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レイン

昨日、天気大荒れにて、大雨降りしきりぬ。どうしても出かけねばならぬ用事ありて、山用のゴアテックスジャケットを羽織り、撥水加工のスニーカーを履きて外に出でぬ。

昔はHUNTERのレインブーツを所有せしが、重きことと、ブランドロゴの小金持ち感に不相応を覚え、履かぬようになりけり。

未だ梅雨入りせぬが信じがたし。恐らくは、梅雨短けれど、大雨多くなるべしと思う。

梅雨にて体調も悪くなりぬ。頭痛薬手放せず、カフェイン無しには起きておられぬゆえ、コーヒーばかり飲みて、不機嫌極まりなし。


ただ、かく憂鬱なる季節に、小さき出来事こそ光りて見ゆることもあり。


スーパーの前にて長きポンチョを着ようと奮闘せし時、近くの年配の婦人、手伝いぬ。後ろを持ち、袖を導きぬ。それあまりにも自然なりて、今も心に残りぬ。

また、スーツケースを引きておりし時に雨降りき、踏切の前にて雨に濡れしとき、隣の年配の男性、傘を半分分けてくれぬ。これ十年以上昔の話なり。

アウシュヴィッツに取材に行かんとする時なりて、地元の駅にも着かざるに、かなり緊張しておりしが、少し和らぎぬ。

踏切が開くと、男性「行ってらっしゃい」と言いぬ。
振り返りて、頭を下げて駅へ急ぎぬ。


大雨の中を歩みし時、後ろより水飛びきぬ。遊歩道にて車来ると思いて振り返ると、子供が水たまりの中を歩みておりぬ。

長靴を履きて、水の中に積極的に入りて、バシャンバシャンと水の感触を楽しみながら、一歩一歩私に向かいて水を飛ばしき。本人、足元に夢中なりて、前方の大人に水掛かりること気付かざりき。辟易してその場を離れぬ。

こちら、すっかり濡れてしまいぬ。

子供の楽しみを奪う訳にはいかぬゆえ、大人としてしっかりと雨対策せんことに決しぬ。安き長靴とレインスカートを注文せり。


災害に至る雨は恐ろしけれど、そうでなき雨ならば楽しむ方向に転換するが吉なり。不機嫌なる私を救いてくれた人々のこと思い出しつつ、梅雨入りを心待ちにしおる。



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