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性表現と性違和

私は、何も知らない人が見たら、シスジェンダーの女性に見える表現(髪型、メイク、服装、振る舞い)をしていると思う。

※シスジェンダー: セクシャルアイデンティティと身体的性が一致している人

アイデンティティと外見が一致していないことは、様々な齟齬を生む。
齟齬をなくしたいと思って、ホルモンで声を低くしたり、胸オペ(胸を男性的な胸にすること)をしたいと考えたりすることもあったけれど、基本的には今の性表現で納得をしている。

今の性表現に至ったのにはいくつか理由がある。

自分の性違和より「納得できる(かっこよさの)ファッション」

女性の髪の長さでいうベリーショートが似合わない。高校生の時に、友達が学校に持ってきたベリーショートのウィッグを被った時に、それを認識した。自分の性違和より、「似合うファッション」を優先している。

私は「フェム」を自称している。時たまメンズっぽい性表現をするのはしっくりくるけれど、基本的には自分の身体に合う性表現をしたいと考えている。

※フェムが女性的性表現をする人で、ボイがボーイッシュな性表現をする人

自分の身体は女性らしい丸みを持っている。もちろん男装の似合う身体に憧れることはある。しかし、自分の職業(エンジニア)と関係があるのかないのか、あるものを上手く調理するのが好きだ。今あるものそのものを変えるという発想に乏しい。

今の髪型は、中学2年生から長年連れ添ったボブカットを改造した髪型だ。ある時、遂にボブに飽きてしまった。変えるとして、短くするか長くするか悩んだ。似合わないベリーショートは抵抗がある。ボイっぽくするなら自分の納得できる外見にしたい。ボブが自分に似合うベストな髪型だと考えて、ボブの襟足を伸ばすことにした。

ギャップ萌えを楽しんでいた

昔はかなり、外見と内面の齟齬を楽しんでいた。外見でイメージを作られて、内面を知って驚かれる、その過程を楽しんでいたのだと思う。
それは、「エンジニアっぽくない」だとか、「シスジェンダーに見える」だとか、「バイセクシャルっぽくない」だとか。

昔からギャップ萌えが好きだ。それは多分母の影響を受けている。
父は私が幼い頃に亡くなり、母は父の仕事を受け継いで私たちを育ててくれた。母はその苦労をママコミュニティなどで見せないように振る舞うことを楽しんでいた。
苦労してるように見えないそのギャップがかっこいい、と私は思い込んだ。
(その後、苦労を見せないと自分で作品を作ってないと思われることに気付き、苦労を見せるようになったのだがこの話は置いておこう。)

齟齬を楽しむ過程はある程度終わったかな、と思う。理解はされなくても良いけど、認識されていた方が円滑に回ることが多くなった。
自分のことを語らない方がかっこいいと思っていたことがあったが、語らないと誰も聞いてくれない、と気付いたのも大きいかもしれない。

選択肢を増やす

スーツを着るようになったきっかけがある。
ある時、海外でドレスコードのあるパーティーに行くことになった。男性はスーツ、女性はドレスだ。
ドレスを着ることは嫌いじゃない。でも、ドレスしか選択肢にないのがとても嫌だった。そこで、次回は気分に合わせて選択できるようにスーツを用意することにした。スーツとドレスを選べることが私にとって重要だ。

「選択肢を増やす」というのは私の中でかなりのウェイトを占める目標だ。
作品を作り続ける根本的な理由もそこにあるんじゃないかと考えている。
自分の選択肢はもちろんだし、世の人の選択肢が増えたらとても嬉しい。発信をする理由はそれだ。

普段の性表現は女性的であることが多いけれど、時たま選べる別の表現があることが自分にとって大事なんじゃないかと思う。
ちなみに最近よく着ているスーツは、レディース仕立てだがメンズっぽく見えるので気に入っている。身体に合っていてかつ表現を選べるのが自分にとってしっくり来ているのだろう。

自分そのものを変えること

まわりの認識との齟齬を埋めたくて、「胸オペをした」という事実が欲しい時があった。
でも、着こなせる服は変わるかもしれないけど、結局私にとってはあんまり生活も周りの理解も(友人はもともと理解してくれてるし)変わらないんじゃないかと思った。
多分、その事実が欲しいだけで自分の身体に関心があったわけじゃないんだと思う。
まだこの問題は悩んでるから、やるかやらないかはわからない。
トランスジェンダーではないので男性になりたいわけではない。つまり胸以外も手術するのは自分にとって必要ない。(ホルモンはちょっと興味ある)
ちょうどいい塩梅を見つける必要があるんだけど、その塩梅をやり直せない方法で決めるのが難しい。

あるものを上手く調理するのが好き

性違和と性表現の問題は自分にとって大きくて、今結構書いたつもりでもまだ語り足りない。
メイクの話や服装の話もしたいが息切れしてしまいそうだ。
またぼちぼち書いていこう。
根本的に重要なのは、「あるものを上手く調理するのが好きだ。今あるものそのものを変えるという発想に乏しい。」ということだと思う。
これは私の仕事や作品作りのやり方にも通底している。
明日早く起きれるかなあ

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