私を疑っているんですか!?に対する考察

科捜研の女大好き芸人、教祖です。

科捜研は鑑定がメインなので、実は「私を疑っているんですか!?」は少ないかもしれません。
これは聞き込みで「死亡推定時刻にアリバイはありますか?」と刑事さんが聞いた時によく返ってくる台詞です。

どのサスペンスにも一度は必ず出ていそうなこの台詞ですが、サスペンスをよく観ていると「またそれかよ……」となってしまいます。
アリバイを聞かれて逆ギレするのを観てイラッとしますし、怒るってことはお前が犯人なんじゃと思ってしまいます。
というか、現実にアリバイを聞かれたら私なら怪しまれないように素直に答えますと、そう思っていた時期が私にもありました。
ありがちな台詞というからには相応にその言葉が出る理由があるわけです。

まず、視聴者が「またそれかよ……」となってしまうのは刑事側でドラマを見てしまうからです。
現実には、警察でもない我々は圧倒的に聞き込みされる側になる可能性の方が高いのです。
刑事にとって聞き込みは日常茶飯事ですから、ドラマとして見ていると相対的にこのセリフの頻度が高いように感じるのでしょう。

そして「アリバイを聞かれて怒るのは逆効果では?」については、ドラマ的には真犯人から目を背けさせる演出もあると思います。
実際、科捜研の女でこの怒り方をする人が真犯人であるケースは非常に少ないです。
科捜研では少しでも疑いがかかった人間は逆に犯人の可能性から除外されますから。
ちょっと言いにくい理由があるだけで、犯人ではないケースが多いですね。

そもそも何故アリバイを聞かれて怒るのかという点。
アリバイを聞かれたのが直接の原因ではなく、アリバイを聞かれたことによって犯人だと疑われたと感じたから怒った、というのが正確ですね。
怒る理由は、一言で言えば協力して損をしたと思ってしまうからです。

例えば、知り合いが殺害されたということで刑事があなたのところへ聞き込みに来たとします。
少し時間を作って質問に答えたり、場合によっては署まで同行して情報を提供します。
そこまでお手伝いする姿勢を見せたのに犯人と疑われたら、どうでしょうか?
もし冤罪で自分が捕まったらと思うでしょうし、少し心に引っかかるものがあるかもしれません。
第一発見者の場合もそうです。
発見時の状況を色々聞かれるのは当然としても、第一発見者だからという理由で疑いをかけられてはモヤッとするでしょう。

殺人事件だとピンと来ない方は、学校でのシチュエーションを考えるとわかりやすいと思いす。
実際私はまさにこういった事件に遭遇したことがあり、それでこの記事を書くことを思い至りました。

事件の概要はこうです。
同じクラスの子が体育の授業終わりに着替えようとしたところ、衣服が無いことに気がつきました。
その子は誰かが意地悪をして自分の服を隠したと思い、泣いてしまいました。
それを見たみんなは服を探し始め、自分も一緒になって探します。
すると、たまたま自分が覗いた所に丸められた服を発見し、ひとまず事件は解決したのでした……と思いきや、放課後担任に単独で呼び出されます。
狭い部屋に連れていかれ、事件の概要や発見時の状況を色々と聞き出されます。
そして最後に「一応聞くけどお前がやったわけではないんだな?」と聞かれたのでした。

最後の質問に、教祖は非っっっっ常にイラッとしました。
担任が「何でお前が見つけたんだ?実はお前が犯人で隠し場所を知ってたからだろ?」と思っていただろうと子供ながらに感じたのです。
私の潔白をあなたが信じるかどうかはさておき、もしこれがあなただったらと考えてみてください。
自分は絶対に服を隠していないし、善意で捜索し服を見つけて解決に導いたのに犯人ではないかと疑われているのです。
こうなると協力して損をしたと思ってしまいす。

私を疑っているんですかと怒るのはまさにこの心理なのではないでしょうか。
基本的に一発目はアリバイではなく被害者との関係から聞くので、「アリバイの前の質問色々素直に答えたのにまだ疑ってるのか」と感じるのでしょう。

台本を書く人がそこまで考えているかはさておき、実際に自分が取り調べを受けたらと考えると案外これは自然なセリフなのかもしれません。

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