見出し画像

REVIEW連載『Greatest Albums in 関西』始動の前向上

前向上

副編集長 峯です。

京都拠点のローカルな視点から、インディペンデントな活動を行っているバンドマンやシンガーたちにスポットを当ててきたANTENNAの音楽記事。私たちが今「面白い!」と思っている音楽を、ライブハウスや界隈のシーンの空気感もあわせてつかんでいただけるような記事づくりに、日々取り組んでいます。

その試みの前提には「なぜ関西にはカルチャーを発信する媒体がないのだろう?」という2013年にANTENNAが発足した動機の一つにも起因しております。この地域にはこんな面白い人がいる、彼らの音楽はいずれ全国に広がるだろう、いやむしろこの場所で生まれるものこそが今最先端だ、あるいは場所にアイデンティティはなくただ自分の生活拠点で生まれた魅力的な音楽……。そんな関西を根城として新たなる胎動たちを見つけ、シーンとして捉え、時に徹底的に加担していく。この行為を実行・体現していくのが我々ANTENNAなのです。

これらの現場の胎動がシーンとなり、時に事件となり、時に全国的なムーヴメントとなる。過去半世紀、関西から生まれた音楽の中でも、そのような現象はいくつも起こってきました。1960年代末の関西フォークから、70年代のソウル・ブルース、関西NO WAVE、ゼロ世代。しかしほぼ全員が20~30代であるANTENNA編集部にとってはいずれも音源で知るのみ。京都大学西部講堂の<MOJO WEST>も、山下達郎のブレイクポイントは大阪心斎橋のサーファー・クラブでかかった“BOMBER”だったことも、BO GUMBOSの92年のフリーコンサート……まだ我々は関西で起こった豊穣な史実の一部分しか知らない。

だから重厚な関西の音楽の歴史を最初から学び、掘り起し、今一度私たちの視点から紐づける試みが、関西を拠点とするカルチャーマガジンとして、一つ上のステージで音楽を語れるようになるのではないかという素直な知的欲求が起こりました。ビスマルク「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」、トーマス・カーライル「現在というものは、過去のすべての生きた集大成である」、あるいは立川談志「型があるから型破り。型が無ければ、それは形無し」。これらの名言たちに触発された、基礎筋力を今一度鍛えようというする、実に内部的なプロジェクトを始めます。

その試みの第一ステップとして継続的なデスクリサーチです。しかし私たちは対外的な発信を使命とするメディアだ。そこでREVIEW記事に新たな軸を加えてアウトプットすることにしました。題して『Greatest Albums in 関西』。関西から生まれた数ある名盤の中でも現在の音楽シーンにも影響を与え続けているアルバム作品を、2020年代に突入した現在の視点から再評価をしていきます。

この地域の音楽文化史を、作品を通して学びながら徐々に編んでいこうとするエンドレスで壮大なプロジェクトです。どうぞ長い目でお楽しみください。

副編集長:峯 大貴

『Greatest Albums in 関西』第1弾 公開REVIEW

サイト内タグ
#関西名盤レビュー から一覧で見ることができます。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?