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「わたしたちにできること」

教育アカデミー高等部のHPリニューアルを記念して、noteでの連載をスタートしました。
noteでは教育アカデミーが考える教育方針や想いなどをお伝えしていきたいと思います。
教育アカデミー高等部の副代表と教務主任の二人が「私たちのできること」についてお話します。


通信制高校と生徒たちの変化

望月:私たちが鹿島学園のサポート校を始めてから、もう20年近く経ちますが、今年で教室が9キャンパス、生徒も350人近くになりましたね。その中で田中先生には、先代の時から現場を仕切っていただいて、今も私と二人三脚で毎日飛び回っていますが、田中先生からみて、最近の生徒さんについて何か変化などありますか?

田中:通信制高校のお仕事にかかわるようになって8年が経ち、たくさんの生徒さん、保護者の方とお会いしてきましたが、ほとんどの生徒さんに不登校の経験がありますね。また、学校に通えなくなった原因がはっきりわからないという方も多い印象です。私からみると〇〇しなければいけない。みんなで一緒の事をしなくてはいけないという学校の雰囲気がプレッシャーとなって辞めた子が多いように思います。

望月:そうですね。とくに最近の変化としては、通信制という選択肢がより身近になり、「自分のペースで学ぶほうがいいな」「通学する日数を抑えて高校を卒業したい」と前向きに決断して入学してくる生徒も多い印象です。
私たちも通信制にしかない自由な時間をどのように自分らしく過ごしていくかをもっと提案していけるといいですよね。

田中:はい。心が疲れているなら、しばらく休んで充電して、もう一度歩き出すのもいいですし。今の学校でできなかったことにチャレンジする時間もいっぱいありますからね。人生は長く、ずっと走り続けるのは難しいので、休み休み、楽しみや幸せを見つけながら自分のスピードで過ごして大丈夫なんだよ。ということを実感してほしいですね。

望月:卒業生のお母様に「『ここにきて羽を休めて、また飛び立てるようになれるまで準備して大丈夫』と先生からいわれたことに本当に救われた」とメッセージをいただいた事がありました。待って信じていると、どんどん元気になっていく生徒をみていると、この仕事をやってきてよかったと思います。

田中:親御さんにそう言ってもらえるのはうれしいですね。


望月:一緒に働いていく中で、田中先生の人への「赦し」みたいなところについては、私自身が田中先生から学んだ事のように思います。生徒さんへの対応についても安心感になっていると思いますね。一方で、経営的な考えも持ち合わせている人なので、両輪を持っている人なので、ここまで一緒にやってこれたと思っています。

田中:教育活動は奉仕ではないと思っているので、生徒たちの為に働かせてもらい、言いたいことを言わせてもらっているのは、経済的な基盤があるからだと思います。公立高校での違和感は同じ箱の中で種を植えて育てているようなところで、同じように水を撒いても同じようには育たないのに、同じように対応しなければいけない事でした。本当はひとりひとりに合わせて日向に置いたり、日陰に置いたりする必要があります。全員を特別扱いしても良い環境にあるのは幸せです。


わたしたちにできること

田中:どんな時も生徒自身が選べるように、できるだけたくさんの選択肢を見せてあげたいと思っています。私には生徒を変える力はないと思っていますが、生徒たちが何かを変えたい、変わりたいと思った時に、たくさんの選択肢があるといいですよね。たくさん選択を繰り返すことで、彼らが自信を持って自分の人生を歩めるように・・・。また、自分自身で責任を取る経験や、大人を頼る事も学んでほしいなと思っています。

望月:そうですね。いろいろな通信制高校がある中で、学校側がゴールを定めているところが多いと思いますが、教育アカデミーの方針は「こうなるべき」というのをあまりもっていません。生徒さん一人ひとりが尊重されることを大事にしていますし、強制されることがないようにしたいと思っています。そんな学校は同じ通信制でも意外と少ないと思いました。
生徒さんたちがどういう道を選んでも「応援しているよ」という姿勢であることが伝わっていると最近感じています。

自信がない子が多いので、何かを強制したら、借り物の人生になってしまいますよね。高校生はとても微妙な時期なので、こじらせてしまうし、人のせいにしてしまうこともあります。生徒たちが変わりたいというタイミングを見逃さないようにしたいと思っています。
田中先生がいつも卒業式でお話しする「さなぎ」のお話が大好きですね。

田中:蝶になる前のさなぎになる時期が高校生たちの青春期だというたとえですね。どうしていいかわからない。そういうのが高校生の時期だと思います。そんなドロドロしている中で、外からきこえる声が温かいといいなと思っています。いつさなぎから出てくるかは本人のタイミングだというのは本当にそうだなと思いますね。さなぎから蝶になる瞬間は必ず来るのでしっかり見守ってあげたいですね…。

望月:私たちはこんなにぬるま湯でいいのかな?と思う時もありますが、人によっては高校生活の3年間は羽を休める場所でもいいかなと思っています。人生100年時代の中で、15歳ぐらいの高校生たちにそこまで急かす必要はないのではと思いますよね。

田中:「教育アカデミー」と聞いただけで、ここは世界一優しい学校だよと思われるぐらいの知名度になれたらいいなと思います。できない自分も認めてもらえたとか、やりたいことを相談したら実現できたとか、心を充電できたとか、神奈川県のサポート校ではそんな意味でナンバーワンになっていたいですね。

望月:在校生たちが、学校で印象に残った事をきくと、課外活動のことをみんな言うんですよね。それにはびっくりしました。私たちが選択肢を広げてあげたいとやってきた事は生徒さんたちに伝わっているなと思いました。山村留学や、海外体験、ボランティア体験や小さな部活動など・・・あの時初めて接したあれがきっかけで…と、彼らの進路を決める時に何かきっかけになればいいですよね。


これからの夢

田中:私自身は子育てがゴールに近づいているのですが、老後は出張相談とか、このおばあちゃんに聞いたら何でもわかるみたいな相談所ができたらいいですね。いつまでも高校生たちとは関わっていきたいと思っています。海外の教育現場も見に行きたいですね。

望月:私は日本の教育や子育てがどう変わっていくかにも興味がありますし、海外の教育にはもっと先進的なものがあるので、そういうのを見に行ったりしたいなと思います。
仕事以外では、最近、ある飲み屋さんに連れて行ってもらったのですが、何の縁もない一見のお客さんに、すごく温かい雰囲気のお店だったんです。「ありがとね~」と気心知れた仲間のような感じで接してくれるお店でした。将来はあんなお店ができたらいいですね。

田中:いいですね!なんだかんだと人と関わるのが好きなのが二人の共通点という事ですね。まだまだこれから忙しいですが、お互いの夢に向かっても頑張りましょう。

望月:そうですね!まずは今年の生徒たちがやりたいことを叶えながら、一緒に泣いたり、笑ったりして過ごしていきたいですね。


自己紹介

望月彩 教育アカデミー副代表  
(教育心理カウンセラー1級 不登校心理相談士)

私の高校生時代はツンツンしていて、わざと人に気に留めてもらいたい・・・みたいな感じだったので、今の生徒たちの気持ちがちょっとわかるなと思いながら接しています。



田中 陽子 教育アカデミー教務主任
(教育心理カウンセラー1級 不登校心理相談士)

私は学生時代からお世話好きな子だったので、望月さんと当時出会っていたら気になってしょうがなかったですね!!人のいいところだけ見て生きたい人です!