サプライチェーンに関する思索 その1

ユーザー、または消費者に必要な部材や製品を適切なQCDを持って届ける供給網のことをサプライチェーンと我々は呼んでいるが、ユーザーの発注・購買活動、原材料調達、生産加工、在庫管理、流通や販売など、非常に多岐にわたる。

ここでは特に製造業に関わる部材調達に絞って考えを進めていきたい。

製造業の部材調達はまず生産工場のリサーチ、能力査定から始まる。
その工場の生産設備から始まり、人材、原価管理、工程管理、納期管理、品質管理、教育体制、5Sの取り組み状況、過去の実績、生産キャパ、財務状況、経営者の資質などの査定が入る。
ある企業は点数を付けて、何点以上でなければ取引しないなどの基準、足切りなども策定している。

(調査会社に委託をして査定をする企業もいるが、調査会社のデタラメな情報は当てにならないし、リスク回避はできたとしても、自社の必要を賄う前向きなリサーチまでには至らないことが多い)

調達企業側としてはリスク回避のための能力査定であり、サプライチェーンを構築する上でどうしても必要なプロセスなのだが、ここがどうしても需要に対して供給が冗長的に重厚になっていないがために、常にサプライヤー不足感がある。

だからこそ、マッチングイベントが度々開催されたり、企業紹介ビジネスが成立したり、プラットフォーマーが現れたりするわけだが、それでも調達企業の要望を十分に満たすまでは行っていない。

敢えて言うなら、調達企業の肩代わりをどこかの企業がやるだけで、根本的な解決まで手を伸ばせているわけではない。
結局はプラットフォーマーもどこかの企業に委託をして、サプライヤー(加工企業)がいなくなれば供給できなくなるだけで、サプライヤー(加工企業)に関する情報量の差のみで商売を成り立たせているだけである。

つまりは、プラットフォーム事業は調達活動の対症療法にしかならず、目先の需要への対応が中心となる。
目先の需要が中心であるから、目先の開発、小手先の開発が優先されるのは言うまでもない。

調達企業が安定した供給を実現したいのなら、プラットフォーマーを活用するより、供給網を強くする、つまり加工企業を育成し、支援し、強くするしかないのである。

では、この課題をどう解決していくかについては、サプライチェーン構築の課題をさらに熟考してから記述することにしたいと思う。

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