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パーフェクトビーチ
完璧なビーチに出会った。
青い空、エメラルドの海、白い砂。波打ち際の小さな貝殻。
平日の海水浴場は4,5人しか泳いでいない。
ゴミは一つも落ちていない。
音楽もかかっていない。ただ波の音だけが聞こえる。
水着は持っていなかったけど、靴を脱いで膝から下を海に入れてみた。気温は38度。足から一気に涼しくなる。
水が透明で、自分の影がそのまま底に映る。
最高の海だ。
30分ほど波の感触を楽しんで、帰った。
貴重品入れにしている小さなバッグに、砂が入り込んでいた。横に振るとクリーム色の粒がサラサラと音を立てる。東京に持って帰ろう。
帰宅後、バッグの底の砂をみる。大さじ3杯ぶんくらい入り込んでいた。東京だと、さらに白く見える。薄汚れた世界に戻ってきたのだなあ、と実感する。
砂を触ってみると、かすかにべたつく。潮風をふくんでいるからか。
指先につけてよく見る。
真っ白だ。
バッグの中身を確認する。小さなポリ袋のジッパーが開いている。ヒル対策で入れておいた塩。それがバッグの中身に大量にこぼれていたのだ。
砂はどこかに消えていた。
バッグを振ると、食卓塩はさらさらと音をたてた。
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