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記憶の欠片(幼少期のエピソード)

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特に山もオチもない日常の一コマが、なぜか鮮明に記憶されている。 なぜそんなどうでも良い瞬間の記憶が、そのほか多くのビッグイベントの記憶よりも鮮明に焼き付いているのか。 あの日あの…
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#おじいちゃん

孤高の上海ハニー(ジュリア)

3歳か4歳の頃 おじいちゃんとよく散歩に行っていた 当時中国に住んでいたのだけど、 当時の中国の道路事情は未開発で、舗装されていないとか、 突然穴が開いているとかがざらだった。 おじいちゃんは私が転ばないようにと、 いつも手を引いて誘導してくれていた。 その日もいつものようにおじいちゃんと散歩に行ったのだけど、 なぜか私は手を引っ張られて誘導される事が許せなかった。 「私より先を歩かないで!!」 そう叫びながら、おじいちゃんの手を振り払い地団太を踏んだ。 昨日ま

”てんし”のくれた贈り物(ふらっとさん)

たまごっちブームが終わり、「てんしっち」が流行っていた頃の話。 6歳くらいの頃、祖父と一緒にお店に行った。 それがデパートのおもちゃコーナーだったのか、 高速道路のサービスエリアだったのかは定かじゃないけど、 6歳の私は祖父に手を引かれて歩いていた。 おもちゃ売り場に差し掛かった時、 私の目はある商品にくぎ付けになった。 それは、「てんしっち」をモチーフにした腕時計。 「てんしっち」っていうのは、 空前のたまごっちブームが終わりに差し掛かった頃 二番煎じの商品が大量に市

パチンコ店(うつこさん)

5歳の時 バイクの後ろに乗せられて おじいちゃんとパチンコ屋に行った 近所のパチンコ屋で、おじいちゃんとパチンコ屋の社長と仲良しで、 パチンコ屋を抜けてパチンコ屋の応接室に行った 応接室は2階にあった ガラス張りの壁からは、上からパチンコ屋を見下ろせるようになっている 応接室でお茶を飲みながらおじいちゃんと社長は話をしていた 緑茶をもらったが、飲まなかった 店舗はうるさいが、応接は静かだった 2回の応接から、ガラス張りの窓越しに見るパチンコ台がならび、 人であふれかえる

タキシードの紳士(うつこさん)謎の男シリーズ③

バス停の男、交差点の殿様に続き、 同じ週に3回目の出来事があった その日はおじいちゃんに連れられ、自転車の後ろに設置された子供用の椅子に座っていた。 おじいちゃんは商店街を私を乗せて走る 流れる景色をぼーっと眺めていると、 道路脇にある洋服屋さんの2階におじさんがいた。 私をじっと見つめている。 まただ。 そのお店は、自宅の一階を店舗にしていて、 一階は洋服屋さん、二階は自宅、そしてお店の上はベランダになっている。 そのベランダに立つ紳士。 そのお店に似つかわしい、茶

交差点の殿様(うつこさん)謎の男シリーズ②

バス停で異様な男を目撃してから数日 確かおじいちゃんと2人だったと思います おじいちゃんに手を握られ、 私は国道の交差点で信号待ちをしていました ふと道路の向かい側を見ると3人信号待ちをしていて、そのうち1人が着物? 江戸時代の殿様が来ているような、肩が尖っていて足が太くなってる服を着ている。 よく見るとちょんまげも結っている。 服は青い空の様な色合いで、全体に和柄が入っていました。 その光景に似つかわしくない異様な出立の殿様が、じっと私を見ている。 目が合