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SING YOUR WORLDライブレポート 〜愛すべきものへの答え合わせ〜

#UTYOASOBIライブ
#YOASOBI

 7月4日、僕が感じた、すべて。

 公式ツイッターさんの巧妙な匂わせと、完璧な情報解禁に心踊らされる日々の一区切り。KEEP OUT THEATERから夢中で追い続けたユニットの至高の答え合わせ。


 若干の睡眠不足で、激しく目を擦りながらなんとか注文した。


 この日、やっと採用にこぎつけたバイトの研修から血眼で自転車を走らせて帰ってきた僕は、まだ新品の匂いの抜けないTシャツを手に取りさらに鼻息を荒げる。

18:15

 いつもよりぎこちなく着替え、その肌触りを楽しみながらリモコンをとる。LIVE準備中の画面には、5ヶ月ほど前にそわそわしながら嫌というほど聞いた音楽が流れ、懐かしい思いに駆られる。あぁ、最高の時間が始まるんだ。


18:40

 夜の冷たい空気が、遠くの電車の音を運んでくる。鉄筋がかすかにうなってその空間の広さを感じさせる。季節に合わないその感覚が、スマホに向いていた目線をテレビに向かわせた。

ん?

テレビではKEEP OUT THEATERのダイジェストが流れていた。カラフルなペンキで塗りたくった奇抜な衣装が、まだ未完成の工事現場の殺風景に調和する。
画面で輝く思い出に、すでに涙腺崩壊の僕は、スクショ用にもう一つの画面をいそいそと開いて、、、

準備万端!!

大丈夫、行こう。 あとは楽しむだけだ。


 あの日、コロナ禍のなか、秘密基地のような場所で。心に溶け込む歌声と、唯一無二のメロディで。自らが信じてきた、愛してきた音楽を無垢なままで奏でた。
〜SING MY WORLD〜
そして、、、


19:00

 これまで、この人のありとあらゆる曲という曲を聴いてきた僕は、静かめの誘うようなSEの曲調でLIVEが始まったことを確信する。

薄暗いが、仄かに暖かい光が落ちる長い、長い廊下が、知らない場所に迷い込んでしまった僕たちを、ほんの少しの不安と張り裂けそうに膨らむ期待と共にゆっくりと先導した。

廊下の終わりを予感しはじめた時、記憶に新しい聞き覚えのあるイントロが漂いはじめた。こっそり忍び込んだ僕たちを待ち構えたように音が弾けたとき、行き場を失った期待が爆発した。


もう誰にも止められない

M-1  三原色

 毎日見かけているはずなのに、別人を見ているような気分だった。自ら飛び込んだが、予想を超える非日常に胸を高鳴らせ、置いてかれまいと思った。2月は緊張から若干震えていた歌声も、RUNの成果で序盤からまっすぐフルスロットルで、いままでで1番弾むような曲調に合わせそのキレを増す。

どこかで途切れた物語
僕らもう一度その先へ


2月の続きをやってくれるのだと思った。でも彼らが投げかけたメッセージはおそらく違っていた、


 LIVE初っ端に鳴らした音楽は、つい2日前にリリースした新曲である。聞く者全てが、その自信と強心臓に心奪われその世界にさらに奥深く引き込まれただろう。

すでに最高潮の心臓が、LIVEならではの音源でさらに捲し立てられた。生演奏では、ドラムによって音に立体感が増すと感じるのは僕だけだろうか。

ライトの分光した三原色が、演出のレベルの高さを窺わせる。粋な計らいである。


M-2   ハルジオン

 暖まったからだに、大好きなメロディが重なる。自然と自分が着ているTシャツに視線が移る。
アップテンポだが、少し冷たく、胸を軽くキュッと掴まれたような切ない痛みを感じる曲だ。

 戻れない輝いていた日々が、どこか別世界のようで現実に引き戻される、なんとも言えない恐怖。その全てと折り合いをつけてもう一度歩き出す。

戻れない日々の続きを歩いていくんだ
これからも あなたがいなくても
あの日の2人に手を振れば
たしかに動き出した未来へ

楽しい非日常は永遠ではないけれど、その先に続く未来へそっと向かわせてくれるようだ。


M-3 もう少しだけ

 バクバクだった心臓も落ち着いてきたころ。非日常から、日常に近い場所に帰ってきたころ。

 優しいメロディとともに彼女は歩き出した。柔らかめのシンセベースとともに弾んでいた空気を落ち着けていく。

 オフィスというステージを めぐり ながら、あと一歩で追いつけそうな日々にひとつずつ寄り添いながら言葉を紡いでいく。

 その言葉の重ね方と、表情には、彼女の周りの幸せを願う美しい心が前面に出てきており、その笑顔に僕も無意識にはにかんでしまう。

 この姿をディズニーのプリンセスだと錯覚したのは僕だけではないはずだ!!(迫真)

もう少しだけ、優しくなれたのなら。そう思う日々に。

今日もどこかであなたが
今を生きるあなたがただ
小さな幸せを
見つけられますように


最後まで、丁寧に言葉を繋いだ瞬間


M-4 たぶん

 彼女が、画面の遠くに現れた。
 空間が大膨張して温度が急に下がったような静寂とともに曲は始まった。

 原作小説は、淡々と進んでいくイメージがあるが、その中の淡く滲む切なさを歩きながら表現していく。

 仄かに光る電球は、暖かくも心にぽっかり穴が空いたような空虚さも感じさせる。そのひとつひとつにそれぞれの日常が込められているようだ。

 その一つ一つに、寄り添うように切ない表情で埋められない心の穴を表現する。
2月のライブでは可愛らしさが目立っていたが、今回は随所で美しく、画面の向こうの人々を魅了した。

 曲の終わりには、2人だけになって奏でた音楽を確かめ合う。

 ここまで作ってきた日常の淡い雰囲気にフィンガースナップで終止符を打った。


 照明が落ち、2人の姿を見失ったと思うと一気に不穏な空気が流れはじめた。
 あぁ、怪物がやって来た。


M-5   怪物

 今回僕らの目となってくれたドローンは、押し寄せる不安の波もお構いなしで、無慈悲に肉食獣の心の嵐に連れ込んだ。
 願ってもないのに、どんどん恐ろしい方に行ってしまうテーマパークのライドに振り回されている感覚すら覚える。

 毎回、この曲の演出には度肝を抜かれる。やはり誰がなんと言おうとこの曲はユニットのエースナンバーだ!


 マイクに入る第一声は、がなりを含んだ半音で、いつもより狼は不機嫌なようだ。

あぁ、願う未来に何度でもずっと
喰らいつく この間違いだらけの世界のなか
君には笑って欲しいから


 気を抜けばすぐに置いていかれるほどの、荒れ狂うメロディのなかで。肉食獣としての本能と、守りたい存在への決意と。究極の二択を迫られながら生き続ける主人公の心情を滑らかに歌い上げる。

裏側の世界


 そんな肉食獣のこころに完全に入り込んだボーカルをさらに狂わすように、鉤爪のような凶悪なベースとギターが鳴り響く。もう本能は抑えられない。

それでも。

弱い自分を何度でもずっと
喰らい尽くす
僕の中の僕を超える

 自らの心の嵐から力強く抜け出すと、そこには。


M-6   アンコール

 非日常に再び引き戻された僕の元に現れたのは、美しくも終わりを迎えようとしている世界。
 終焉を静かに待つ世界で、アンコールというタイトルが冠された曲に没頭するかのようにメンバーがそれぞれの音を紡ぐ。

 自らの愛する音楽に心酔するかのよう。

 何度でもずっと好きな音を鳴らそう

 その時ふと現れた彼の背中に、僕の記憶のなかの彼の言葉が重なる。

向いてないとかは、何度か思ったけど。
ボーカルや音楽はやめようとは一度も思わなかった。
俺は、俺がカッコいいと思う音楽をやっていたいだけだから。

〜SING MY WORLD〜

 この時、僕の中でLIVEタイトルの合点が言った気がした。


M-7  夜に駆ける

 そして、満を持して彼らの創り上げる世界の原点となる曲。

 自らの名を背に負い、もはやミミタコであろう原曲を遥かに凌駕する爽快さで演奏する。

 騒がしい日々に
笑えない君に
思いつく限り
眩しい明日を


 自信に満ちた表情で、彼らの創り上げだ空間を一度完結させた。そう、おそらくここまでが自らを信じ確固たる決意で上り詰めてきた彼らの世界。





 コメントが追われることで、このLIVEが現在進行形であることを改めて知る。


 長い、長い廊下の先。その先で彼らは何を見せようというのか。


 LIVEタイトルの文字がないロゴの中心に2人が立っている。伝えたいメッセージは、今、自分たちの口から伝える。


 先ほどまでとは違う音の響きがする。

広い。

 脳がその効き馴染んだ音の正体を解析するのに約0.5秒。

あ、吹奏楽だ。

M-8   ハルカ

 コロコロと近くでなるようなイントロではなく。聴こえたのは、総勢172名の大阪桐蔭高校吹奏楽部の方々の演奏だ。

 1人の女の子の日常にそっと寄り添う机の上の小さな目線が、管楽の、場を大きく、力強く、かつやさしく包み込む音響を力に空へ羽ばたく。

つらいことも
うれしいことも
分かち合えるそんな
日々よ

 月の王子は、彼らの音楽で世界を見守る存在となったようで。ロマンチックで心が暖かくなる。

誰にも見えないところで
流した涙もほら
今の君につながってる

 コロナ禍で、思うように自分たちが大好きなことに打ち込めない時勢に。今度は自分たちの愛した音楽を届けるように。手をそっと重ねるような優しさで包み込む。

ねえ
君のそばにはもう
たくさんの愛が溢れてる
だから今は
どうか泣かないで

 そう、ここで彼らは自らの世界を抜け出して愛を唄い始めたのだ。


〜SING YOUR WORLD〜



M-9  群青

 彼らの思いをしっかりと受け取ったブラスバンドが、LIVE特別バージョンのイントロを披露する。彼らの音楽が確かな足音を立てて世界に駆けはじめた。

知らず知らず隠してた
本当の声を響かせてよ
ほら

 自分が積み上げてきた、そのすべてをもって、感じたままに奏でる。

朝も夜も走り続け
見つけ出した青い光

 好きなものと向き合い、弱い自分をさらけ出すことは辛いことかもしれない。でも、あなたの愛を唄えば、自らの足で確かに日々を紡いで歩けば。
世界はこんなに美しい。

このままどこまで歩いていくんだろう
未完成なままでいい 足りないかけら探して
日々をまた紡いでいく
             〜Answer〜
拍手喝采笑顔でカーテンコール
思うままに 好きなように
             〜シネマ〜

20:00
SING YOUR WORLD
FINISH
これは、愛すべき音楽への答え合わせ
愛の交換会
〜YOASOBI〜


メンバー

ikura

Ayase


ミソハギザクロ

AssH

やまもとひかる

仄雲

チームYOASOBI

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