観てみたら『三国志 Secret of Three Kingdoms』がスゴかった件・その5

今日は前回の続きを「深堀り」するつもりだったんだけど、参考資料検索の過程でこんなすばらしいブログ記事↓を発掘してしまったので急遽予定変更。
私もこの方が書いている感想とまったく同じなんですけど、できれば結末に至るまでのハラハラ・ドキドキを楽しんでいただきたいのでまだ見ていない方でこれから見てみようかなと思っておられる方は「ネタバレ注意」、見終わってから読まれることをオススメします。

ところで、同じ方の記事に『三国機密』に登場する古典を詳しく解説したシリーズが(1)〜(7)まであるんですけど、とりあえず(1)だけはりはり↓。

このドラマでは毎回、中国の古典から引用された詩や文言が出てきてそれがドラマの筋書きと密接に関連しているので、そこを「深堀り」するのも楽しそうだなとは思ったのですが、まさかここまで徹底して調べておられた方が既にいたとは…驚きと感謝です。
たとえば金庸作品なんかにも古典からの引用は出てきますけど、ここまで「てんこ盛り」なのは珍しいんじゃないかな。

で、ストーリーに関連する重要な典籍が↓の(6)の冒頭で(?)付きで出ているんですが、この“情に発して礼に止まる”は前半から「兄嫁と義弟が交わることは儒教的にみて大罪である」という縛りとして作用していて、なのでドラマの主人公二人が「契りを交わす」のはドラマのかなーり後半です(笑)。でも、そこらへんの焦らされ感も楽しかったですよ。

あ、そうだ、このドラマの「恋愛要素」についてはまだ書いてなかったですね。
ぜんぜん結ばれない二人に焦れている前半で、その欲求不満を満たしてくれる色っぽいシーンを担うのは郭嘉(実在)と貂蝉(三国志演義の創作)の二人です。もちろん郭嘉と董卓誅殺後の貂蝉が出会って恋人になる…という史実はまったく存在しません。

ドラマの前半は、この曹操の軍師である郭嘉と献帝(弟)および反曹操派との頭脳戦という展開でスリリングに進行していきます。
そうこうするうちにじつは郭嘉も貂蝉も献帝(弟)と志を同じくするけっこういいやつであることが判明し、お互い理解しあうことができたと思うまもなく史実どおりに郭嘉は若くして病死してしまいます。

郭嘉亡き後の後半では、司馬懿と弘農王妃とのアリエナイザーな純愛が登場するんですけど、ここにも「王妃と臣は結婚しちゃダメ」という儒教的縛りがあって、この二人の恋愛話は「でも司馬懿はそんなことぜんぜん気にしない自由人であり真心の人だもんね」というキャラ設定に一役買ってます。
結局これは悲恋に終わるんですけど、それによって「ラストのハッピーエンド」および「その後の司馬懿の活躍」という史実と見事に平仄が合ってくるので、これも原作者のプロット作りがじつに上手いと思わされた部分でした。

そんなわけでこのドラマの恋愛要素はいずれもわりと「爽やかな青春もの」っぽい感じで、私のニガテな後宮ドロドロ系要素はありません。

…とまあこういったところで、このドラマには「作品中に散りばめられた古典の典籍を探る楽しみ」と「史実と創作のクロスオーバーを探る楽しみ」もあり、ハマればハマるほどに味わい深く楽しめるスルメみたいな作品だったのでした。

続く。

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