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#彼は彼であって彼じゃない #ブログをやめた人 (連載中)

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ブログをやめた人①

今でもはっきりと覚えている。ブログを始めた日のことを。 私がブログを始めたのはお金のためだった。 当時は時代でいうと、FIREという経済的自立と早期退職を意味する生…

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1年前
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報告と御礼「いつかの私に勇気をくれた見知らぬあなたたちへ」

サクラ咲く今日、久しぶりに投稿したのは、 みなさんへ報告と御礼をしにきました 職場でのいやがらせを上司に相談して1年半 上司に見切りをつけて会社総務に相談して1年 …

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1か月前
17

忘れてあげない

突然告げられた別れは私の脳みそを貫いた。 あまりに驚きすぎて心はなんともなかった。ただ、頭を強く打たれたような衝撃が走った。 それが別れを告げられた瞬間の感覚だ…

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9か月前
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減点方式の社会

100点満点のテストで20点をとると 「20点取った人」と見られるのが子供で 100点満点のテストで80点をとると 「20点落とした人」と見られるのが大人だ 社会は、わたしたち…

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9か月前
2

心に傘と、脚に支えを

「止まない雨はない」なんて、励ますつもりで言ってるならやめてほしい。 止まない雨がないことも、明けない夜がないことも、十分理解している。 雨が止まないことが悲し…

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1年前
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わたしのじぃちゃんについて

わたしのじぃちゃんは不老不死でした。 物心ついた時から、じぃちゃんは爺ちゃんで、 一緒に過ごした二十数年の間、じぃちゃんはずっと爺ちゃんでした。 わたしが5歳の頃…

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1年前
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ハッピーエンドよりも【3/3】

むかし誰かが言っていた。 “恋愛映画を観て頭に思い浮かんだ人物が あなたが恋をしている相手だ”と。 普段はアクションやサブカルもの、ほのぼの系を好んで観る私だが、…

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1年前
11

953【2/3】

2021年12月24日 この日のために1ヶ月間、駅前の夜を彩り続けたイルミネーションと この日のために誰かを想い準備をしてきた人たち 街全体が浮き足立って、星を散りばめた…

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1年前
10

私の「」なもの【1/3】

子供の頃、「すき」という言葉はとてもシンプルだった。 その2文字はただただ甘酸っぱく その響きはただただ心を弾ませた。 大人になった今はどうだろう。 年月と共にい…

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1年前
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最終回は最後であって最後じゃない【彼は彼であって彼じゃない⑦】

12月中旬 その年1番の寒い日だった 待ち合わせ場所に到着すると、やっぱり彼はすでに1杯目のビールを飲んでいた。 彼の2杯目と私の1杯目の生ビールを注文して、料理を待…

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2年前
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ザ・フール【彼は彼であって彼じゃない⑥】

突然ですが、皆さんは異性の脈ありサインを見抜けるでしょうか? 私は、わりと得意です。 観察力と五感が他人よりちょっと優れているので、周りからも「勘がいい」とよく…

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2年前
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防御力ゼロのバリケード【彼は彼であって彼じゃない⑤】

時刻は午後8時 2時間前に外にいた時よりも風が一層冷たくなっていた。 「2次会どうする?いく?」 と聞かれたので、「行きますか!」といつものように返事をする。 お忘…

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2年前
13

充足感ってこういうこと【彼は彼であって彼じゃない④】

電話で話した次の日、待ち合わせ場所の個室居酒屋へ到着すると、「彼」はすでに一杯目のビールを半分飲み終えていた。 私も生ビールと料理を少し注文すると、注文を終える…

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2年前
16

「ただの仲良しな先輩後輩」【彼は彼であって彼じゃない③】

「転勤するって聞いたけど本当?」 彼が私の転勤をどこかで知ったようだ。 後から聞いた話だと、私と仲が良い「彼」が転勤を知らないはずがないと思って、チームリーダー…

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2年前
19

何も始まらなければ何も終わらない【彼は彼であって彼じゃない②】

令和3年も残り1ヶ月に迫った頃 以前から希望していた異動願いが通った。 仕事上の直接的な関係がない人たちには通知義務がなかったので、私が来月から異動することを知っ…

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2年前
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昭和ジェントルと平成ガール【彼は彼であって彼じゃない①】

社会人になって1ヶ月が過ぎた頃、平成が終わった。 2019年5月 31年続いた平成の時代がおわり、令和がやってきたのだ。 平成生まれとしては、自分が過ごしてきた日々が色…

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2年前
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ブログをやめた人①

今でもはっきりと覚えている。ブログを始めた日のことを。

私がブログを始めたのはお金のためだった。
当時は時代でいうと、FIREという経済的自立と早期退職を意味する生き方が、世のサラリーマンを中心に大きな注目を集め始めた頃だった。
FIREに特に強く関心を示していたのは、現在の働き方に不満や不安を持つ者たちで、私もそのうちの一人だったのだ。

私はとにかく、仕事がつまらなかった。
こんなことを言う

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報告と御礼「いつかの私に勇気をくれた見知らぬあなたたちへ」

サクラ咲く今日、久しぶりに投稿したのは、
みなさんへ報告と御礼をしにきました

職場でのいやがらせを上司に相談して1年半
上司に見切りをつけて会社総務に相談して1年

ようやく、戦いが終わりました

相手の懲戒処分が決まりました

めまいで朝起き上がれなかった日もあったし
会社のトイレで咽び泣いた日も、
通勤途中に涙が止まらなくなり出社できなかった日もありました

上司や総務に相談し始めた頃は、相

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忘れてあげない

突然告げられた別れは私の脳みそを貫いた。

あまりに驚きすぎて心はなんともなかった。ただ、頭を強く打たれたような衝撃が走った。

それが別れを告げられた瞬間の感覚だった。

30秒経って、彼がなんと言ったのか理解した。

1分経って、ようやく呼吸ができたような気がした。

5分経っても彼の顔を見ることはできなかった。

20分経った頃、彼が荷物を持って家を出て行った。

20分と3秒経って、いまさ

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減点方式の社会

100点満点のテストで20点をとると
「20点取った人」と見られるのが子供で

100点満点のテストで80点をとると
「20点落とした人」と見られるのが大人だ

社会は、わたしたちが80点取ったことよりも
20点取れなかったことに注目する

大人になると減点方式なのだ

子供の頃に積み上げたテストの点数たちは
自尊心というものだったと今になって気付く
あるいは、自己肯定感とも言うかもしれない

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心に傘と、脚に支えを

「止まない雨はない」なんて、励ますつもりで言ってるならやめてほしい。

止まない雨がないことも、明けない夜がないことも、十分理解している。

雨が止まないことが悲しいわけじゃない。夜が明けないことが辛いんじゃない。「いつになったら陽の光を浴びれるのか」それがわからないから辛いのだ。

「止まない雨はない」なんて、助けるつもりで言ってるならやめてほしい。

その言葉がもたらすのは救いではない。雷(い

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わたしのじぃちゃんについて

わたしのじぃちゃんは不老不死でした。

物心ついた時から、じぃちゃんは爺ちゃんで、
一緒に過ごした二十数年の間、じぃちゃんはずっと爺ちゃんでした。

わたしが5歳の頃、
じぃちゃんは蛇に噛まれて指がだるまみたいになったけど、全然平気そうでした。

わたしのじぃちゃんは不老不死なのかもしれないと思いました。

わたしが10歳の頃、
じぃちゃんは鎌で手をザクっと切ってたけど、小さな絆創膏1つ貼っただけ

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ハッピーエンドよりも【3/3】

むかし誰かが言っていた。
“恋愛映画を観て頭に思い浮かんだ人物が
あなたが恋をしている相手だ”と。

普段はアクションやサブカルもの、ほのぼの系を好んで観る私だが、個人的にハズレがないと思っている監督の新作が気になり、あの日は珍しく恋愛映画を目当てに映画館に足を運んだ。

主人公は独自の”好み”をもつ男女2人。

趣味が合う彼と彼女はあっという間に意気投合して仲良くなり、会うたびに距離が縮まってい

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953【2/3】

2021年12月24日

この日のために1ヶ月間、駅前の夜を彩り続けたイルミネーションと
この日のために誰かを想い準備をしてきた人たち

街全体が浮き足立って、星を散りばめたフィルターがかかっているようにみえる。
そんなクリスマスイブが好きだった。

誕生日からおよそ1週間後にやってくるこのイベント
我が家ではケーキ月間にならないよう、クリスマスにはアイスケーキを食べる。

何度溶けても冷凍庫に入

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私の「」なもの【1/3】

子供の頃、「すき」という言葉はとてもシンプルだった。

その2文字はただただ甘酸っぱく
その響きはただただ心を弾ませた。

大人になった今はどうだろう。

年月と共にいろいろな恋を知り、その二文字はたくさんの意味を含むようになってしまった。

本当はもっと単純なはずなのに。

「彼」の隣で初めて眠った日の朝、布団の重みで目が覚めた。

背中に熱を感じて振り返ると、昨日まで”ただの仲が良い先輩”だっ

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最終回は最後であって最後じゃない【彼は彼であって彼じゃない⑦】

12月中旬 その年1番の寒い日だった

待ち合わせ場所に到着すると、やっぱり彼はすでに1杯目のビールを飲んでいた。

彼の2杯目と私の1杯目の生ビールを注文して、料理を待っている間、彼が鞄から紙袋を出してきた。

「誕生日おめでとう」

その日の数日前が私の誕生日だったのだ。

すごく嬉しかった。
誕生日を覚えていてくれたことと、悩みながらプレゼントを選んでくれたこと。

彼はお世辞にも細かい性格

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ザ・フール【彼は彼であって彼じゃない⑥】

突然ですが、皆さんは異性の脈ありサインを見抜けるでしょうか?

私は、わりと得意です。

観察力と五感が他人よりちょっと優れているので、周りからも「勘がいい」とよく言われます。

さて、話を本題に戻します。

朝まで2人で過ごした私と「彼」は、お酒が抜けきった頃に車で帰路についていました。

お互いオールするほど若くはないので、車内はどことなく口数少なめ。

私が窓の外を見ながら、なんとか一晩乗り

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防御力ゼロのバリケード【彼は彼であって彼じゃない⑤】

時刻は午後8時

2時間前に外にいた時よりも風が一層冷たくなっていた。

「2次会どうする?いく?」
と聞かれたので、「行きますか!」といつものように返事をする。

お忘れかもしれませんが、私のスタンスはこの時でも変わらず、
何も始まらせない何も終わらせない。

できるだけ「いつも通り」を心がけて
変に防御を固くしたり、変に意識したりしないよう心がけていた。

「お腹もいっぱいだし、ウチで飲み直す

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充足感ってこういうこと【彼は彼であって彼じゃない④】

電話で話した次の日、待ち合わせ場所の個室居酒屋へ到着すると、「彼」はすでに一杯目のビールを半分飲み終えていた。

私も生ビールと料理を少し注文すると、注文を終える前に彼がビールを飲み干して二杯目を追加注文した。

緊張していたのだろう。

他愛もない話をしていると、料理と二杯のビールが届いた。

「おつかれさま」とグラスをコツンと合わせて乾杯をし、料理の感想を軽く言い合う。

彼は必ず一言添えて「

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「ただの仲良しな先輩後輩」【彼は彼であって彼じゃない③】

「転勤するって聞いたけど本当?」

彼が私の転勤をどこかで知ったようだ。

後から聞いた話だと、私と仲が良い「彼」が転勤を知らないはずがないと思って、チームリーダーが話題に挙げてしまったらしい。

一瞬動揺したが、いつか知るかもしれないと予想していたので、出来るだけ「軽く」返事をした。
『バレましたか!』

返信するとすぐに電話がかかってきた。

ひと呼吸おいて通話ボタンを押し、出来るだけ「軽く」

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何も始まらなければ何も終わらない【彼は彼であって彼じゃない②】

令和3年も残り1ヶ月に迫った頃

以前から希望していた異動願いが通った。

仕事上の直接的な関係がない人たちには通知義務がなかったので、私が来月から異動することを知っていた人は限られていた。

「彼」とはチームが一緒でも同じ仕事をしていなかったので、私が伝えなければ彼が知ることはなかった。

とても迷った。

この頃は、世界的に感染症が大流行していたので飲み会もほとんどなく、
彼に伝える機会がなか

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昭和ジェントルと平成ガール【彼は彼であって彼じゃない①】

社会人になって1ヶ月が過ぎた頃、平成が終わった。

2019年5月

31年続いた平成の時代がおわり、令和がやってきたのだ。

平成生まれとしては、自分が過ごしてきた日々が色褪せていくような気がして、なんだかソワソワしたし、

冬に更新したばかりの免許証に書いてある「平成36年」は幻になった。

ちょうど同じ頃、新人研修を終えた私たち新卒は、希望が通ったり通らなかったりということはあったが、それぞ

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