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「障がいのある子とその親のための「親亡きあと」対策」という本。

この本は、これまでにないタイプなので、よいと思います。

目の付け所が違うと思います。
しかも、これまでは「障害のある子ども、若者」までだった。しかし、今は医療技術があがったので、正直、障害があっても50才60歳まで長生きしてしまう。
(昭和時代とかだと、正直20代まで育たないとか、40代まで生きていられないとかいうケースが多かったのです。)
「今、少しでも援助なしでも生活できるように育てるので手一杯なのに、そんな、障害のある子が50歳60歳になった時、自分は80歳です。考えられない、どうしよう」
とまあ、考えたくても、まったく考えられなかったことに挑む挑戦的な本かなあと思います。

ある意味、好きで障害を受けて生まれてきたわけじゃないけども、親にも体力、経済力がある人、ない人、切れる人、忍耐力のある人といろいろあります。
切れる親だったら、育児放棄だし、虐待するし、速攻養護センターに移してあげるしかない。

しかも、なんというか、たとえば脳性麻痺は辛いけど、脳性麻痺の場合は、遺伝じゃないので、親が健常者が多い。
でも、遺伝で受けてしまった障害は、親子で何らかの形で引き継いでしまう。(つまり、親のほうもトラブル態勢が低いので、毒親になりやすいという意味です。)

もし、家族、親族に障碍者の人がいたら、その人の死ぬまでの未来がわかるんじゃなかろうか?

目次を引用します。
【目次】
1章●50 歳になった子を想像してみよう
2章●障がい者を支える制度を知ってから備える
3章●移り変わる暮らしに合わせて備えを見直そう
4章●残したお金を子が使うために必要なこと
5章●親自身の老後と親が亡くなったあとの手続き

ちなみに、皆さんが大好きな「まあ、社会福祉素晴らしいよね!」という北欧ですが、ダウン症の染色体異常が妊娠中にわかれば、ほぼ100%中絶されます。このため、ここ10年とかで、ダウン症の子供はいなかったと思います(北欧といっても4か国ほどありますので、それぞれ差異はもちろんありますが・・・)。残酷に思われると思いますが、そういう方針を取っているのです。
(ちなみに、老人については胃ろうもしませんので、老衰というか老後病気になったら、積極治療はなく、自然に穏やかになくなります。もちろん病気によっては、痛みがありますが、医療麻薬などで緩和します。北欧では、むやみやたらと長寿や存命医療を目指さないのです。何せ、日本より国力もないし、人口も少ないですから、寝たきりが増えたら、国が破たんするでしょう。)

一方、日本だと「中絶かわいそう」といって、ダウン症の子供が産まれますが、親が50才になると悲鳴をあげます。
「私はもうすぐ60歳になります。この子はどうしたらいいですか? 私が年取ったら、誰も世話できません」→要するに、「国でひろってくれ」と言外に言っているわけです。その財源はどうしようというのでしょうか? 5億円くらい納税しておいてくれるのでしょうか? とてもそうは思えません。まあ、ユニクロの柳井会長みたいな億万長者の納税したお金が回りまわっていくのでしょう。

いえ、正直いうと、これも厳しいですが、「そんなの、最初からわかるでしょ」という話です。
怖いから、考えたくないのは、わかります。まあ、どんなことでもいやなことはあまり考えたくはないのですが、放置もできません・・・。泣きながらでも、対応するしかないのです。大変です。

・・・たぶん、ひどいケースでは、養護系支援センターに入り、生活保護や障害年金で暮らすしかありませんが、補助上限額がありますから、親が億単位の遺産を残さない限りは、子供さんは贅沢はできません。

厳しい世の中です。辛いです。かわいそうです。でも、リアルです。
ですが、突然どうなるかわからないのも、お互い様です。

障害といっても、自分のことは自分でできる人は多いし、訓練したら、できるようになる人もたくさんいます。簡単な仕事はできて、自分で収入が得られるようになる人もいるかもしれません。
また、医療技術の発達で、薬を飲めば、普通にふるまえるものが出てきています。たとえば、ADHDのコンサータです。

人によって、副作用で眠くなったりするようですが、ADHDの人がいうには、「飲むだけで、頭の中がシーンとなって、人生初めてこれが普通なんだって思った」と言っている人がいました。当然、うっかりミスや多動などが薬が効いているうちは、ぜんぜんなくなったらしいです(効果は個人ごとに違うので、そこまででもない人はいるかもですが)。
まあ、そのように、医療技術で突然、改善するかもしれません。
ガンの人などは、「毎年、いい薬が出るから、寿命が延びているよ」といって、「あと3年」といわれていたのに、7年くらい生きている人だっています。普通に出歩いたりするだけの体力もあります。

(今、一番辛いのは、知的障害の伴う人かなと思います。多少賢くなる訓練方法や記憶力がよくなる薬などはありますが、IQ60 くらいの人を100にぐんっとよくする医療は、現在ないのです。肉体のほうで、外科手術や義肢義足といった対応策があるのは、まだましです。残念ながら、21世紀の私たちは、ホワイトワーカー仕事のほうが一般に給料がいいのに、知的障害は、一番最後の医療技術発展になりそうです。)
なにか、AIチップを埋め込めば、ものすごく賢くなって、仕事がばりばりできる・・・ような未来が、すぐにでも来るといいのですが。


でも、こういった本で先の見通しがどうなるかをできるだけ、リアルに知っておくことで、親がどういう判断をするかは、必要な情報としてよいと思います。

この手の情報は、怖がらず、偏見もなく、ただフラットに冷静に読むのがよいと思います。
とにかく、それで考えることです。
それぞれの人によって、状況は違うのですから、よく理解して、正しい情報を集めるようにして、また専門家と相談して、最終判断することだと思います。

ちなみに、私も親の介護を3,4年したことがありますが、もうかわいそうだし、大変です。トイレに連れていって、便座に座ってもらうだけで、引き起こすだけで腰がやられそうです。食事も、赤ちゃんのように1口ずつ運んであげて、それでもこぼすので、後片付けも大変です。
それを50年とかするのは、本当にめちゃ、しんどいと思います。

AI,脳科学、生物学、心理学など幅広く研究しております。 貴重なサポートは、文献の購入などにあてさせていただきます。 これからも、科学的事実を皆様に役立つようにシェアしていきたいと思います。 ありがとうございます!!