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ANTENNA Webサイトリニューアルのお知らせ

前・編集長の堤の最後の大仕事としてANTENNAのWebサイトリニューアルを実施しました。以前より見やすく、そして理想の姿にグッと近づけたのではないかと思います。上記に伴いURLが変わっていますので、お手数ですが登録をお願いできれば助かります。

新URL:https://antenna-mag.com/

リニューアルに伴い整理のために記事をさかのぼっていたら「2014年のLIVE KILAUEA」が最初の取材でした。それから約7年近くこのメディアを運営してきたことになるわけですが、当時メディアをスタートさせた時は多くの人に「続かない」と思われていただろうし、また面と向かって「誰にでもできる」と言われたことを思い出します。だけど続いている。続けたと言い換えた方がいいかもしれないけど。

LIVE KILAUEA 2014 -day.1-@京都GROWLY ライブレポート   アンテナ

先日の編集長交代の記事でもちらりと書きましたが、このリニューアルはより多くの方と一緒に遊ぶために行ったようなものです。今回、大きく変わったポイントは2つあって、ひとつはドメインから「kyoto」を外したこと。そしてもうひとつは「特集という機能」です。

ドメインの変更について

「ローカル」という言葉を定義していく中で「特定の地域に縛られて取材を行うこと」の難しさを感じていたし、その地域にこだわることが今の時代の中であまり意味がないことを実感していました。「京都のANTENNA」として長らく活動をしてきたのだけど、結局俺たちがやりたいのは「京都での活動を追う」ことだけではなくて、「インディペンデントな(ローカリティと言い換えてもいいかも)活動をおもしろがること」であって、「どこで行われたのか」は結果でしかない。そのフィールドとして最初に自分たちが住み、愛している街京都にフォーカスをしていたのだけど、取材を重ねていく中で俺たち自身の好奇心もその枠の中にはおさまらなくなってしまった。

ANTENNA - カルチャーを切り口に世界のインディペンデントな「人・もの・こと」を紐解くWebマガジン (1)

それに結局、地域の文化は「京都」などの言葉で縛れるほどドメスティックに成り立ちはしないんですよ。元々持っていた環境や条件はもちろんのことながら、外的要因となる黒船的な人・もの・ことの存在だったり、その逆もまた然りでその場所の文化を持ち出す人もいるはずで、常になんらかのものと相互に影響を与えあっている。当たり前だけどそのことを考えると、自分たちが「京都」に縛られる理由はなくて、今「kyoto」という言葉をドメインから外すのは遅すぎたくらいではないかと思う。俺たちの活動の先にはローカリティをまざなしつつ、その先に続くなにかを見据えることや、つなげることがあるはずだから。

とは言え「京都」というわかりやすさに助けられてきた部分も大きいことは認めます。それを外すということは自分たち自信が外海に出ていくことを意味する。より大きな波にもさらされるだろうし、大きな船とも出会うんだと思う。でもそれを楽しむことはこの数年でできるようになったと感じてる。

特集という機能について

今回のリニューアルはこのためにあると言っても過言ではないんですよ。実はWebサイトを運営していく中で、「Webでの表現の限界」をぼんやり感じていまして、それはひとつの記事では文脈を非常に狭い範囲でしか伝えられないことが要因にあります。俺たちが行いたいのは多層のレイヤーで記事を深めていくことや、偶発的な知的な出会いにある。でもWebだとその記事が持つ文脈に限定されていってしまっていて、俺たちがやりたいのはそういうことではない。

当初から「ごった煮」の情報発信を目指し(俺だけ文化の九龍城だ!ってずっと言ってた)、「京都ローカルのインディバンドのインタビュー記事」の隣には「海外で出てきた新人映画監督の考察記事」が並ぶことを目指してきたし、できる範囲ではそうしてきた。でも、ただ並べるだけでは我々が意図したことはまったく起こらないのが現実でした。今となっては「そりゃそうでしょ」と感じることもあるけれど、リニューアル前のUIでは上記に対する解決策は見つからず、それをどのようにするかを考えた末のリニューアルとなったわけです。

文化の床   Fertilizing Collective for Culture   アンテナ

Webサイトはリンクをたどるか、オーガニック検索で流入が起こるわけだけどそれは「知っている単語」がないと機能しない。でも俺たちはそうじゃないカルチャーとの出会いを楽しんで欲しくて、いろいろな対象者や対象物を取り扱っているわけで、SEOを意識して記事のタイトルにフックをつくることにも限界があるし、PVを求めていくのは根本的にやりたいこととは違う。そこで今回のリニューアルで「特集」という機能を用意するにいたった。

雑誌をイメージしてもらうとわかりやすい。雑誌は毎号「特集」となる大きなテーマが設定されていて、それに企画が紐づいていて、さらにその中に記事が掲載されている。マトリョーシカを想像してもらうといいんだけど、ANTENNAというメディアの大きな箱の中には特集という少し具体的なテーマとなった箱が入っていて、またその中にはさらにもう一歩だけ具体的になった複数の企画、そしてその企画の中にはそれぞれ複数の記事が入っているようなイメージだ。大切なのは全体として文脈はつながっていること、そしてそれぞれのレイヤーから多様な記事の読み解き方ができること。そのための仕組みを今回で作った。

文化の床   Fertilizing Collective for Culture   アンテナ

そうすることで今までひとつの角度しか持ち得なかった記事が違う切り口を持てるはず。これで寄稿者の方からの記事も単発のものではなく、大きな文脈に紐付けることができる。全く関係のなかった映画の記事と、漫画の記事がメタ的な次元でリンクしていく瞬間、そしてそこにさらにローカルのレコ屋の文脈が重ねていくのがこの特集という機能の役割だ。素材はもう出尽くした感じがあるし、これからは大小の編集が潮流をつくるんだと思う。編集は意味を見出すプロセスそのものだから。

ただこの仕組がどこまで機能するかは正直わからない。全然だめでした、ということもありうる。それに意図通りのメディア運用ができるまでには4,5年は時間がかかる気がする。でもトライしてみる価値があるようには感じている。これ、ちゃんと機能したらすごく素敵なことになるような気がしているので、本当に多くの人とと関わりながら使ってみたい。ということで、一緒に記事をつくりたい人がいたら気軽に声をかけて欲しい。

今回のリニューアルで力添えをいただいたデザイナーの山本洋平とシステムエンジニアの長友拓也には感謝を尽くしても尽くしきれない。最高のデザイン・CMSというだけでなく、最後まで細かい調整に付き合ってくれて本当にありがたく思ってる。ようやくローンチできたので、あとはこれを使ってどうやって遊んでいくかっすね〜。楽しみ!

ANTENNA 前・編集長 堤大樹

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