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ホモ・デウスとユースレス階級

やっぱり↓この記事の続きで、バリバリのオカルト話第2弾です。

最後のところで「世襲なんかではなく適正な競争下で選抜が行われた場合にその集団が一番強くなる」と書きましたが、これは進化論的にいうと複雑系の「カオスの縁と創発」と呼ばれるものです。
たとえばそれは、大勢の人がせめぎ合うなかで「カオスの縁」と呼ばれる領域が発生し、そこで「相転移的な創発現象」が起きてそれまでのものを変質させる「まったく新しい何か」が生まれる…といった事態であり、したがって「身分制度などで固定した流動性のない社会」では起きませんし、あまりに人数が少なくても起きません。
「適正な競争下で行われる選抜」というのは「大勢の人が殺到する中で真に実力あるものが選ばれる」状態をいい、日本の戦国時代なんかもそうです。それが中国におけるドラマ業界での選抜にも起きていて、その結果中国ドラマが凄まじい速さで進化しつつあるのだと言ったのです。

これは現在世界的に起きている現象で、これまでも取り上げた「ヒトラーの予言」↓で語られていた通りになりつつあります。

↑より引用)
「…“2つの極”はますます進む。1989年以後、人間はごく少数の新しいタイプの支配者たちと、非常に多数の、新しいタイプの被支配者とに、ますます分かれていく。一方は、全てを操り、従える者。他方は、知らずしらずのうちに、全てを操られ、従わされる者たち。
しかも進むのはそれだけじゃない。人間がそうなるにしたがって、地球にも宇宙にも大変動が起こるのだ。1989年以後、人類には宇宙から、かつてないカタストロフィ(大破局)が近づくのだ。
若いころ私は、『我が闘争』に、いずれ人間が大自然から復讐されると書いた。それが1989年以後の状態だ。人間が思い上がって宇宙の自然を犯すため、宇宙が人類に復讐の災厄を下すのだ。そしてそれが人類を、想像を絶する究極の状態にみちびいていく。私が生まれてから150年後、21世紀に来る究極に。私自身もそれを霊感ではっきりと見てさえ、信じられないような究極に。」
「…(20世紀末は)たとえ表面はデモクラシーや社会主義の世であろうとも、実質はナチズムが支配していよう。デモクラシーの国も社会主義の国も、われわれナチスの兵器を競って使い、殺し合い、社会は私の望むとおり、強く支配する者と支配される多数者に分かれていよう。それは天変地異の期間でもある。人類は大自然から手ひどく復讐される。気候も2つに分かれ、激しい熱と激しい冷気、火と氷、大洪水と大旱魃(かんばつ)が代わる代わる地球を襲うだろう。」
「だからその中から『超人(ユーベルメンシュ)』が現われる。もはや普通の人間ではそういう危機を制御できない。それに対応するため人類は超人たちを生み、超人が世界や気候を、人間や戦争を治めることになる。
つまり天変地異の下に生きる多数者。それを支配する少数者。その陰で実質的に世界を操る超人グループ。これが、私の予知する21世紀の世界である。
「しかし諸君、さらに重大なのは、私がいま、これを話している100年後のことだ。それを告げるためにこそ、私は今日を選んで諸君を招いたのだ。今日から100年後といえば、すなわち2039年1月25日だ。
諸君にはわからないだろうが、そのとき人類には真の究極の状況が起こっている。そのとき人類は──少なくとも、いま言っているような意味での人類は、2039年1月、地球からいなくなっているのだ。」

↑これが「これから人類が迎えるカオスの縁と相転移的創発現象」ということです。

たとえば、最近「人新世」という言葉が使われるようになりました↓。

↑より引用)
人類が地球の地質や生態系に重大な影響を与える発端を起点として提案された、完新世(Holocene, ホロシーン)に続く想定上の地質時代

これはつまり「人類の営みが地球環境を変えて新しい地質年代を作り出してしまった」ということで、「ストロマトライトによる酸素濃度の増加や隕石落下による恐竜絶滅と同じようなことを人類はしでかしつつある」ことを意味します。
その環境変化に人類も適応せざるを得ず、「少数の進化した新しい超人(→神人)と、その支配のもとで生きる多数者」とに分かれていくことになる↓。

その中から『超人(ユーベルメンシュ)』が現われる。もはや普通の人間ではそういう危機を制御できない。それに対応するため人類は超人たちを生み、超人が世界や気候を、人間や戦争を治めることになる。
つまり天変地異の下に生きる多数者。それを支配する少数者。その陰で実質的に世界を操る超人グループ。

その「完成」が2039年であるとヒトラーは予言しているわけですが、これと同じことをユヴァル・ノア・ハラリ氏がその著書『ホモ・デウス』の中で「ホモ・デウス(神人)」に進化する者と「ユースレス(無用)階級」にとどまる者という表現で述べています。
まあ2039年まであと20年もないので、こんなことをいう人が増えているのもむべなるかなですが。

予言ではこんな感じ↓です。

人類は2039年1月、人類以外のものに“進化”するか、そうでなければ“退化”してしまっている
「それをもっとはっきり言えば、人類の一部はそのとき、人類から、より高度なものに進化して、神に近い生物になっている。人類から神のほうへ進化するのだから、それは『神人(ゴッドメンシュ)』と呼んでかまわない。
残りの大部分は、これも進化なのか退化というべきかわからないが、一種の機械になっている。ただ操られて働いたり楽しんだりするだけの、完全に受動的な、機械的な反応しか示さない『ロボット人間』になっているのだ。それまでの気候異変と環境異変、政治と娯楽と食物、それから起こる突然変異が、そのようなロボットのような人間を大量に生み出す。
神人のほうも同様で、同じ原因から生まれてくる。ただ突然変異が大脳にプラスに働いて、進化の方向がロボット人間と別方向になるだけだ。その前段階の『超人(ユーベルメンシュ)』たちも、より進化して神人になる場合がある。
いずれにせよ、彼らはいまの人間の数次元上の知能と力を持つ。彼らは団結して地球を支配する。それまでのあらゆる危機や問題は、彼ら神人たちの知能と力で急速に解決されていく。
ロボット人間たちのほうは、それに従って生きるだけだ。これはある意味では気楽な身分だ。戦争も気候も経済も、神人たちによって制御されてしまうので、ロボット人間たちは神人たちの認める限度で、多くのものを与えられる。食物と住居も、職業も娯楽も恋愛も教育も、時には思想さえも与えられる。
ただロボット人間たちは、与えられ、操られていることを意識できないようになる。自分たちの意識では、何もかも自分で選択して勝手に生きているのだと思う。しかし、じつは神人たちがすべてを見通して、管理工場の『家畜』のように彼らを育て飼うことになるのだ。
こうして人類は、完全に2つに分かれる。天と地のように、2つに分かれた進化の方向を、それぞれ進みはじめる。一方は限りなく神に近いものへ、他方は限りなく機械的生物に近いものへ。これが2039年の人類だ。その先もずっと人類はこの状態を続ける。
そしておそらく2089年から2999年にかけて、完全な神々と完全な機械的生物だけの世界が出来上がる。地上には機械的生物の群れが住み、神々がそれを宇宙から支配するようになるのだ。」

では、そのような「神人(ホモ・デウス)」に進化するのはどのような人なのかについてですが、

「未来の社会はどんな様相を見せるだろうか。同志諸君、申し上げよう。
まず闘争によって選りぬかれた貴族階級が現われる。新しい中産階級、無知な大衆、新しい奴隷、仕えるものの集団、『永遠の未成年者集団』があろう。そしてこれらすべての上に、さらに新しい貴族がある。特別の指導的人物である。
このように、支配をめぐる闘争によって、国の内外に新しい身分が成立する。しかも東方が巨大な実験の場になる……そこに新しいヨーロッパの社会秩序が生まれるのだ」
私が言った未来に現われる『永遠の未成年者集団』というのは、もちろん、死ぬまで大人になりきれない人間たち、ということだ。
そんなことは、厳しい正常な社会ではありえない。だからそうなる背景には、甘やかされた異常な社会が当然ある。その中で、同じように大人になりきれない親に、愛玩動物のように育てられるため、子どもも成人しても真の大人になれないのだ」
「しかしハンス、じつはそれだけじゃない。私が本当に言いたかったのは、そのことではない。
未来社会には、そういう『永遠の未成年者集団』が現われる一方で、幼いときから大人の思考と感情を持った人間たちも現われるのだ。信じられないだろうが、彼らは胎児のときからさえ、そのように教育される。5つか6つで一人前の理屈と判断力を備え、13、4歳にもなれば、並の大人を指揮するほどの力を持つようになる。
つまり両極端ということだ。肉体が大人で感情が幼児のようなグループと、肉体はまだ青春期にまでいかないのに、思考と感情が大人を超えるグループ……」
「人類と社会のあらゆることが、未来には、そのように両極端に分かれてしまうのだ。
たとえばカネだ。一方には腐るほど大量のカネを持ち、広く高価な土地を持ち、労せずして限りなく肥っていく階級が現われる。貴族とか新しい中産階級とか言ったのはその意味だ。
だが少数の彼らが現われる一方、他方の極には、何をどうやっても絶対に浮かび上がれない連中も現われるのだ。
それはカネだけの問題でもない。より正確にいえば、精神の問題だ。
限りなく心が豊かになっていく精神の貴族、精神の新しい中産階級が現われる半面、支配者が笑えと言えば笑い、戦えといえば戦う『無知の大衆』、『新しい奴隷』も増えていくのだ」
「神人」たちも祖先は人間だったが、彼ら自身はもう人間ではない。人間より数段進化した、人間以上の別の「種」が「神人」だ。いまの私たちが、生物学でいう「ヒト科ヒト」ならば、「神人」はもう「カミ科カミヒト」になっているのだ。
彼らに支配される「ロボット人間」たちも、たしかに完全管理されてやりきれないが、別に超テレビで監視されるのではない。「神人」はテレビなど使わなくても全部わかる。だからオーウェルの描いた悲惨な民衆よりはずっと気楽で、何かわからない「神人」たちのプログラムの範囲内では、自由に生きていかれる。
ヒトラー予言では、2039年、大戦と汚染から生き残った世界は、表面はどうであれ実質上、突然変異で超知能を持った「神人」たちに握られている。
大部分の民衆は「ロボット人間」のようになり、「神人」たちのプログラム通りに動き、権力が勝手に何をやろうと、将来何を計画しようと、もうなんの関心も疑問も持たない。そういう、気楽だが超管理化された社会、しかも、そのことを「ロボット人間」たち自身は全く気づかない社会になっている。

↑と、まあこんな感じです。

あと、「永遠の未成年者の実験場は東方」というのを「東方すなわち日本に永遠の未成年者=神人が現れる」と都合よく誤読する方がいますが、「永遠の未成年者」はユースレス階級のロボット人間のほうであって神人ではないのと、「小皇帝」の存在なんかを考えると「東方」は日本よりも中国のほうがよほど当てはまります。
「神人」と「永遠の未成年者」はイコールではないので、そこのところお間違えなく。

【おまけ】

↑より引用)
――本書の下敷きの一つともいえるユヴァル・ノア・ハラリ氏の『ホモ・デウス』には「ユースレス・クラス」という概念が出てきます。人類の中に「無用な階級」が出てくるという示唆ですが、片山さんは本書の中で分断について書かれています。これはコンピューターの発展についていけなくなった人たちがそのユースレスに転落するということなのでしょうか?
***
片山:そう考えることはできるでしょう。アメリカだとウォルマートで買い物をして、肥満化した人たち。ただ、もしユースレス・クラスが地球規模で出現しても、そういう人たちを肥満化させる体力は地球にはないはずです。
では、地球規模で生まれたユースレス・クラスはどう生きていくのかということですが、僕は映画の『マトリックス』しかないんじゃないか、と。仮死状態になり、バーチャルな世界で幸せになってもらう。エネルギーをほとんど使わない状態で飼い殺しになって、データだけ搾取されるというような方向性しかないんじゃないかと思うんです。ユヴァル氏は「ケミカルに幸せになってもらう」と言っていますが、資源やエネルギーを使わない形で幸せになってもらうという可能性は十分に考えられますよね。


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