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ミニトマト

如何にも困難なる事案に遭遇せり、頭痛甚だし。自ら為し得ること一つも無く、如何ともし難き次第なり。これが故に、心中より払拭すべきと心得れども、心未だ重く、憂うつなること限りなし。

年に数度かかるこの如き不可避の事態、ああ、今日こそその日かと悟りぬ。占星術の暦にも、☆を戴く無敵の幸運日もあれば、×を記す暗黒日もありて、粛々と受け入れるしか無し。

己が選びし選択肢をプランCまで書き記し、一旦整理す。これすべてが無に帰すれば、心を決して受け入れ、次にプランDを考うべし。

されど、やはり心は重く、集中力も常より欠けて、筆の進みも鈍し。体もだるく、頭痛も更に酷し。恐らく、明日より天気崩れる故と自らを慰めつ。

猫の寝たる傍に行き、癒しを求めて横たわりしところ、そのまま眠りに入る。変なる姿勢にて数十分も固まりしが故に、益々だるさ増し、ふらふらと机に戻りぬ。猫は呆れて我を見送り、再び眠りに就きたり。


家庭菜園のミニトマト、六月にしてすでに大株に成長せり。その下にて、三つの赤く熟したる粒を見つけ、それを収穫し夕餉に添えぬ。

初めて収穫せしミニトマトを口に含む。口中にて弾け、甘し。もっと酸味あるを予期せしが故に、驚きたり。

ぱっと、頭冴えたる気せり。

もやもやせし心を吹き飛ばすごとき、赤なりき。
本の上に置かれたる、檸檬爆弾のごとし。


ミニトマトは今後更に大きく成長すべし。すでに青き実も幾つか待機中なり。夏の間中、トマト爆弾を炸裂させ続けんと決意す。

如何なる事態があろうとも、この夏は無敵なるべし。



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