見出し画像

【BOOK log_2】そうか、もっと「前へ」でよう

夫がご飯を作ってくれるという。

食材の買い出しという大義名分を持ちながら
ちいさな書籍コーナーのあるご近所スーパーへ。


買うつもりはなかったのだけれど「あ、読みたい」と思い
お持ち帰りした。

今度生まれたら (講談社文庫)/内館 牧子さん

70歳になったばかりの女性、佐川夏江の物語。



1_70歳って、こんなにも若い

今39歳です。
70歳になった自分のことを想像するのは少し難しい。

家を出て3歩も歩けば70代であろう人たちと出会えるし、挨拶も交わす。
けれど心の内に何を思い、何を感じているのかわからない。


35歳過ぎたら同級生!


なんて言葉があるけれど、そうなのかもしれない。
外側は歳を重ねていくけれど心は35歳と大して変わらないのかもしれない。


----
本当にそうなの?
ほんとのところを知りたい。
---


そうつまり
70歳の人がどんな心持ちなのかを知りたいと思った。


自分の年齢までの人たちの気持ちはなんとなく想像がつく。

わたしとまったく同じということはないのはわかっているけれど、こういうライフイベントがあってこういうことが苦しかったり嬉しいよねって。


でも、それ以上のことはあまり想像がつかない。
想像はできても「リアル」はわからない。


---
70歳のリアル、って?
---


それを知りたかった。


そのことで
70歳の自分から、39歳の自分へ何が言いたくなるのかを感じたかった。


作者は内館さん。
主人公と同じ世代。 
余計にいい。
とってもリアル。




読み進めて感じたのは

70歳と39歳、、、
たいして変わらないじゃないか!


35歳過ぎたら同級生!説濃厚。


これまで歩いてきた人生に後悔を滲ませて
これから何をすべきか
何を社会に役立てるべきか
自分には何もないことに悔やみ
あの時、あぁすればよかった、こうすればよかった。



高齢者に趣味を!と声高に訴える人たちに苛立ち
心の中で「まだわたしだってできるんだから!』と意欲に満ち溢れている。



70歳は若い。
確実に若い。




2_後悔が好きな人


自由ですよ
って無限の選択肢を目の前に見せられると人は選べない。


3個くらいの方が選べると言われている
松竹梅がいい例。


夏江は、幸せな結婚をすることばかり考えていて
両親も先生も応援してくれていたのに
自分の才能を大切にしなかった。

そのことにウジウジと後悔している。


でも思う。


本当にやりたい事をしなかった。

という後悔が、夏江にはあるんだけど


幸せな結婚もやりたいことだったんだと思う。
確実に叶えたい未来だったんだと思う。


だから、本当にやりたい事を選べていた。


でもどうして後悔してしまうのかと言えば
今に幸せを感じていないから。に尽きる…


幸せを感じなきゃと思っている
あとは下っていくだけかと思っている
同じ毎日のくり返しに飽きている
わたしには何もないという空虚感



(あぁ。70歳じゃなくても心当たりがある。)


後悔する人というのはどちらを選んでも
選ばなかった方の未来をいくらか美化して後悔の中に入っていく。


それが人間ってやつなのかな。
そういうことにしておいてくれます?


3_しあわせってカンタンなのに難しい


しあわせは今この瞬間からなれる。
物質的なものではしあわせになれない。


知識だけはどんどん降り積もっているけれど


できているか?

と、問われたら


た、た、たぶん。と少し尻込みしてしまう。



よくよく考えたら
大体の人が「しあわせ」と言える。


わかっている。頭では分かっている。
でもそれで「しあわせ~~~」と感じられないことに焦る。


なんて欲深いんだと悲しくもなったり
なんでわたしはこんなに恵まれないんだ!と憤ったり


4_しあわせについて、考え始めることがしあわせの始まり


しあわせって何だろう?
一般論じゃなくて、わたしのしあわせって何だろう?


アンテナを立ててみると


美味しいものを食べてしあわせ
人と話せてしあわせ
空を見るとしあわせ

そういうものがゴロゴロでてくる


それはそれでしあわせ。
間違いない。
それもすっごく大切。


でもそういうのじゃなくて
もっとココロが沸き立って浮き立って、どうしうもなくしあわせを感じること。それを夏江はやりたいと思っている。



ある時から夏江はウジウジするのを辞めて
少しずつ動き出す。

相手のパンチを受けないように避けていると、間違いなく自分にパンチは当たらないから、ダメージはない。だけど避けるということは、前に出ないことだから、自分のパンチも相手に当たらない。だから勝てない。

「今度生まれたら」内館牧子さん


そしたら、どんどんパンチが当たり出す。


見栄とかプライドとかそんなものはすべて捨てて。



夏江のカッコイイところは、内側でどんなに黒い気持ちが渦巻いていても外側はいつも凛として美しくて上品で真直ぐなところ。



息子のお嫁さんが、息子にツラくあたってることが判明して
お嫁さんに会いに行く。
でも、息子ではなくお嫁さんを助けようとする気概。



これは、70歳だからこそ染み出るカッコよさな気がした。


かわいいおばあちゃんも素敵だけれど、カッコイイおばあちゃんはもっと素敵だな~って夏江を見ていて思う。
(「おばあちゃん」なんて言ってたら怒られそう!)


5_<まとめ>


35歳過ぎたら同級生説。


信じようと思います! 


何才になったって、大切なことは同じ。



これまで、同年代が主役
著者が同い年くらい

という本をついつい読んでしまっていたけれど
違う世代のもの、違う時代のものを読んでいこう。


本選びも、Amazonで口コミばっかり読んでないで
本屋さんでのふとした出会いを大切にしたい。


身長はもう伸びないけれど
そうやって自分の内面を、ぐいんぐいん広げていくのだ。




この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?