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介護度が下がった母よそゆきの声を使う

仕事から家に帰ったら、ダンボール箱に入った筍が4本置いてあった。親戚のおじさんが置いていってくれたらしい。

おじさんは山を所有している。

以前我が家にやってきた時、今度来る時は筍を持って来るよと、言っていた。
一年に一度しか山に入らんから、あるかどうかわからんけどね
とも言っていたが、なかなか大きくて立派な筍だ。

デイサービスから帰った母に伝え、お礼の電話をかけてもらえことにした。

電話番号を押し、母に手渡す。

もしもし、〇〇だけど…

普段の話し声より高い澄んだ声が聞こえた。

これは元気な頃の懐かしい母の話し声。

かけた先は母の実家、母の弟の家。
山の上にあり段差も多いため、車椅子生活になってからは、なかなか訪れることができないでいる。

それでも何とか実家の景色を見せてあげたくて車で連れて行くのだけど、実家の車の駐車スペースがすでに急な坂のため、降りることができない。なのでなかなか行きだがらない。

4月に入ったこの時期は、いつも筍を運んできてくれる時期。
毎年旬の筍を楽しみにしている時期。

嬉しかったのだろう。母の声に感情がのった。

脳梗塞で2度入院した母は、声に感情がのっていない。退院当初よりよくはなっているものの、元気な頃とは違う。

おじさんとは電話で時々話しているのだか、滑舌のいい澄んだ声を聞いたのは久しぶりだった。

母の話し声は嬉しそうだった。久しぶりに聞いた楽しそうな母の声に、私も嬉しくなった。

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