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『日日是好日』『前世への冒険』森下典子著

先日、樹木希林さんの遺作となった映画『日日是好日』を観てきた。
というのも、まず原作本を読んだ時の感動が先にあって、それが映画化されたものをぜひ見てみたいということと、茶道そのものにも以前から関心があったからという二つの理由で「これはぜひ観ておきたい」と思ったのだ。

森下典子さんの『日日是好日 「お茶」が教えてくれた15のしあわせ』はAmazonのユーズドで2013年12月末に購入しているので、おそらくその頃に読了しているのだが、これに大変感動して、文庫版を購入してお茶に興味のありそうな友人たちに配り歩こうかと思ったぐらいだった。
さすがにお金かかるししなかったけど。

森下さんの本との出会いは、それよりも先に図書館で借りて読んだ『前世への冒険  ルネサンスの天才彫刻家を追って』にある。
これは「輪廻転生」や「前世」に興味関心のある人間にとっては外すことのできない本だ。
森下さん自身はまったくそのようなことを信じていない人だったのだが、ノンフィクションライターとしての取材の行きがかり上、知り合った霊能力者に自らの「前世」について聞かされ、実際にその「前世」の人物を調べるためにイタリアまで赴いた、その記録を本にしたドキュメンタリーであり、これも以前テレビでドラマ化されて放映されたことがある。
森下さんのスタンスは最後まで「事実を事実として描く」もので、輪廻転生や前世といったものが実際に「ある」ということを証明したり力説したりするものではない点に、逆にとても好感というか、安心感が持てる内容となっている。
この本で語られているのと同じく、私もまた輪廻転生や前世を「ある」とか「ない」とか決めつける前に、ジャッジせずにまるごと事実を受けとめたうえでその「物語」の中から豊かな栄養分を受け取ればいいという考えである。
「それが嘘か本当か見極められるほどご立派なもんでもないでしょ、あなたも私も」と、こういうことにやたらと否定的な人や逆に安易に信じ込んでしまう人に接するたびにそう思わずにいられない。

で、この『前世への冒険』で追跡対象となっている森下さんの前世はルネッサンス期のイタリアでそれなりに名のある彫刻家として生きていた過去生なのだが、もう一つ、「鑑真の唐招提寺で建築に携わった前世」についてもちょっとだけ言及されている。
ただしこれはこの本における追跡の本筋ではないので多くは語られていない。
そのことがどこか私の頭の片隅に引っかかっていて、それで「鑑真と唐招提寺」について興味があったのだが、その関係で鑑真をネット検索した時に「鑑真は疎まれていた」という情報がインプットされていたのだと思う。

まあ種明かしをすればそんなことになるわけだが、それにしても『日日是好日』の映画を見たり唐招提寺を訪れたりと、なんだか最近やたらと森下典子さんづいているなあと不思議に思っている次第である。

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