2020年度動物看護師統一認定試験 問題と解答・解説(問81から問90)
問81 骨折の外固定法として正しいのはどれか。
1 髄内ピン
2 ギプス
3 プレート
4 スクリュー
5 ワイヤー
問81 正解2
内固定:プレートによる固定、創外固定、ピン固定、プレート、ワイヤー、ピン、スクリューを組み合わせた固定。
外固定:ギプス、スプリントによる固定
問82 犬の歯石に関する記述として正しいのはどれか。
1 プラークが石灰化したものである。
2 食べかすのみで構成される。
3 う歯(虫歯)の原因となることが多い。
4 歯磨きによって除去できる。
5 予防にはキシリトールが有効である。
問82 正解1
1 歯垢(プラーク)の石灰化したものが歯石
2 歯垢は、歯面に付着した糖タンパクがベリクルという被膜を形成し、そこへ細菌やたんぱく質、食物残渣などが付着してできる。
3 歯石はう歯の原因となるわけではない。
4 歯垢はブラッシングによって除去できるが、歯石は除去できない。歯石を除去するには、スケーリングやルートプレーニングが必要になる。
5 キシリトールは犬には有害である。
問83 皮疹の名称と説明の組合せとして正しいのはどれか。
1 丘疹‐1cm以上の皮膚の隆起
2 紅斑‐真皮浅層の血管が拡張した紅色の斑
3 鱗屑‐角質、滲出液、膿、血液、壊死組織などが表面に固着したもの
4 潰瘍‐表皮内の損傷
5 胼胝(べんち)‐深い欠損が肉芽組織と表皮によって修復されたもの
問83 正解2
1 丘疹:皮膚表面から隆起した限局性の皮疹。大きさ1cm未満。
2 紅斑:紅色の斑。真皮乳頭層と上層の毛細血管拡張と充血により、炎症を伴うもの。
3 鱗屑:剥離した角質が皮膚表面に蓄積した状態。頭皮にみられるものは「フケ」
4 潰瘍:皮膚・粘膜の一部に生じる深い欠損。
5 胼胝:手足の特定の部位に圧が反復的に加わることにより生じる角質の肥厚。
皮膚に見られる病変を皮疹または発疹という。
原発疹:一時的に発生する皮疹。紅斑、紫斑、白斑、色素斑、丘疹、結節、腫瘤、水疱、膿疱、膨疹がある。
続発疹:原発疹から時間的経過を経て続発する皮疹をいう。びらん、潰瘍、膿瘍、鱗屑、痂疲、萎縮がある。
その他の皮疹:原発疹でも続発疹でもない、特別な性状を示す皮疹:苔癬(たいせん)、苔癬化、疱疹、膿痂疹など。
斑:水平方向に病変が拡がることによって生じる局面
紅斑:紅色の斑。真皮乳頭層と上層の毛細血管拡張と充血により、炎症を伴うもの。
丘疹:皮膚表面から隆起した限局性の皮疹。大きさ1cm未満。
結節:1cm以上3cm未満
腫瘤:3cm以上
鱗屑:剥離した角質が皮膚表面に蓄積した状態。頭皮にみられるものは「フケ」
落屑:鱗屑が剥がれ落ちること
痂疲:角質、滲出液、膿、血液、壊死組織などが表面に固着したもの
潰瘍:皮膚・粘膜の一部に生じる深い欠損。
ひらん:「ただれ」皮膚・粘膜の一部に生じる浅い欠損。
胼胝:手足の特定の部位に圧が反復的に加わることにより生じる角質の肥厚。
見てわかる皮膚疾患 診察室におきたいアトラス
http://chugaiigaku.jp/upfile/browse/browse3064.pdf
問84 次の皮膚疾患のうち、自己免疫性疾患はどれか。
1 疥癬
2 アロペシアX
3 落葉状天疱瘡
4 膿皮症
5 皮膚糸状菌症
問84 正解3
1 疥癬はヒゼンダニ(疥癬虫、Sarcoptes scabiei)が皮膚の最外層である角質層に寄生する疾患
2 アロペシアX(脱毛症X)は毛の生えかわるサイクルが止まってしまう事による脱毛症
3 落葉状天疱瘡は、表皮表層部の剥離により皮膚にびらんが形成される自己免疫性水疱症
4 皮膚に細菌(ブドウ球菌)が感染することによってかゆみや脱毛、皮膚の赤みや湿疹を引き起こす皮膚病
5 皮膚糸状菌症は、数種類の真菌によって引き起こされる皮膚および爪の真菌感染症で、感染部位によって分類されている。皮膚糸状菌による感染症は、たむしや白癬と呼ばれることもある。
問85 犬のアトピー性皮膚炎の多くに見られる特徴として適切なのはどれか。
1 初発年齢は4歳以上が多い。
2 好発部位は背中である。
3 一般的に痒みは示さない。
4 抗原特異的IgEの上昇が認められる。
5 多くは自然治癒する。
問85 正解4
1 初発年齢は3歳未満
2 好発部位は、目のまわり、耳、手の甲、わきの下、内またなど
3 皮膚の異常が出る前に、かゆみが出る
4 IgEは上昇する
5 アトピー性皮膚炎は治癒しにくい。
問86 犬の乳腺腫瘍に関する記述として正しいのはどれか。
1 常に左右いずれかのみに発生する。
2 雄犬には発生しない。
3 90%以上が悪性である。
4 最も転移しやすい臓器は肝臓である。
5 初回発情前の不妊手術により発生率が低下する。
問86 正解5
1 複数個、発生することもある。
2 まれに雄犬にも発生する。
3 約50%が良性。
4 肺、リンパ節、肝臓、まれに骨に転移する。
5 乳腺腫瘍発生率は初回発情前の避妊で0.05%、2回目の発情前の避妊で8%、2回目発情以後の避妊では26%という報告がある。
問87 犬の繁殖機能障害に関する記述として正しいのはどれか。
1 潜在精巣は、精子形成能に影響しない。
2 前立腺肥大は、去勢済みの犬に発症しやすい。
3 子宮蓄膿症は、発情前期に発症しやすい。
4 乳腺腫瘍は、性ホルモンの影響を受けない。
5 偽妊娠は、乳腺の発達や巣作り行動を引き起こす。
問87 正解5
1 潜在精巣は、精子形成能に影響する。
2 前立腺肥大は、未去勢の犬に発症しやすい。
3 子宮蓄膿症は、発情終了後~約2か月くらいの間に起こる。
4 乳腺腫瘍は、性ホルモンの影響を受ける。
5 偽妊娠は、乳腺の発達や巣作り行動を引き起こす。
問88 白内障は目のどの部位の異常により発生する病気か。
1 角膜
2 水晶体
3 硝子体
4 脈絡膜
5 網膜
問88 正解2
白内障は、水晶体が白く濁ることで視覚障害を起こす病気である。
問89 角膜潰瘍の検査法として最も適切なのはどれか。
1 フルオレセイン染色検査
2 シルマーテスト
3 眼圧検査
4 ウッド灯検査
5 テープストリッピング検査
問89 正解1
1 フルオレセイン染色検査:角膜の潰瘍の有無や傷の有無の検査(眼)
2 シルマーテスト:シルマー涙液試験:ドライアイなどの検査(眼)
3 眼圧検査:緑内障等の疑いがある場合の眼圧検査(眼)
4 ウッド灯検査:糸状菌を検出(皮膚)
5 テープストリッピング検査:テープを使って皮膚表面の病原体を検査する。(皮膚)
※その他の眼の検査
1 スリットランプ検査:さまざまな光の束を用いて水晶体の混濁や白内障の分類を行う検査
2 眼底検査:網膜や網膜剥離について観察する検査
※※その他の皮膚の検査
1 くし検査:外部寄生虫の検出
2 ウエットペーパー検査:ノミの検出
3 被毛検査:真菌や毛包虫感染の有無や毛の状態(毛周期、毛構造、毛包性感染症)を調べる
4 掻爬検査(スクレーピーング、スクラッチ):外部寄生虫、真菌を検出
5 直接塗抹法:細菌やマラセチアを検出
問90 犬の耳の疾患に関する記述として誤っているのはどれか。
1 難聴は、神経疾患が原因となって起こることがある。
2 斜頸を示す場合は、中耳の異常を精査する。
3 外耳道の検査は、抗菌薬を用いて洗浄した後に実施する。
4 耳血腫は、耳介の著しい腫脹と疼痛を伴うことが多い。
5 重度の外耳炎で耳垢が多い場合は、耳道内洗浄を行う。
問90 正解2と3(正解はわかりません。)
2 斜頸を示す場合は、内耳と中耳の異常を精査する。
3 外耳道の検査は、抗菌薬を用いる前に実施する。
犬や猫では、ほとんどの場合、外耳道から波及して鼓膜の奥にある中耳まで炎症が起こり、中耳炎となる。
中耳炎の症状
耳をかゆがる
耳ダレがみられる
黒い耳垢が見荒れる
耳が臭い
頭をよく振る
沈鬱で無表情
耳を触られるのを嫌がる
頭を傾ける
目が揺れるように動く
唇が垂れる
内耳炎の症状
頭を傾ける
眼が揺れて見える
旋回する
歩き方がおかしくなる
平衡感覚の麻痺
(動物耳科専門クリニック主の枝のHPより引用)
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