2020年度動物看護師統一認定試験 問題と解答・解説(問11から問20)

2021年3月7日に行われた動物看護師統一試験問題の解答と解説です。

解答はみつのが正解だと思うもの、解説は、あちらこちらのテキスト、インターネット検索等で調べて書きました。

あなたのお役に立てれば幸いです。

疑義等があればコメントをお願いします。


問11 組織が壊死する際に融解壊死が起こりやすい臓器はどれか。

1 心臓
2 脳
3 腎臓
4 脾臓
5 肺

問11 正解2

凝固壊死は筋肉のように蛋白質の豊富な組織(心臓、腎臓など)に見られ、融解壊死は脳や脂肪組織のように脂質の多い組織に起こる。脳はワックス(固形の脂質)が多いので融解壊死となる。


問12 萎縮の分類とその例の組合せとして正しいのはどれか。

1 生理的萎縮―神経損傷による骨格筋の萎縮
2 内分泌性萎縮―性成熟後の胸腺の退縮
3 不使用性(廃用)萎縮―精巣摘出による前立腺の萎縮
4 圧迫萎縮―水頭症による脳実質の萎縮
5 貧血性萎縮―ギプス固定による骨格筋の萎縮

問12 正解4

1 神経損傷による骨格筋の萎縮―神経性萎縮

2 性成熟後の胸腺の退縮-生理的萎縮

3 精巣摘出による前立腺の萎縮-内分泌性萎縮

4 水頭症による脳実質の萎縮―圧迫萎縮

5 ギプス固定による骨格筋の萎縮―不使用性(廃用)萎縮


問13 経口投与で生体利用率が高い薬物の特徴の組合せとして正しいのはどれか。
    a.初回通過効果が高い。
    b.脂溶性が高い。
    c.初回通過効果が低い。
    d.脂溶性が低い。
    e.酸安定性が低い。

1 a 、b
2 b 、c
3 c 、d
4 d 、e
5 a 、e

問13 正解2

 a. 初回通過効果が高いと、生体利用率が低い。
 b. 脂溶性が高いと、生体利用率が高い。
 c. 初回通過効果が低いと、生体利用率が高い。
d. 脂溶性が低いと、生体利用率が低い。
e. 酸安定性が低いと、生体利用率が高い。

・初回通過効果:経口投与で薬剤を投与した場合にみられる。一般に薬剤は胃では吸収されず、小腸で吸収される。小腸で吸収された薬剤は門脈を通り、肝臓へ達する。肝臓は、薬物代謝酵素を含み、薬剤は代謝を受けてしまう。これを、初回通過効果という。初回通過効果が大きく、薬効が期待できない薬物は、経口投与以外の方法で投与する。

・脂溶性が高いと、生体膜を通過できるため速やかに拡散する。


問14 イベルメクチンによって、神経毒性を起こしやすい犬種はどれか。

1 ビーグル
2 ボーダー・コリー
3 プードル
4 シー・ズー
5 パグ

問14 正解2

コリー犬およびその系統の犬種のうち、MDR1遺伝子に変異を有する犬に対し、イベルメクチンが神経毒性を起こすという報告がみられている。


問15 イエネコの先祖種はどれか。

1 ベンガルヤマネコ
2 アムールヤマネコ
3 イリオモテヤマネコ
4 リビアヤマネコ
5 スペインオオヤマネコ

問15 正解4

分子生物学や考古学、そして行動学的証拠から、猫はリビアヤマネコを祖先に分岐したことが明らかになっている。


問16 「動物の愛護及び管理に関する法律」で「8週齢規制」を定めた根拠は、どの発達段階を重要視したことによるか。

1 新生子期
2 移行期
3 社会化期
4 若年期
5 性成熟期

問16 正解3

社会化期は、犬3~12週齢、猫2、3~9週齢の期間で、神経系と筋骨格系がめざましく発達し、盛んに探索行動を行う。

社会化:今後の生活の中で出会う同種動物やヒトをはじめとする多種動物に適合し上手くやっていく能力をもつこと

馴化:まわりにある多くの刺激(視覚刺激、聴覚刺激などや状況(留守番、ドライブなど)刺激)に適合できるようになること

社会化期は社会化と馴化の適期・・・この時期にどれだけ社会化や馴化ができるかは、その個体の将来の行動や性質の基本をなす

社会化期は以前臨界期と呼ばれていた⇒今は、「感受期」と呼ばれる。(感受期:高い感受性をもって社会化や馴化が行われる時期)


問17 ある刺激に対して生じる反応が大きくなるのはどれか。

1 馴化
2 脱馴化
3 感作
4 脱感作
5 刺激般化

問17 正解3

1 馴化:動物が刺激に繰り返しさらされることで、動物がその刺激に慣れ、かつて引き起こされていた反応(生得的反応)がだんだん小さくなること。

2 脱馴化:馴化が生じた刺激であっても、ほかの類似刺激などにより当初の生得的反応が誘発されると、馴化されたはずの刺激に対しても再び初期の反応が現れること。

3 感作(鋭敏化):強い刺激に暴露された結果、馴化とは逆に刺激に敏感になること。

4 脱感作:感作が生じた刺激であっても、刺激への暴露を繰り返す中で、再び初期の反応(無反応、小さな反応)に戻ること。

5 刺激般化:馴化や感作が生じた刺激に類似した刺激や、同時に提示された他の刺激に対しても、同じように減弱や増強という反応が生じること。



問18 最も早い時期に家畜化されたのはどれか。

1 馬
2 牛
3 豚
4 犬
5 猫

問18 正解4

1馬 6,000年前
2牛 8,000年前から10,000年前
3豚 8,000年前から10,000年前
4犬 1万2,000年前から1万5,000年前
5猫 5,000年前

参考 鶏 9,000年前


問19 獣医療における放射線防護に関する記述として最も適切なものはどれか。

1 X線撮影従事者の被曝量はゼロにしなければならない。
2 超音波検査時にも放射線被曝は生じる。
3 X線発生装置からの距離と被曝量は比例する。
4 X線撮影従事者の被曝量は定期的にモニターすべきである。
5 小動物X線撮影時の被曝量は少ないので、防護衣は必要ない。

問19 正解4?(適切な答えが無いと思われます。)

1 できるだけ被曝量は抑える必要があるが、実質、被曝量をゼロにするのは不可能だと思われる。

2 超音波検査は、放射線を使っていないので被曝はない。また、体への影響がなく、非侵襲的である。

3 X線量は距離の二乗に反比例する。距離が2倍になれば1/4に、3倍になれば1/9に減少する。

4 放射線診療従事者等(獣医師や動物の保定等を行う動物看護師等)は、被曝防止のために(獣医療法施行規則第13条)、放射線診療従事者等に係る線量の記録を行い、5年間保存することが義務づけられている(獣医療法施行規則第15条)。(「モニターすべき」ではなく「モニターしなくてはならない」)

5 X線診療従事者は防護具を着用しなくてはならない。


問20 X線の吸収が低いため、黒く写る臓器はどれか。

1 筋肉
2 肝臓
3 心臓
4 骨
5 肺

問20 正解5

X線の吸収が低い、つまり透過度が高い。
X線の透過度が高い順
(黒い)空気>脂肪>肝臓・膀胱・心臓>骨(白い)
肺は空気が多いので、黒く写る。


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