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ブルーインパルス

毎日のラジオ体操において、手を伸ばし、身体を反らす動作あり。デスクワークにて前屈みの姿勢にある我が身に、この体操は甚だ心地良し。天井を見上ぐるまでしっかりと反らし、元に戻る。

今日はブルーインパルスの飛来ありと聞き及ぶ。思い返せば、以前に見たるはコロナ禍の頃なり。買い物帰り、目の前の空を飛び過ぎたり。されば今回は特に見んでもよいかと思いきや。

飛来の時刻近づくと、そわそわし始めぬ。気になりて外へ出でたり。天気晴朗にして、予想よりも気温低く、過ごしやすき夏の日なり。近所にて空の広き場所を探し、小学校の校庭に入らんとすれど、残念ながら解放されず。道ばたよりフェンス越しに見上ぐれど、校庭の端には木々ありて、視界遮らる。諦める。

電線にオナガを見つけたれば、写真を撮る。

図書館の前に行くも、ここもまた全く適わず。キョロキョロと周りを見回す折、幼児を連れたる母親に声をかけらる。子どもは絵本を抱えたり。

「え、もう来ます?飛んでくるって言ってましたよね?」
「ええ、ブルーインパルス。」
「もう来ます?」
「いやー、もう来るようですが、どちらから来るのか分からず……」

知らぬ人の目を見て話すこと苦手なる我なれど、空を見上げながら話すは問題なし。ブルーインパルス撮影のためのヘリコプターがやたら飛びたり。

いつの間にか親子はいなくなりぬ。

ブルーインパルスの飛来方向を教えられ、広き駐車場の近くに移動す。ここは空の広し。しかし誰も我以外に空を見上げる者無し。少し不安を覚えぬ。あらぬ方向を見ているのではと。

よく晴れた空なり。下の方には夏雲多く、梅雨はもう終わったのではと。

突如、轟音響きたり。
人々が建物より飛び出し、皆で空を見上げれば、ブルーインパルス飛びぬ。

スマホのシャッターを二度押すも、視界より消えたり。

帰宅し仕事に戻る。再び轟音聞こゆ。ブルーインパルスの戻る音なり。

空を見上げるは良しと思う。日に一度は空を見上げたし。身体を反らして、ぐっと伸びたる瞬間に青空が見ゆるは気持ちよし。

されば、夏の朝は校庭にてラジオ体操があるなり。


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