画面はどんどん埋めていこう。


もう少し細かく多くても良かったかも。
確かツイッターにまだフリート機能があった頃真ん中に文字を描いてあげてたような。


総柄ではないけど似た表情差分があるとかわいいですね。



■ 四角くベタ塗り背景に余白

人物の頭とかが1カ所だけはみ出すとそれっぽくなる。


こういうやつです。
説明しづらいので見てください


■ 線画ズラし

青で描いた部分をコピーして色を変え、ちょっとズラす。透明度もやや下げる。
ピンクと青好きすぎか。

これは線画レイヤーを複製してピンクと水色に変えて透明度を下げ、左右それぞれにちょっとずつズラしてますね。あまり大きくズラしすぎると3Dメガネかけて見なアカン絵みたいなキマってる見苦しさになってしまうので注意




例としていろいろいじってみたやつ。
白黒+背景色、いろいろ遊べておすすめです。



■ おまけ・グラデーションマップ機能
クリップスタジオ・プロクリエイト・アイビスペイント(※プレミアム版)にある機能。作業環境的にクリスタ以外のソフトの勝手がわからんのですが、彩度によって色を割り振ってくれる機能です。コンピュータってすごーい!昔ツイートで解説したので貼っつけとくね。

仕上がった絵に「なんかまとまりがないなぁ」というときに10~20%乗せるだけでもだいぶ違います。配色センスの悩みを粉微塵に吹き飛ばしてくれるので、使える環境ならば使ってみてほしい。ただベタ塗りのレイヤーを乗算やオーバーレイで透明度下げて乗せるより断然クオリティ変わる。





という感じで雑多に書きなべてみました。
参考フォルダ作って引き出し増やすのけっこう楽しいんで、気が向いたらどうぞ。

「適当に描いてそれっぽく見せたい」に関してはもとの技術向上を頑張るほうがもちろん良いけど、時間がない!!!!とか、忙しいけどなんか描きたい!!!!とか、描けたけどなんかいまいち!!!みたいなときにいいんじゃないかな……ほなまた!

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