2020年度動物看護師統一認定試験 問題と解答・解説(問21から問30)
2021年3月7日に行われた動物看護師統一試験問題の解答と解説です。
解答はみつのが正解だと思うもの、解説は、あちらこちらのテキスト、インターネット検索等で調べて書きました。
あなたのお役に立てれば幸いです。
疑義等があればコメントをお願いします。
問21 生体の感染防御因子に関する記述として誤っているのはどれか。
1 生体防御機構には自然免疫と獲得免疫がある。
2 病原体等の異物を認識して生体自身を守る仕組みである。
3 皮膚バリアは自然免疫の一つである。
4 好中球による貪食・殺菌は獲得免疫である。
5 ワクチン接種によって生じる抗体は獲得免疫である。
問21 正解4
4 好中球による貪食・殺菌は自然免疫である。
問22 マクロファージの働きとして誤っているのはどれか。
1 異物を貪食する。
2 抗原を提示する。
3 サイトカインを分泌する。
4 死細胞を除去する。
5 抗体を産生する。
問22 正解5
5 抗体を産生するのは、Bリンパ球からできた形質細胞
・マクロファージ:血管から組織に出てきた単球がマクロファージになる。マクロファージは病原微生物を貪食し、抗原を提示する。マクロファージは旺盛な貪食能、リソソーム酵素、活性酸素、たんぱく質分解酵素など病原微生物を攻撃し、障害を受けた組織を取除く物質を産生。サイトカインを産生分泌。
問23 DNAもしくはRNAのいずれしか持たないのはどれか。
1 細菌
2 真菌
3 原虫
4 リケッチア
5 ウイルス
問23 正解5
ウイルスはDNAもしくはRNAのいずれしか持たないため、偏性細胞寄生性である。
ウイルスは、宿主細胞のたんぱく質合成機構を利用し増殖する。
問24 エンベロープを持たないウイルスはどれか。
1 コロナウイルス
2 パルボウイルス
3 ヘルペスウイルス
4 ラブドウイルス
5 レトロウイルス
問24 正解2
エンベロープとは、ヌクレオカプシドの外側を覆う糖タンパクと脂質からなる脂質二重層の膜のこと。
代表的なDNAウイルス
エンベロープあり:ポックスウイルス、ヘルペスウイルス、アスファウイルスなど
エンベロープなし:アデノウイルス、パピローマウイルス、ポリオーマウイルス、サーコウイルス、パルボウイルスなど
代表的なRNAウイルス
エンベロープあり:コロナウイルス、フィロウイルス、ラブドウイルス、ブニヤウイルス、オルトミクソウイルス、パラミクソウイルス、アレナウイルス、ボルナウイルス、フラビウイルス、トガウイルス、アルテリウイルス、レトロウイルスなど
エンベロープなし:レオウイルス、ビルナウイルス、カリシウイルス、ピコルナウイルスなど
問25 ジアルジアに関する記述として正しいのはどれか。
1 ワクチン接種により予防できる。
2 子犬の感染率が高く、繁殖施設が感染の場になりやすい。
3 シストは環境中で壊れやすく、体外では直ちに死滅する。
4 糞便検査では、4核の栄養体が観察される。
5 感染すると、咳などの呼吸器症状を引き起こす。
問25 正解2
1 ジアルジアのワクチンはない。
2 母犬から感染を受けた子犬が、母犬から離れて、新しい環境下になると発症することが多い。
3 シストは環境抵抗性が高い。(正常便中に存在)下痢便では栄養型虫体が排泄されるが、短時間で死滅するため、感染力は無い。
4 栄養型は2核。正常シストは4核。
5 症状は水溶性下痢(脂肪便)。
問26 寄生虫感染において、宿主特異性が高いことの説明として適切なのはどれか。
1 動物とヒトの双方に寄生する。
2 ある動物種だけに寄生し、他の動物種には寄生しない。
3 広い範囲の動物種に寄生する。
4 同一の宿主に全生涯、または時間的に長く寄生する。
5 節足動物の媒介により、寄生する。
問26 正解2
宿主特異性とは:寄生虫などが、ある特定の宿主にしか寄生しないことをいう。
問27 線虫に対して効果を示す駆虫薬はどれか。
1 スルファジメトキシン
2 イベルメクチン
3 プラジカンテル
4 メトロニダゾール
5 ジミナゼン
問27 正解2
1スルファジメトキシン:サルファ剤:レンサ球菌属、肺炎球菌、大腸菌など
2イベルメクチン:マクロライド系抗生物質:腸管糞線虫症、疥癬、毛包虫症の治療薬
3プラジカンテル:吸虫駆除剤
4メトロニダゾール:ニトロイミダゾール系の抗原虫薬、抗菌薬
5ジミナゼン:抗ピロプラズマ
問28 非清浄国における人の狂犬病対策について、正しいのはどれか。
1 水は沸騰させてから飲む。
2 蚊に刺されないように注意する。
3 抗菌薬を常備する。
4 犬に噛まれたら、症状が出てから病院を訪ねる。
5 感染の恐れがあるときは、ワクチンを接種する。
問28 正解5
1 生水を飲んでも狂犬病には感染しない。細菌性の疾病にかかる恐れはある。
2 狂犬病は蚊が媒介するわけではない。マラリア等がある地域では、蚊に刺されないように注意する。
3 狂犬病はウイルスによるものなので、抗菌薬は効かない。
4 非清浄国で犬に噛まれたら、すぐに病院に行き、ワクチンを接種してもらう。狂犬病は発症したらほぼ100%死亡する。
5 非清浄国に長期間滞在をするなどの場合は、暴露前接種をしておいた方が安心。暴露前接種は3回(ワクチンの種類によって、6か月前から接種をしなければならない場合と、1か月前までに接種をすればいいものがある。ワクチンの有効期間は3年)を推奨。
非清浄国、清浄国に関わらず、海外では動物に近づかないことが大切だと思います。
問29 ノロウイルスに関する記述として正しいのはどれか。
1 流行は夏に多い。
2 人獣共通感染症である。
3 経口感染を起こす。
4 主な症状は咳と呼吸困難である。
5 消毒用エタノールが有効である。
問29 正解3
1 流行は冬に多い。
2 人獣共通感染症ではない。(人の腸内でしか増殖しない)
3 経口感染、空気感染により感染する。
4 主症状は嘔吐下痢。
5 エンベロープが無いので、エタノールは効かない。
問30 「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」において、一類感染症に分類されているのはどれか。
1 エボラ出血熱
2 腸管出血性大腸菌感染症
3 細菌性赤痢
4 エキノコックス症
5 狂犬病
問30 正解1
その他の一類感染症
クリミア・コンゴ出血熱、痘そう、南米出血熱、ペスト、マールブルグ病、ラッサ熱
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