天の川
天の川とは
白くモヤがかかったように見える光の帯で、2000億個もの星の大集団です。
その大きさは10万光年で、「棒渦巻銀河」という数千億個の星が渦巻き、中心部が棒のように伸びたタイプの銀河です。
地球を含む太陽系は、この天の川銀河内に存在しています。私たちが見ている天の川は、銀河系内部から眺めている天の川銀河の姿なのです。
天の川といえば七夕ですね。七夕といえば現在の暦の7月7日ですが、2023年の「伝統的七夕」は8月22日です。「伝統的七夕」とは、旧暦の7月7日である七夕の頃を指し、2001年から国立天文台が呼び始めました。
天の川に関する発見
天の川が星の集団であることを明らかにしたのは、ガリレオ・ガリレイです。ガリレオ式望遠鏡を作り上げ、1610年に天の川がたくさんの星から成り立っていることを発表しました。
続いての大発見は、天の川の構造を調べようとしたウィリアム・ハーシェルによるものです。1784年、恒星分布の構成を描き出し、これが初めて描かれた天の川銀河の姿でした。
これまで宇宙全体だと考えられてきた天の川ですが、1924年、宇宙には銀河と呼ばれる星の大集団が数多存在し、その銀河の一つに過ぎないことが明らかになったのです。
ワイン×天の川
僭越ながら、J.S.Aワインソムリエ資格を所有している私なりに、天の川を連想させるワインを紹介します。
天の川は古くから世界中でさまざまな物語に登場しています。今回、ワイン選びで参考にしたのはギリシャ神話です。
ヘルメス神が女神ヘラの寝ている間に赤ちゃんだった英雄ヘルクルスにヘラの母乳を与えようとしました。赤ちゃんとはいえ、ヘルクルスは怪力で吸う力が強く、ヘラはびっくりしてヘルクルスを突き放してしまいます。その時、ヘラの母乳がほとばしり出て空にかかったものが、天の川といわれています。「乳の道」英語で「Milky Way(ミルキーウェイ)」と呼ばれる由来です。
女神ヘラはオリンポスの最高女神で、大神ゼウスの姉であり妻です。女性の結婚生活を守る神とされ、嫉妬深い性格です。 2 / 3
連想したワインは
〈ギィ・ラルマンディエ〉
シャンパーニュ・グラン・クリュ・クラマン・ブラン・ド・ブラン
です。
・地域:フランス/シャンパーニュ地方/コート・デ・ブラン地区/クラマン村
・主要品種:シャルドネ
・特徴と理由
ポイント①
コート・デ・ブラン地区は白亜質土壌です。グランクリュの一つであるクラマン村は、南向き斜面で、クリーミーな泡と果実味豊かな味わいが特徴です。
シャンパーニュ地方のグランクリュとは、格付けクリュ100%の畑のブドウだけで造ったシャンパーニュです。
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空に白く輝き広がるミルキーウェイと、白亜質土壌、クリーミーな泡に重ねました。
ポイント②
シャンパーニュ地方中心部に位置するランス大聖堂は、歴代フランス国王の戴冠式などが行われる場所です。
その祝宴で地元ワインのシャンパーニュが用意されたことから、「お祝い事にはシャンパーニュ」という世界共通の認識が広がっていきました。
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ヘラは結婚や女性の女神で、ウエディングでもよく使用されているシャンパーニュはぴったりです。
ポイント③
クリーミーで繊細な泡が口に広がった後、余韻が長く続きます。
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ヘラの嫉妬深さが余韻の長さと重なりました。
シャンパーニュはお祝い事には適していますが、高価なワインです。そのため、もう少しお手頃で日常的に楽しめるワインをご紹介しますね。
スペインのカヴァです。カヴァはシャンパーニュと同じ製法で造られているのですが、スーパーでも購入することができるデイリーワインです。
シャンパーニュよりも泡のきめ細やかさはやや粗く、果実のボリューム感が強い印象のスパークリングワインです。
星座を見る時、ワインを飲む時、お互いのことを思い出しながらそのひと時をゆっくりお楽しみください。
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〈参考文献〉
駒井仁南子(2012).『ガールズ・スターウォッチング・ブック 星空がもっと見たくなる〜星座の物語と見つけ方~』.誠文堂新光社
永田美絵/廣瀬匠(2013).『ときめく星空図鑑』.株式会社山と渓谷社
藤井旭(2011).『藤井旭の星座と星座神話 夏』.株式会社誠文堂新光社
郷田直輝(2009).『天の川銀河の地図をえがく』.株式会社旬報社
谷口義明(2018).『天の川が消える日』.株式会社日本評論社
大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台.“スター・ウィーク、伝統的七夕(2023年8月)”.国立天文台(NAOJ).
https://www.nao.ac.jp/astro/sky/2023/08-topics01.html (参照2023年7月28日)
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