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告白に失敗し、詐欺電話と格闘しながら YouTuber になった

本屋 VALUE BOOKS の YouTube 番組、「積読チャンネル」が始まった!

毎週更新で、おすすめの1冊を書店員(というか飯田が)紹介していくチャンネル。

「なぜ書店が YouTube を始めるのか」という話はいったん置いておいて、YouTube がスタートするまでの情けない経緯を記しておこうと思う。

動画とか作ってもらえないかなぁ……?(チラッ


VALUE BOOKS は本屋としてさまざまなクリエイターを支援しており、そのひとつに「ゆる言語学ラジオ」がある。

2023年の夏、北海道で行われるゆる言語学ラジオのファン合宿に参加するため、番組を運営する堀元さんと一緒に行動していた。詳細は省くが、VALUE BOOKS として YouTube チャンネルを始めたく、その制作依頼を堀元さんに頼みたいと思っていた。

「VALUE BOOKS で YouTube を始めたいのだけど、手伝ってくれませんか?」

その一言が切り出せず、東京の空港で落ち合ったのに、気がつけばもう北海道。現地に向かうための電車のなか、意を決して堀元さんに切り出した。

いや〜、ほら、やっぱ YouTube とか VALUE BOOKS でもやれるといいですよね。本を売る手立てになるだろうし…… あ、でも、動画制作って結構大変ですもんねぇ〜〜。やっぱ、外注するのが普通なのかなぁ。そういえば、堀元さんって「ゆる言語学ラジオ」に限らず、姉妹チャンネルをたくさんやってますよねぇ。いろんな動画を作っててすごいなぁ。あ、あ、ちなみに、外部からの依頼で動画を作ってたりもするんですかねぇ〜〜?

いかがだろうか。

明らかにデートに誘うのが下手な男だ。

仕事の相談になってないどころか、雑談としても二流以下だ。

告白に失敗し、やぶれかぶれの気持ちで猟師が持ってきた鹿の"アソコ"を食べる自分。
無修正ver はこちらの記事に。
https://undersode.hatenablog.jp/entry/yurugengo_kintama


その時の僕は、

  • 断られたら悲しくなっちゃうな

  • スポンサー企業だからって無理はしてほしくないな

  • 自分としても動画がうまくいくか不安だから、堀元さんが乗り気だったら自信になるな

という非常にしょうもない気後れから、モジモジと打診していた。

また、僕は堀元さんをもはや友人と見なしており、それゆえに"ガチの仕事依頼"の仕方を掴みかねていた。初対面のビジネス相手だったら、シンプルに本題を投げつけていただろう。人間関係は難しい。

堀元さんの返答は潔かった。

「やってないですし、やりたくないですね。受託仕事って、先方の意向を汲まないといけないので、自分たちが本当に面白いと思っていることをやりづらいじゃないですか」

クリエイターとしてのきっぱりした返答に、「あ、そうですよね」と返すしかなかった。

クリスマスの予定を聞いたら「その日は空いてないし、空いていたとしてもあなたとは過ごしたくないです」と言われた気分だった。

ちなみに、その後社内で僕は「軽く、堀元さんの感触を探ってきました。忙しいし、受託仕事自体を受け入れてないそうだし、厳しいっすね」と仕事が上手な人っぽく報告した。小物である。


事態が動く。大量の万札とともに


YouTube 制作は、堀元さんに頼らずともできる。とりあえず自分たちのできる範囲ではじめてもいいし、どこか別の会社に外注してもいい。

ウジウジしていたものの、「VALUE BOOKS でより多くの本を販売するために YouTube に挑戦したい」という気持ち自体は消えていなかった。

しかし、それと同じくらい、「ゆる言語学ラジオ」の制作チームに頼みたい、という思いも消えていなかった。

動画制作用の Discord チャンネルに僕も参加しているのだけど、よりよいクリエイティブを生み出すため、微に入り細を穿ちながら議論を重ねる様子に、心底驚嘆していたからだ。

そんな折、堀元さんから「飯田さん、前に YouTube 始めたいって言ってましたよね? ちょっと話しませんか?」と声がかかった。

告白もしていないのに失恋した、と思っていた相手から「初詣一緒に行く?」と誘われたのだ。

もちろん僕は「あー、そういやそんな話もありましたね。じゃあ、軽くMTGしますか」とカッコよく返しながら、内心ガッツポーズをしていた。

しかし、である。

話を詰め、具体的な動きを整理していくと、いちプロジェクトとして毎月100万円以上のお金がかかることが分かった。正直「たけぇ」と思った。ただ、考えてみれば当然の金額だ。

  • 聞き役として堀元さんを稼働させる

  • 企画立案の協力

  • 動画の撮影・収録

  • 動画編集

  • 飯田が台本作り・撮影を行うための人件費

  • 東京に収録に向かうための交通費・書籍購入費

納得だ。

クレジットカードの利用明細に似ていた。月末の請求を受け取り「なんだこの金額!? 詐欺にあってるわ!」と思って利用明細を急いで見返すと「うん、そうだね」と認めるしかない。つらい。

「YouTube やれたらいいよなぁ。本も売れるし楽しいし!」

妄想しているうちが華だ。頭の中で描く未来で失敗は起きず、成功のビジョンだけがキラキラと輝いている。

それに比べ、現実はなんて灰色なんだろう。これだけの投資をして、何も生み出せなかったら……

「やりましょう」

気がつけばそう答えていた。考えていても答えは出ないし、いつまでもモジモジしていてもしかたない、覚悟を決めるだけだ。

これが、僕の長所であり短所だ。勢いに身を任せて、あとから帳尻合わせに尽力する。

こうして、「積読チャンネル」が始まった。


誤送信メールと支払い催促


神奈川の実家から帰るときに、それは起こった

公開日は、2024/1/4 17:00 を予定していた。年始は妻と子と一緒に僕の実家に帰っており、当日は長野へと帰る日だった。

お昼ごろに高速道路のSAで小休止していると、メルマガチームから連絡があった。

「さっき VALUE BOOKS の会員向けにメルマガを出しておいたよ!」

おかしい。動画の公開は夕方なのに、お昼にメールを送っている……?


やべ〜〜! 動画公開後に送るはずのメール、先に出しちゃった!


10万人以上の会員に、お昼に「動画を出したよ。見てねー!」とメールを出していた。まだ何も見れないチャンネルのURLを添えて。

僕の情報伝達ミスで、メールの誤送信が発生したのだ。

異常に気がついた堀元さんからの連絡。

社内チームと堀元さんに同時並行で情報を共有し、大慌てで対応をしていると、横で電話をしていた妻が暗い顔でこっちを見ている。

「なんか、使っているアプリで未払いがあるって電話がいきなり来て……」


こ〜〜の忙しいときに詐欺電話が来た!!!


妻から電話を受け取り「書面でお送りください。それでは」と速攻で通話を切り、動画対応に戻る。(あとで番号を調べたけれど、バッチリ詐欺だった)

結果、17時に公開予定だった動画を急いで公開。新年の幕開けからドタバタが過ぎる。

凡ミスをした自分と詐欺電話に憤りながら始まった YouTube チャンネル、前途多難な未来を彷彿とさせるけれども、ありがたいことに「紹介している本、買ったよー!」と声がもう届いている。


ありがたい、本当にありがたい。

おかげで「せっかく本気で準備したのに、公開のタイミングを間違えた……」と後悔していた自分を許すことができた。


ただし詐欺電話、テメーはダメだ。


ということで、よちよち素人 YouTuber の僕ですが、あなたの積読を増やせるよう楽しく朗らかに頑張ります!

ぜひ、チャンネル登録いただければ幸いです〜!
(言ってみたかった〜〜!)


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