観てみたら『三国志 Secret of Three Kingdoms』がスゴかった件・その2

続けます(笑)。

前回、その1で今現在30〜40歳の「1980年代生まれ」をやたらと強調しましたが、中国におけるその世代は「80後(80后 バーリンホウ)」と呼ばれ、特徴的な世代を形成しています。

↑より引用)
“80後”とは、国際社会学者達が社会発展について討論している中で生まれた「代名詞」である。計画出産政策施行後に生まれた世代の人たちを指す(計画出産政策の新段階は1979年から施行されている)。中国では、歴史上初めて法律によって出産を制限するようになってから直面しているすべての問題、特に1980年以降に生まれた一人っ子たちの生活、成長、教養などの発展問題について議論されてきた。80後世代には改革開放という特殊な時代の傷跡が顕著に刻まれており、よく“90後”世代とともに議論されてきた。その後、1980年代生まれの人たちを指す言葉として広く使われるようになった。

現在活躍している若い書き手の多くが1980年代以降に生まれている。1985年〜1986年以降に生まれた若者の中で早くに成功した者は、本を出したのでなければ、演劇や歌で有名になっている。これを“80後現象”“80後写作(80後の創作)”と呼ぶ。

“90後”との違いとして“80後”の彼らは、小さなころから祖国が立ち遅れ、困難に立ち向うところから見る間に今日の成功を収めるまでの全ての記憶を有しているということである。生活を取り巻く先端技術も無く、モノも単純な生活をすごせる程度しかない、今となっては貴重で特別な子供時代から、中国における情報新時代に突入し、真っ先に新しい物事に触れられるようになり、21世紀における個性的な一世代の第一陣となった少年時代を経て、今では民族の栄誉や国家の行く末について考え、日々社会的責任を負うものとして成熟している一世代となっているのである。

何かと批判の的となってきた“80後”達だが、彼らは中国で現代的高等教育を受けた最初の世代であることに注意しなければならない。
1970年代まで、ほとんどの中国人は教育を受ける機会を奪われていた。文化大革命で紅衛兵が学校制度を破壊し、1968年から10年間、約1600万人の若者が農村や辺境に下放された(上山下郷運動)。知識階級の子弟も下放された。大学は閉鎖され、知識階級が撲滅されたのである。しかし、改革開放後急速な発展を遂げてきた現在では、大学進学率は2003年で20%を超えている。
しかし、低い就職率と不動産価格そして“70後”との女性争奪戦がこの世代が抱える主要な課題となっている。仕事を始めたばかりの彼らは収入が低く、その上物価の上昇により、望まずにして「月光族(収入をすぐ使い果たしてしまう人々)」となってしまっているのである。また彼らはもうすぐ家庭を持つというプレッシャーにも直面しており、こういったプレッシャーが“80後”達を成熟させている。

“80後”は2010年代において働き盛りの年齢であり、徐々に各職場においても責任あるポストに就くようになったため、次第に理性的になってきた。また“80後”はインターネット利用者が多く、最先端技術で時代をリードする存在になっているとの評価もある。

上記引用から思い浮かぶのは「日本における終戦直後の団塊の世代とそのあとに続く昭和30年半ば生まれぐらいまでの世代との類似性」です。西暦でいうと1945年〜1965年になります。これは「戦争による破壊」と「文革による破壊」がもたらした効果の類似性とでもいいましょうか…
もちろん両者の時代は35年ほどずれているので、その間に起きたテクノロジーの進展(とりわけインターネットの発達)への適応性が異なっていますが、それでもこの両者の心性には共通点が多くみられ、それは下記引用部分↓のような「成長期体験の類似性」からきているのではないかと思われます。

彼らは、小さなころから祖国が立ち遅れ、困難に立ち向うところから見る間に今日の成功を収めるまでの全ての記憶を有しているということである。生活を取り巻く先端技術も無く、モノも単純な生活をすごせる程度しかない、今となっては貴重で特別な子供時代から、中国における情報新時代に突入し、真っ先に新しい物事に触れられるようになり、21世紀における個性的な一世代の第一陣となった少年時代を経て、今では民族の栄誉や国家の行く末について考え、日々社会的責任を負うものとして成熟している一世代となっている

逆に相違点は、

現在活躍している若い書き手の多くが1980年代以降に生まれている。1985年〜1986年以降に生まれた若者の中で早くに成功した者は、本を出したのでなければ、演劇や歌で有名になっている。これを“80後現象”“80後写作(80後の創作)”と呼ぶ。

↑このように80後世代における早期の成功者が「作家もしくは演劇や歌謡といったジャンルに多い」という点で、これが『三国機密』の原作者や主な俳優陣が80後世代であること関係ありそうだなと思ったのです。だから80年代生まれについてことさらとりあげてきた。
これはむしろ今現在の日本で才能ある若者が「アニメ関係」に殺到して一大ボリュームゾーンを形成しているのと似ているのかもしれません。
どちらにせよその厳しい競争の中で勝ち抜いた才能あるものは「莫大な利益を得る」ことができるのですが、彼・彼女らは必ずしも「儲けたいから」やっているのではなくて、「好きだから」あるいは「才能や適性があるから」やっているところが「お金のために」働く人物や世代と大きく異なっている点です。

ああ、まだ「『三国機密』の何がスゴいのか」にたどり着けないよ(笑)。
とりあえず今回は「『三国機密』制作を支えていた世代についての解説」で終わって、次にようやく「では『三国機密』という作品の何がスゴいのか」についての解説に入れるかな、どうかな(笑)。
…というわけで、その3に続く(たぶん)。

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