公演を終えて

蝉が鳴いている。

8/8。

ぼくが主宰を務めるユニット
「もあダむ」の旗揚げ公演が幕を下ろしました。

振り返れば、たったの6日間。
たったの10ステージ。

そのために、そのためだけに、
昨年9月から突き進んできました。

全部、全部、もう過去形になりました。

一度だけの旗揚げ公演。
ぼくが選んだ最高のメンバー。
公演に際して集まってくれたみんなには感謝しかありません。

ぼくの細かい演出に食らいついて、最後まで戦い抜いてくれた俳優陣。
作品に彩りを、立体感を与えてくれたスタッフたち。
嫌な顔ひとつせず、業務をこなしてくれた制作陣。
ぼくの頭の中の世界を
ぼくの思い描いていた以上に広げてくれて
本当にありがとう。
短い期間だったけど、みんなと創作ができて本当に良かったよ。

そして何より
作品を見届けてくださったお客様方。
その期待に満ちた、時に厳しく、時に温かい眼差しをぼくは忘れません。


『バター、トースト、ジャム』。

今作では、明確なラストを用意していません。
年齢、性別、境遇によって見え方の変わる物語。
まるでバターのように溶け込んでいく、
演劇という型に捉われない、
ぼくの、あなたの、「孤独」の話。

演劇という芸術を、表現方法を選びました。
でもそれは、あくまでも手段で。
ぼくが演劇が大好きだからそうしただけで。
せっかく0から創るなら、
時には映画のように、絵画のように、音楽のように、もっと自由にやっていいんじゃないか。
そんなことを考えながら創りました、


カッコつけて書いていますが
正直、反省ばかりです。
もっとこうしていたらとか、あのときああしていれば、とか。
でもきっと、どの団体さんもそうなんだろうな。
心から満足のいく公演なんてほんのひと握りで。
いつまでも完成しない、終わりのない。

「初めてだから」という言葉に逃げたくありませんでした。
半ば意地みたいな部分もあったのかもしれません。
自分の未熟さに、足りなさに、正面から向き合う。
普段俳優として舞台に立っているときには気付くことのできない部分に、景色に、触れたかった。
ぼくが信じてきたものが間違いじゃないと確かめたかった。

実に多くのディスカッションをしました。
対話をしました。
ぼくなりに言葉を尽くしました。
みんなで作りたかったから。
みんなで作らないと意味がないから。
ひとりではなにもできないから。
バカにされても、非効率でも、
この創作スタイルを続けます。


次がいつになるかはわからないけど
ずっとずっと
できたらいいなと思います。

どうかみなさんお元気で。
お身体には気を付けてね。
心から、愛してます。

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