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大豆田とわ子の話

海外ドラマは死ぬほど見るのに、日本のドラマはひとつも観ない私が、本当に数年ぶりに見た作品でした。母親がとても面白いと言っていたことを、眠れない真夜中に思い出し、勇気を出して再生してみた。

新しい映画を見るとき、新しい本を読むとき、わたしは物凄く下調べする。友達と行くレストランは少しも調べやしないのに、新しいカルチャーに触れるときは、物凄く慎重になる。
それは評価が良いから見ようとかそういうことではなく、単純にストーリーを調べる。(ありえない!という人がいるのが承知の上です)

基本的に、好きな作家、好きな映画監督の作品しか見ないので、(そういうときは作り手そのものに信頼を置いているため調べないのですが)新しいものは徹底的に調べ、まれにストーリーのネタバレまで読んでしまい、結果がわかる形で映画を見ることもある。
それでも、自分が好きにならなそうな作品を観るより構わない、と思っているのですが、これは少数派なのでしょうか。

そんなわけで、大豆田とわ子。坂元監督は有名な方だそうですが、(調べたところ聞いたことのある作品が沢山あった)残念ながら日本ドラマを通らなかった私はまったく存じ上げず。ストーリーも、バツ3の大豆田とわ子が、元夫の振り回される日常を描いたハートフル(?)コメディということしかわからず。それでどうやって十話も作ったのだろうと不思議に思いながら、再生したのは、ひとえに松たか子さんという女優への信頼からだろう。

眠れない夜に一話から再生し、なんとそのまま徹夜して全話見てしまいました(!)
本当に、淡々と、とわ子と、とわ子をめぐる周りの人々との日常を描いた作品で、コメディが7割・しんみりが3割という塩梅だろうか。
登場人物(三人の元夫と、とわ子の親友のかごめ)が個性的で、ドタバタ劇が繰り広げられるのだが、まっとうな人間であるとわ子も冷静に考えるとバツ3という珍しい経歴の持ち主なので、そこにもくすっと笑えたりする。
でも、個性的な人々(それこそ職業も生活スタイルもファッションも全く違う)が自分らしく生きていることに、楽しくなったり救われたりする、確かにハートフルなコメディでした。

しんみりするシーンもあるけれど、なんにせよ全員が前向き。特に大豆田とわ子。
デティールだけ見ると絶対に「いない人」を、「いそうな人」に感じさせてくれるのは松たか子さんの演技力だと思う。圧倒的な美人なのに、そうとは思わせない自然な振る舞い。

それから、とわ子のファッション!
色とりどりの服、鞄、靴!きらきらと輝いている。
同じ鞄を使用したり、服を着まわしたりして日常感を出す作品もあると思うのですが、とわ子はいつも違う装いをしている。それがとってもお洒落で、素敵なのだ。

気になって、ネット検索をしたところ、やはり話題になっている(いた)ようで、たくさんのまとめサイトを発見した。既に販売終了しているものもあるが、眺めているだけで楽しい。

私が特に気に入っているのは、一話のCabanのボタニカルプリントのブラウスとスカート。ブラウスは白、スカートは緑とセパレートにしているところが、とても可愛い。
(銀座店の前を通ったところ、白のスカートが飾られていて、思わず惚れ惚れと眺めてしまった)

それから、淡いピンクのTodsのショルダーバック。
小さい鞄は使いどころがない(観劇のためオペラグラスとペットボトルが入るサイズでなければならない)ので、完全に観賞用だが、思わずピンクの鞄が欲しくなる。

個人的に、石橋静河さんのファッションも好きで、彼女の黒髪ボブによく似合う洋服ばかりだった。

それから、忘れてはならない市川実日子の存在感。
まあ、彼女は本当に目を奪われるほどの美人ですよね。
職場では朝ドラが点いているので、たまに見たり見なかったりするのですが、カムカムエブリバディのベリーちゃんを演じている彼女がすごく好きでした。
デート(?)の前に、髪をブローして化粧して、おめかしした市川実日子のとんでもない美貌。夕日に照らされて、本当にゴージャスに輝いておりましたとも。
それでいて、自然体なかごめを、ごく自然に演じてらっしゃるのが素晴らしいと思いました。

このドラマには、隠されたメッセージのようなものが、そこかしこに散りばめてあるのですが、私が好きな言葉はずばり。
「みんなとカレーパンを食べれないなら、社長になんてなりたくなかった。」です。


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