9/12~9/18は心臓弁膜症啓発ウィーク


【最初に】

2022年9月12日~18日は、心臓疾患関連の世界的連合組織Global Heart Hubによる、心臓弁膜症啓発ウィークです。

心臓弁膜症は聴診器で心臓の音を聞いてもらい、きちんと発見すれば、治療可能な病気であることを私の体験談を記しながらお伝えしたいと思います。

私は、2020年3月27日に入院、30日に心臓弁膜症の手術をしました。具体的年齢を記すのは差し控えますが、心臓弁膜症患者としては若い方でした。

4月7日に退院、その翌週には仕事とピラティスを再開しました。コロナ禍でオンラインの仕事が多いため、あまり動き回る必要もなく、助かった面もあります。半年後の病院チェックでが、「もう来なくていいですよ」と言われ、通院終了しました。半年間は服薬していたワーファリンも飲まなくて良くなりました。

制限がなくなったので、キックボクシングと登山も再開しました。手術前のスタミナには及びませんが、マスクをつけたキックのクラスをこなせているので、上等だとは思います。ただ、登山時には、以前になかった貧血や足の重さを感じたので、心配になり、心肺運動負荷試験(CPX)もを受けたところ、心肺には問題ないことも判明しました。そして、「何をやっても良い」と太鼓判を押されたので、心肺能力強化のために、ヒートトレーニングを取り入れたエアロバイク、水泳もはじめたところです。

手術当時はごく親しい人にしか伝えず、仕事上必要で手術について知らせたとしても病名は伏せていました。「心臓」と聞くと心配されるだろうから。母にも知らせなかったくらいです。コロナ禍で見舞いにも来られないし、ただ心配させるだけなら、言わないで「無かったこと」とした方が良いと判断したからです。ということで、母は、今はコーチとして独立している私が、まだ会社勤めしてると思ってるし、心臓の手術なんてしてないと信じています(笑)。

では、何故、今、ここに書いているかと言えば、ご自身や周りの人が心臓弁膜症だったり、これからなった場合の参考になるかもしれないと考えたからです。

【心臓弁膜症とは?】

”心臓には4つの弁が付いています。それらのうち、1つ以上の弁がすり減ったり傷ついたりして、心臓が十分に血液を送り出せなくなってしまう病気を「心臓弁膜症」といいます。

心臓弁膜症になると、息切れや胸痛、めまい、失神などの症状が現れ、悪化すると心不全に発展しますが、早期診断と正しい治療により日常生活に戻ることができます。”(心臓弁膜症ネットワークHPより)

【心臓弁膜症に罹患している人は300万人?】


”日本における心臓弁膜症の潜在患者数は、65-74歳で約150万人、75歳以上で235万人いると推測されています(米国における罹患率1を日本の人口2に当てはめた場合)。

また、心臓弁膜症の代表的な疾患のひとつである大動脈弁狭窄症については、60-74歳では2.8%、75歳以上で13.1%の方が罹患しているとされており3、日本の潜在患者数を推算すると60歳以上では約284万人となります。

この中で、56万人程度の患者さんは手術を要する重度の状態にあるとされています。一方で心臓弁膜症の年間手術件数は、最新の2015年のデータでは2万1千件4ほどに留まっており、多くの患者さんが治療を受けないままで症状が進行している可能性が示唆されています。”(エドワーズのプレスリリースより)

【発見の経緯】

  • 2019年11月 区の健診の心電図で「少しおかしい波形が出てるので念の為にエコー取りますか?」と言われて、心エコーを撮る。「心臓の弁が切れてます」とのことで、大学病院を紹介される

  • 2020年1月 大学病院で、より詳しい検査を受ける

  • 2020年2月 心臓弁膜症(僧帽弁閉鎖不全症)の診断を受ける。自覚症状はないものの、逆流の程度は強く、手術を勧められる

※日常における自覚症状はありませんでしたが、思い返せば、キック・ボクシングのウォーミングアップの縄跳びが以前よりもしんどい気がしてました。加齢のせいだと捉えていました。私の登山スタイルは休まず同じペースで登るのに、休まないと登れないことがありましたが、登山のブランクと加齢のせいだと考えていました。

【術式を決めるまで】

診断をしてくれたお医者さんから、手術のためにどこでも好きな病院を紹介すると言われたので、医療ライターの知り合いにも相談しながら、2つの病院を紹介してもらうことにしました。

診断してくれたお医者さんのお話を聞くと、手術自体は、手術にはつきもののリスクはあるけれど、それほど難しいものではないらしいと分かりましたので、手術を受けることは決意しました。あとは、どの術式にするかが問題でした。

術式を決めるための優先順位を自分なりに決めました。
① 痕が目立たないこと
② 仕事に早く復帰できること
③ 薬をずっと呑むようなことはないこと。

①、②は大体イコール。そうすると、
A. カテーテルによるマイトラクリップ
B. ダ・ビンチによる低侵襲手術
C. 開胸手術
の順に好ましいことが分かってきました。

マイトラクリップ、ダ・ビンチの低侵襲手術で各々日本一症例のある病院を紹介してもらいました。マイトラクリップの権威の先生によれば、マイトラクリップは、外科的手術を受ける体力のない人向けで、完全に治すわけではなく、その箇所をクリップでつまんで逆流を軽減するようで、後々クリップが外れることもあるそうで、若くて体力のある私には勧めないとのことでした。

納得出来たので、次に好ましいと考えた、ダ・ビンチによる低侵襲手術をやってくれる病院で話を聞きました。私の場合、ダ・ビンチを使っての手術も可能だろうし、おそらく弁置換をせず(弁置換をすると、薬を飲み続ける可能性がある)、弁形成術で済みそうだとのこと、入院期間も一週間程度とのことでした。

その時点で、迷いはなくなり、ダ・ビンチによる手術をしてもらうことにしました。結果は大満足です! 術後の痛みも少なかったし、前述のように、すぐにピラティスくらいは出来るようになりました。ダ・ビンチのアームを入れるだけの大きさの痕が4箇所あります(二人✕二本のアームを使う二人がかりの手術)が、下着で隠れるし、そもそもあんまり目立たちません。開胸が骨を切ることを考えると、体力的な負担はずっと少なくて済みます。

ドクターXで見た、ダ・ビンチの手術を受けたことはちょっと自慢でもあります。また、保険適応で、高額医療費制度にも助けられました。

【学んだこと】


術前に相談に乗ってくれた友達、手術の時に送り迎えをしてくれた友達、医者からの術前説明を共に聞いてくれた友達、オンラインで気遣ってくれた友達たち、手術に立ち会ってくれた妹、人の温かさを感じた機会でもありました。

また、診断してくれたお医者さんが「聴診器で音さえ聞いていれば、もっと早く分かったのに。。。」と仰ってました。心電図で「少しおかしい」と気づかれるまで、暫く聴診器をあててもらった記憶がありません。少なくとも数年は健康診断で聴診器で心音を聞いてもらってなかったのです。ですから、今後は必ず聴診器で音を聞いてもらうべきだと学びました。

そして、その後、心臓弁膜症ネットワークの存在を知り、手術後にフルマラソンを走っている方もいて、心臓手術後も運動を十分楽しめることも分かりました。私自身も身をもって示している途中です。※個々人の症状等で異なるとは思います。

【心臓弁膜症啓発ウィーク特設ページ】


上述の心臓弁膜症ネットワークが、心臓弁膜症啓発ウィーク特設ページを設けていますので、心臓弁膜症についてより詳しく知りたい方は以下へどうぞ。
心臓弁膜症啓発ウィーク特設ページ







この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?