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マリサポが東京モーターショーに行ってスポンサー企業のブースを見てきた。

はじめまして。かずさと申します。3年ほど前から、サッカーのJ1リーグの「横浜F・マリノス」を応援しています。他には自動車とモータースポーツが好きです。あと日本の流行の音楽をちょっと聴いています。

マリノスを応援するようになってから、オンライン/オフライン問わず様々な形で、マリノスが好きだという気持ちを表現し発信するサポーターさんがいることを知りました。細かく書いていたらキリがないくらい、様々な形で発信がされています。自分も何かできないものか、と思いをめぐらせて書いてみました。

はじめに

マリノスをバックアップするスポンサー企業は、公式サイトの「パートナー紹介」ページにバナーが掲載された企業だけで100社近くにのぼります。

その中でも日産自動車はマリノスの母体で、今もトップパートナー(マリノスのスポンサーの最上位)として関係が続いており、ユニフォームの胸部分に「NISSAN」のロゴが掲出されています。

そしてオフィシャルパートナー、オフィシャルスポンサーとして関係を結んでいる企業の中に、日産と関わりの強い自動車関連企業が多いことを知りました。

が、私はこういったスポンサーの自動車関連企業が、実際どういう活動をしているのかよく分かっていません。少しでも理解を深めようと思い、10月末から11月のはじめまで開催された東京モーターショー2019に足を運び、スポンサー企業のブースを見ることにしました。

東京モーターショー2019に出展していたマリノスのスポンサー

日産自動車

日産車体

YOROZU

ニッパツ

MITSUBA

NSK(日本精工)

注)マリノスと関係のある自動車関連企業すべてが今回のショーに出展しているわけではなかったことと、ブースの担当の方とゆっくりお話をすることができなかった部分もあるので、その点はご了承ください。

1.日産自動車

最近は日産に関するいいニュースがあまり聞こえないのですが、モーターショーのブースは大変賑わっていました。自分が行ったのが閉会間近の日曜日(アウェイ鳥栖戦の翌日)だったせいもあるかもしれません。お陰で見たかった車両はほぼ見れず、メーカーのロゴが入った服を着た人とまったりお話することも叶いませんでした。

特に人だかりが凄かったのがGT-R。今回は50周年記念モデルが発売されたので展示されていました。マリサポの千田純生先生のイラストにも登場したあの青いのがそれです。

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GT-R 50th Anniversary

一緒にNISMO(ニスモ)ってグレードのGT-Rも展示されていました。NISMOは日産のモータースポーツ部門の名称で、国内外のレースに出たり、日産車向けのパーツを販売している、マリノスのオフィシャルパートナーです。GT-R NISMOは女子テニスの大坂なおみ選手が日産のアンバサダーになったタイミングで日産から寄贈されています。

このNISMO仕様はGT-Rだけでなく、セレナやノートなど様々な日産車に展開されていて、みな黒いホイール、黒いエアロパーツ、各所に赤い差し色が入る共通のイメージで統一されています。

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GT-R NISMO

メーカーのモータースポーツ部門が手を入れた市販車、というのは日産に限らず国内外で流行りになっています。まずシンボルになるスポーツカーがいて、以下それに倣うような外観を与えられています。3列シートのワゴン車にもそういう仕様が設定されるあたりに時代を感じます。独身時代にスポーツカーに乗っていた人が、色々あってワゴン車に乗り換えざるを得ない状況に陥っても、現代なら「ヤンチャな」グレードが選べるのです。くれぐれも安全運転をお願いしたいものです。

2.日産車体

日産車体は日産から自動車の生産を引き受けたり、特装車(主に救急車)の生産をしている企業です。8月のホーム清水エスパルス戦で、試合前の東ゲート前に黒いワンボックス車が展示されていました。この車両は日産車体で生産されているNV350キャラバンの特別仕様「アーバンクロム」です。

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NV350キャラバン アーバンクロム

他には日産の最上級ワゴン車エルグランドや商用バンのNV200バネット、海外向け車両のアルマーダやパトロールといった4WD車などを生産しています。日本では馴染みのない名前ですが、どこでも走れそうな厳つい四駆です。国連の略称「UN」と書かれた四駆がテレビのニュースに時々映りますが、あの四駆はだいたい日産のパトロールです。


わたしが今回の展示の中で特に印象に残ったのが救急車「パラメディック」です。

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わたしは救急車に乗った思い出がないので、じっくり眺める機会ってこういうショーしか無いような気がします。小学生の頃はこういう緊急車両の絵を描く(で、展覧会に出す)時間が設けられていて、近所の消防署まで行って絵を描いたんですが、今の緊急車両って小学生の時(ン10年前)に見た仕様よりも、だいぶモダンに変わってるんです。

パラメディックは、前述のキャラバンに設定されているワイドボディ車をベースに改造した車なので、間近で見るとすごくデカいです。上のシャシンのパラメディックの屋根の高さと、見物している人間の背丈を比べるとおわかりかと思います。

救急車なので当然狭い路地に入っていく状況もあると思います。そういう時に「アラウンドビューモニター」が役に立つのです。車両の前後左右に、計4つのカメラが設置されていて、車内のルームミラー付近にある画面に映像が出力されていました(車内に乗り込めなかったのではっきりと撮影できず。残念)。

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赤丸で囲んだ部分がカメラです。

またこの車両は車内に積まれた医療機器を、リチウムイオンバッテリーの電源で動かせるしくみを採用していました。

現在の主流はエンジンの動力で作った電気で医療機器を動かしているため、エンジンを余計に回さなければならず、結果騒音が大きくなったり燃費が悪くなってしまいます。

しかしエンジンからではなく別のバッテリーから電源を取ることで、騒音や燃費の問題を解決し、なおかつ充電も走行中だけでなく100Vコンセントで充電できるようになり利便性も向上します。

ただこのシステムは実装されておらず、参考出展という形に留まっていました。理由を尋ねると「お金がかかるから」。電源の供給は救急車の生命線です。まだエンジンの力で作った電気を使う方が色々な部分でアドバンテージがあるのでしょう。後に説明する部品ブースの見学でも感じましたが、自動車や自動車部品は、設計する上で何を優先するかは用途やお国柄で違いがあり、そこに個性があったりします。

ちなみに説明員の方はマリノスが今季好調であることをご存知でした。さすがです!話してる感じはモータースポーツも好きそうで、そっちの話のほうが表情がいきいきしていたのは秘密です。

3.YOROZU

ホームゲームの「ヨロズDAY」のヨロズはこの企業です。自動車の足回り(サスペンション)のメーカーで、車輪と車体を繋ぐアームやリンクといった部品、それらを取り付けるサブフレームという部品を製造、自動車メーカーに納めています。

この会社もやはり世界規模で展開しており、アメリカやメキシコ、タイや中国などに拠点を構えます。世界中のメーカーと取引しているので当然といえば当然ですが。

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ここに並んだサスペンションの部品は同じ名称の部品ですが、右の部品は鉄板を成形し、別で作った部品を溶接して仕上げたもの、左は溶接を用いずにプレスの成形のみで仕上げたもの、という違いがあります。

どちらの方法にもリスクはあります。溶接を用いるなら、溶接する別の部品や溶接する設備を管理することに難しさがありますし、プレス成形のみでいくならこの形を作る金型(鉄板を切ったり曲げたりするための型)をいくつか作る必要があり、決まった寸法でたくさん作れるような環境を整えるところに難しさがあります。

この部品を一度にどれくらい作るか(=この部品を使う車をどれくらい売るつもりなのか)や、製造をする環境がどうなのかとか、設計をする人はわたしが思いつく以上にいろいろな事を考えて工法を選択するのですが、どうやらヨロズはこの部品においては、どちらも提案できるのでしょう。

自動車がエンジン車からモーター車に変わっても、タイヤが回って道路を走り続けるかぎり、車輪と車体を繋ぎ、操縦性や乗り心地に大きく関わるサスペンションがなくなることはないでしょう。そういう意味で、目新しい技術というよりかは今できる技術を堅実にアピールする展示が多かったように感じました。

4.ニッパツ

みんなだいすき(わたしはだいすき)三ツ沢球技場のネーミングライツを持っている会社です。略称のNHKは日本発条株式会社の略で、発条とはバネのことです。バネのばつぐんと関係はございません。

現在ニッパツは何社かの企業を傘下においたグループ企業になっていて、グループとしての展示になっていました。

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ニッパツの展示で目をひいたのは、トラックのサスペンションなどに使われる板バネの展示です。鉄で作った板バネ、GFRP(ガラス繊維)で作った板バネ、CFRP(炭素繊維)で作った板バネの3種類を展示し、それぞれ手で持てるようになっていました。

トラックの荷重を支える部品なので、鉄の板バネは両手で持つのもしんどいくらい重いのですが、CFRPになると片手で持てるくらい軽くなります。ただかかるコストは真逆です。そのためCFRP製の板バネは実用化されていません。

もうひとつ驚いたのは、ニッパツのグループ企業トクハツ(特殊発條興業株式会社)の展示です。

この会社はホームページを見る限り細かい作業が得意そうなんですが、どうやら金属の板に0.2mmの穴を開けることができるというのです。

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穴を開けたい板に対して、どこまで小さい穴を開けれるかってのは板の厚みとか色々条件があるんですけど長くなるので割愛しますが、シャーペンの芯より細いパンチ(穴を開けるドリル)で穴を開けるってどうなってるんですかね?

ちなみにオフィシャルスポンサーのトープラ(ねじメーカー)もニッパツのグループ企業です。

5.MITSUBA(株式会社ミツバ)

ミツバはモーターを使った自動車部品をメインに製造する会社です。モーターで動く自動車部品はたくさんあります。目立つところだとワイパーとかパワーウインドウがありますが、ミツバの展示ブースではそこで使うと思われるモーターを展示していました。

また複数の組み立て工程があるプラスチックの部品を、ターンテーブルのような機械で回しながら一か所で組み立てられる技術の展示もありました。これができると組み立て工程間の場所の移動がなくなったり、組み立てに関わる人の数を減らして効率が上がるそうです。その説明の様子を撮影していましたが、予想以上に長かった上に音が聞こえにくかったのでアップロードは断念します。。

6.NSK(日本精工)

NSKは主にベアリングを製造する会社です。ベアリングっていうのは回ってるものに必ずついている精密部品で、回転をスムーズにする役目をもっています。ミニ四駆の性能を高める部品としてラインナップされてます。わたしがミニ四駆やってた頃は、ミニ四駆のキット1台分と同じ値段して本当に高級品でしたけど、値が張るなりにいい仕事をするんですよねー。

ミニ四駆の話は置いといて、自動車は高速で回転する部品がたくさんあるので、それらには必ずベアリングが入っています。一般的に中にボールやローラーを入れてなめらかな回転をもたらしているのですが、かかる力の大きさや力の入る向きなどを考えて、いろいろな種類のベアリングから最適なものを選択して組み込んでいます。

NSKのブースにはベアリングの展示のほかに子供向けにベアリングの組み立て体験なんてのがありました(!)子供に擬態してやってみたかった。90分待ちとアナウンスされてましたが、それだけ待っても楽しいだろうなあ。本当にうらやましかった。

ここまでがわたしが見た、マリノスのスポンサーブースです。本当はもっと時間をかけて見学したかったのですが、日曜日は混雑や二か所の会場を移動するのに手こずり、上手く回れなかったのが悔やまれます...。次の開催時は平日にゆっくり見学したいです。

マリノスをバックアップする自動車関連企業はまだまだあります。

Jatco

ホームゲーム「Jatco DAY」や、日産スタジアムのピッチサイドの広告でおなじみのジヤトコ。トランスミッション(変速機)を製造するメーカーです。現在主流になりつつあるCVTを世界の様々な自動車メーカーに納めています。今年春に開催された上海モーターショーに出展していました。

カサイ

カサイは自動車の内装メーカーです。自分は10年前に製造された自動車を使っていますが、試乗やら何やらで最新の車を運転すると、この10年で自動車の防音(遮音)技術はめちゃくちゃ進歩しているなと痛感します。ユーザーの目に見える内張りの裏側に涙ぐましい努力が詰まっています。

TACHI-S

日産スタジアムのベンチに入っているシートはこちらのメーカーのものです。最新のフットボール批評の中で、見開きでベンチ前にボスがどーんと構える4-5頁、ばっちりタチエスのロゴが写っています。

4年前のモーターショーではサイン入りのシートが展示されていたようです。

さいごに

家電ショーと揶揄されたり、つまらんと文句を言われがちな近年の東京モーターショーですが、それは車しか見ていない人の意見なのかなとわたしは思います。何か面白くないと思ったら、部品ブースに行くことを本気でお薦めします。

難しそうな細かい作業を事も無げにやってみせたり、世界中にシェアを持つ部品メーカーの展示に、自動車の持つ意味合いが変わっても取り残されまいという矜持を感じました。

自動車は様々な部品の集合体で、ひとつひとつの部品に役目があります。また同じ部品でも、メーカー(=国、地域)で設計の違いが存在します。そしてそれが車に対する思想を表していたりします。こういうのってサッカーっぽくないですか?(サッカーでむりやりまとめてみた)

今回紹介した企業とマリノスの関係が、末永く続くことを願っています。

ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。

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