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ルーブル

ルーブル美術館に通うだけの1週間を予約した。

だいぶ前にルーブル美術館に行ったときは、数時間しか滞在できなかった。通り過ぎてしまった「その他の作品」たちにきちんと向き合いたい。

以前、出版社からの依頼で、オルセー美術館をはじめとした印象派の作品を巡る旅行をしたことがある。棚ぼた的取材だ。またそんな依頼がこないだろうかとひそかに期待していたが、2匹目のドジョウはいない。

それで、一緒に行く人はいないか、出版社はないかと探してみた。色よい返事はなかった。

でも、ここで自分を通り過ぎたくない。

自分だけでも、自分に時間を割きたい。死ぬときに、「ルーブルに行きたかった」と呟くなんてまっぴらだ。

飛行機チケットと、ルーブルまで徒歩10分のアパートを1週間予約した。もちろん私ひとりだ。

かつて通り過ぎた作品に向き合う。帰ってきたら「作品を見る人」の姿を描く。

とてもシンプル。

棚ぼたを待たず、私は餅を作ることにした。

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