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ステートメント発表

 2020年2月3日投票の京都市長選にあたり、2020年1月26日付京都新聞6面に「未来の京都をつくる会」が「大切な京都に共産党の市長は「NO」」との広告(以下「本件広告」といいます。)を掲載しました。公平な選挙を考える会は、2月14日、この広告について広告に名を連ねた政党および京都府知事、京都市長宛に公開質問状を送付いたしました。

 この公開質問状に対する回答は全て揃ってはおりませんが、本会の活動の区切りとしてステートメントを出すことといたしました。

1. 本会の質問状に対して、回答した政党及び回答の日付

 上記公開質問状に対し、回答した政党、首長及び回答を頂いた日付は以下の通りです。

 社会民主党全国連合選挙対策委員会 2020年2月18日  

 国民民主党役員室事務局  2020年2月25日

  (但し、本会に到達した日)

 自由民主党京都府支部連合会  2020年3月16日  

 公明党京都府本部 2020年3月17日

 京都府知事 西脇隆俊氏  2020年3月17日

 京都市長 門川大作氏 2020年3月17日

 立憲民主党は、回答が頂けなかったことから 2020年3月26日付で回答を促しましたが、現在のところまで回答はありません.


2. 本会の質問、それに対する政党からの回答の内容、及び本会の見解

質問1「貴党の京都府連は本件広告の広告主である「未来の京都をつくる会」の構成団体となっていますでしょうか。」

政党からの回答

社会民主党:京都府連は「未来の京都を作る会」の構成団体ではないと明確に否定しました。

 この点、明確に否定したのは、後述するように、社会民主党のみでした。

公明党:「公明党」自体は構成団体となっていないと一応の回答をいただきました。

 しかし、公明党京都府連が構成団体となっているかという質問については回答がありません。また、本件広告は、公明党の広告ではないとの言葉が付記されていました。

自由民主党:自由民主党京都府連が「未来の京都をつくる会」の構成団体となっているかについての回答はありませんでした。

 また、自由民主党の回答には、公明党と同じく、本件広告は、自民党の広告ではないと付記がありました。

国民民主党は、京都府連に問い合わせていただきたいとの回答のみでした。

回答に対する本会の見解

 自党の京都府連が、この民主主義の原則に反する広告を作成した「京都の未来をつくる会」の構成団体となっているか否かという単純な質問についてすら、社会民主党以外からは明確な回答が得られませんでした

 自ら政党として推薦をした京都市長候補について、地方組織がその選挙母体「京都の未来を考える会」の構成団体となっているかどうかについてすら明確にできない状況には、問題があると考えます。

 質問1の事実確認についてすら、回等が明確でないため、その余の質問、

質問2  本件広告の内容を決定する会議は開催されたでしょうか。また、開催されたとしてその会議に貴党の関係者は出席されていたでしょうか。

質問3  本件広告について、貴党の京都府連に事前又は事後に報告があったでしょうか。

質問4  貴党においては本件広告の掲載に至る事実経過を調査しその結果を公表するご予定はありますでしょうか。

 以上についても、当然ながら明確な回答はありませんでした。

 なお、2020年1月29日付け京都新聞は、本件広告について取材< https://kyoto-np.co.jp/articles/-/146571 >し「同会の吉井章事務長(自民党府連幹事長)は「あらゆる広告物に推薦人の名前と写真を使用することは事前に了承を得ている。個別の広告物についての掲載確認は以前からしていない。ただ、推薦人にご迷惑をおかけしたとするなら本意ではない」と説明した。広告は同会所属の全政党のメンバーが出席する会議で決めたという。」と記載しています。

 したがって、①この広告内容を決定するにあたって会議が存在した事実、及び②ここに同会所属の全政党のメンバーが出席していた事実について会の事務局長が明言をしています。

 以上の事実から、各政党は、「同会所属の全政党」のうちに入っていたのか、また、実際に政党関係者として会議に出席した事実があるのかを調査して明らかにすべきであったと考えます。

 次に、本会では、本件広告について、各党がどのように捉えているかも明らかにしていただきたかったと考えております。実際に、本件広告に問題があるとの考えがあれば、事実調査は不可欠だと考えているからです。

 しかし、社会民主党を除く各政党は、本件広告についてどのように捉えているのかについては、全く意見表明をしておりません。

 この点、社会民主党は社会民主党京都府連合名で、「社会民主党京都府連合が広告に名を連ねているかのような記述は事実に反しており、断固抗議する。本件広告のフレーズは、政策を訴えるのではなく、レッテル貼りで自由な議論を封じ込める手法であり、社会民主党京都府連合が賛同することはあり得ない」 として、態度を明らかにしています。

 他方で、国民民主党は、全て地方組織に任せていると回答したのみでした。政党組織として市長候補を推薦したにもかかわらず全てを地方組織の責任に帰する態度は、無責任ではないかと考えます。

 また、自由民主党、公明党は、本件広告は自分たちの政党の広告ではないとの回答をしており、本件広告の内容には責任を持たない、あくまで市民団体が全て自己の判断で行っているという立場です。しかし、「未来の京都をつくる会」には、自民党府連幹事長である吉井章氏が事務長に就任しています(前述の京都新聞2020年1月29日の記事による。)それにもかかわらず、全てを市民に責任を負わせるような自由民主党の回答には問題があると考えます。

3. 首長からの回答の内容、及び本会の見解

今回、上記各政党の推薦を受けた京都市長、及びこの広告に名を連ねていた京都府知事に対しても、公開質問状を送付いたしました。

西脇知事への本会の質問

質問1. 西脇様は本件広告の広告主である「未来の京都をつくる会」の構成員となっておられますでしょうか。

質問2. 本件広告について、西脇様に対して「未来の京都をつくる会」から事前又は事後に報告があったでしょうか。

門川市長への本会の質問

質問1. 門川様は「未来の京都をつくる会」の本件広告について広告を掲載する前又は後に内容を知らされていたでしょうか。広告の内容を知った時期についてお知らせ願います。

質問2. 門川様は、本件広告が掲載された事実経過を調査・公表される予定はございますでしょうか。

西脇隆俊京都府知事は「未来の京都をつくる会」のメンバーではなく、本件広告について事前に相談を受けたことはないとの回答でした。

被推薦者の門川大作市長は、本件広告について事前に相談を受けたことはないとの回答でした。

質問3. にて、西脇京都府知事、門川京都市長に対し、「本件広告についてどのように捉えておられますでしょうか。お考えをご記載頂きたく存じます。」と依頼しました。


西脇知事:「政治団体である同会の政治的主張に対して、特にコメントすることはありません。」との回答でした。

門川市長:コメントを差し控えるとの回答でした。

回答に対する本会の見解

 本会は、本件広告は、政治的主張以前の、選挙のあり方そのものに関わる問題であり、選挙は本来、候補者が掲げる政策を巡って行われるべきという原則に背馳するものであると考えています。

 公正な選挙を実施するにはどのような条件の下に行なわれなければならないかといった民主主義の根幹に関わる重大な問題について、何れの首長からも明確な回答が得られなかったことは、有権者に対する政治姿勢を示すという観点からみれば政治家としての姿勢に疑念を持たざるえないものです。

4.  全体を通して

 本件広告は、公開質問状の趣旨でも記載したように、本来は政策論争であるべき選挙について、一定の政党に通俗的な誤解を招きかねない印象操作をし、有権者にとってその判断の基盤となるべき政策論争から、一定の候補者を排除しようとするものです。

 このように、市民の中にある「共産党は怖い」という潜在意識を活性化させ、それを票に結びつけることは選挙のあり方として、不正常といって過言ではありません。これら一連の回答は、政党・政治家・首長は、選挙権という民主主義にとって非常に大切な基本的人権に対して、あまりにも無責任な態度であると言わざるを得ません。

 そのため、非常に多くの市民が、この広告に抗議をし、また、門川大作氏の対立候補であった福山和人氏が出したカウンター広告のために京都府内外から多くのカンパが集まったと聞き及んでいます。

 本件広告に対して、社民党を除く政党は、全て、構成団体の政党外の市民の責任で掲載したかのような態度をとり、自らの立場を明らかにしていません。これでは、「未来の京都をつくる会」会長であった立石義雄氏一人に、責任をかぶせることとならないでしょうか。

 新型コロナウィルスの世界的大流行により、日本社会は現在危機的な状況にあります。今後、ますます、市民のあいだで政策が多く議論されることの重要性が増すことでしょう。そのためには、誰かを貶めることなく、自由な発言・発信を安心して行なわれる条件の模索や、市民の議論が選挙結果に反映されるような、公平な選挙のあり方が求められます。

 当会は、今後、選挙において、このような虚偽や類型的表現による印象操作がなされず、政策論争を中心とした選挙が公正に行われることを強く希望します。

 なお、末尾になりましたが、「未来の京都をつくる会」会長であった立石義雄氏(京都商工会議所会頭)が4月21日に新型コロナウィルス感染症のため、逝去されました。ここに、謹んで哀悼の意を表明させていただきます。

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