私を変えてくれた仲間
みなさんこんにちは。私は今、交換留学生で1年間、アメリカのミシガン州のマスキーゴンという小さな街に住んでいる。私は、約2ヶ月間アメリカでソフトボールをしていた。日本とは異なり、ソフトボールのシーズンが始まる前、2日間にわたってトライアウトというスポーツテストを受けなくてはならない。全員参加で、2〜3人そのテストに落ちてしまうのだ。
ドキドキのトライアウト
トライアウト初日、緊張と不安で胸が引きちぎれそうだった。「落ちたくない」という焦りからだろうか。まるでオーディション番組に出ているようなプレッシャーを感じていた。
そしてその緊張は、トライアウトが始まってからも解けてはくれなかった。バッティングも守備も思うように体が動かず、大失敗に終わってしまった。渡米する前に中学で3年間ソフトボールをしていたとは思えないほどの出来に、自分でもショックだった。
トライアウトが終わると、緊張から開放されたからか、それとも絶対に落ちたと確信したからか、私は全てを吐き出すようにベンチの隅で泣いていた。"good job"とチームメイトが声をかけてくれた。私がどんなに失敗しても、毎日必ずこの言葉をかけてくれた。なんだか胸がスッと軽くなり、次の日のトライアウトは少しリラックスして望むことができた。
そして私は、無事にチームに選んでもらえた。私が選んでもらえたのは、確実にあの「good job」のおかげであった。
緊張の初打席
私のチームは14人もいるため、私はベンチで応援することが多かった。正直、バッターボックスに入って三振することが怖いこともあり、応援する方が好きなのでそっちの方が楽だった。だが、コーチから突然、"きょうか!今から代打で入って"と言われた。やっとプレイできる嬉しさと、三振したらどうしようという自分の頭の中がかき乱されている中、準備をしていた。そしたら、チームメイトから"頑張れ!絶対できるよ!応援してる!"と言われた。バッターボックスに入っている間、ベンチから沢山の声援が聞こえた。だが、初打席は三振で終わってしまった。ベンチに戻ると、チームメイトが良かったよ!頑張ったね!と沢山私に褒めてくれたのだ。そこから、私はバッターボックスに入っても、怖い、不安、緊張というものが徐々に無くなっていったのだ。それは全て、ベンチから声援を送ってくれたチームメイトのお陰だ。
声でかめコーチの一言
ある練習の際、私が走塁のミスをしてコーチにキツく言われた。その後、コーチがこう言った。"ミスすることは成長に繋がるからとてもいい事だよ。"と。ミスをすることに対してそんなにポジティブに考えたことがなかったので、とてもびっくりした。
最後の打席
このチームでプレイするのもラストの試合。私たちのチームは負けていた。最終回の2アウト、私はコーチから代打で出させてもらった。正直、このような場面での打席が1番緊張するのである。そして、バッターボックスに入る前、コーチにこう一言言われた。"have fun!!"と。このチームで出れるのも最後の試合、周りから沢山の期待の声が高まっていた。だが、コーチのこの一言で私は、今までの全力を出し尽くそう。自信を持って、マウンドに立とう、楽しもう、そう思えた。バッターボックスに入った瞬間、打てるような気がしていた。案の定、それは当たり、4球目のボールで私はセンター前ヒットを打つことができた。結果は、負けたが、チームメイト、コーチから沢山褒めてもらえた。
チームのみんなから得た事
私は、チームメイト、コーチから沢山の事をこの短期間で学んだ。それは、自信が付いたことだ。私は今まで勝手に周りから期待やプレッシャーをされていると思い込んで勝手に不安や緊張が走り、いつも通りの自分を出せずにいた。だが、それは全く違い、私は周りから沢山の応援をされていたのだとアメリカでのスポーツを通して学んだ。どんなに完璧なチームメイトでも、プレー中にミスすることはある。だが、そこで落ち込まず、みんな自信を持ってプレーをしていた。その姿に私は、とても感激した。いつも、何事にも投げやりだった自分の性格や行動を見直すこともできた。今まで、私は自分しか見えていなかったが故に、他人と勝手に比べ、年齢を重ねるごとに当たり前にできなくてはならないことが増え、それができないと自己嫌悪となり、自信をどんどん無くしていっていた。だが、ソフトボールを通して、"自分だけ"ではなく、チーム全体をみることや、チームメイト同士応援し合う、助け合う、仲良くなることがとても大切だと気付いた。
留学はただの語学勉強ではない。自分を変えてくれるきっかけや経験をつくってくれるのだ。
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