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桃の文化的意味を調べてみた。

イザナギは、黄泉の軍団に追われたときに、桃を投げつけます。
桃には、悪魔よけ的な意味があります。

しかし、古代において、桃の文化的意味がどうなのか、ちょっと調べてみました。

縄文時代、6000年前から桃があったそうです。
ただ、今のような甘い果実を食用に楽しむというのは、わりと日が浅いとあります。

「 桃と聞けば、果肉の蜜のような甘さを連想する場合が多いかもしれない。しかし、現在のような甘い桃を食べられるようになったのは、明治期以降にもたらされた外来種との交配による品種改良の成果であり、桃の歴史からすれば最近の事である。

 「桃は縄文時代の、今から約6000年前ごろの長崎県の諫早半島に付け根にある伊木力遺跡から出土しており、その後弥生時代には急速に西日本からその栽培地域を拡大していき、弥生時代後期には長野県、東京都、群馬県、新潟県にまで達している。」1)

 食用が一般的となる以前の桃は一体何に用いられていたのであろうか。」

「「桃は梅と同様に原産地は中国で、縄文時代にはわが国に渡来していた樹木である。梅が稲作の起源地である長江中・下流域から高い水田稲作の栽培技術をもった人びとに伴われてきたと考えられるのに対し、桃の原産地は中国北部の黄河流域にあたる陝西省・甘粛省にまたがる標高600-2000メートルの高原地帯である。」1)」
「「(もともとの)桃は土壌の乾燥に強く、耐陰性に弱い。そのため、桃は本質的に柿や梨よりも一層に晴天に恵まれた乾燥気候を好み雨天の多い湿潤気候を嫌う。」」

「、第1の経路は、「縄文時代の終わりに中国から渡来し、弥生時代にはほとんど全国に伝播していたとみられる品種群である。花は観賞用となり、果実は食用・薬用とされたが、果実は小さく品質もあまりよくなかた。現在は在来種として、台木に使われたり、花桃(註:花の観賞用)として栽培されたりしているものである。」1)」

(最近のヨーロッパからの導入は、今回興味がないので、省略します。)

「一方、中国から東に伝来し日本に定着していた在来種は、食用には向かなかったようである。「果形堅くして酸味多く過重に乏しく品質極めて劣等」(恩田徹彌『果樹栽培史』1915)と書かれている。」

そういえば、孫悟空は桃食べてますよね。

「「蟠桃は、中国の神話・伝説で天界の蟠桃園になるモモで、三千年で熟した果実を食べると仙人になり、六千年で熟した果実を食べると不老長寿となり、九千年で熟した果実を食べると不老不死になる。このモモは中国古代から信仰された女神で崑崙山に住む西王母の誕生日(三月三日)に開かれる蟠桃会で、お祝いに集まった神々や仙人に供される。」6)『西遊記』では孫悟空がこの蟠桃会に用いられる桃を食べつくしてしまうエピソードがある。」

3月3日は桃の節句と呼ばれる。もともとは中国の五節供(せっく)の一つで、上巳の節という中国から奈良時代に伝わった式日である。ちょうど旧暦(太陰暦)の3月3日は、新暦(太陽暦)では、4月の中旬頃に当たり、桃が花盛りの季節であった。中国では曲水宴といって、桃花が咲き誇る中、屈曲した水流に臨んで、文人たちが並び合って座をしめ、上流から盃を長し、目の前を盃が通り過ぎる前に詩を作り、その盃をとって酒を飲む宴である。日本ではこの日に独特の文化的・民族的行事として、「雛祭り」が行われている。1)」

「桃栽培していた跡地に新たに桃の木を植えると枯れてしまう。また、桃の木の下は雑草が少ないとされている。美しい花、甘い果肉という人を惹きつける“誘惑”の背後に“毒”を有している。桃の二面性の“毒”は、食用、観賞用よりもはるかに長い使用法と関係がある。この“毒”とは何であろうか。まずどのような現象なのかみてみよう。」

おおー、桃、毒出すって!!! びっくり!!

この嫌地の原因は、桃が周囲に青酸配糖体という“毒”を撒いているからなのである。

 「桃樹の根が枯死あるいは腐れると、(註:桃樹の根に含まれる)プルナシンが青酸とベンツアルデヒドに分解し、さらに安息香酸を生じる。これらはいずれも改植した桃樹の根の呼吸を著しく阻害し、樹を弱らせる。プルナシンの分解は、桃樹の栽培地に水が溜まるなどにより土壌中の空気の流通が滞るとさらに促進される。また土壌線虫の根腐れ線虫は根を食害するだけでなく、根中のプルナシンを分解して、前期の有害物質を生じさせるので被害は大きい。」1)

 また、「桃の木の下には雑草が少ない。それは根に含まれる青酸配糖体であるアミグダリンが分解して青酸が発生するためである。これによって、他の植物は生えることが出来ず、桃は地表の養分を一人占めすることが出来る。自分の縄張りを化学的に維持する手段であり、これをアレロパシーという。」7)」


「自然界のあらゆる存在の薬効を分類してまとめ上げた百科全書、『本草綱目』という書物がある。その中には、鉱物、植物、動物はもちろん、人間の頭髪、排泄物なども掲載されている。果実の項目の中には、桃ももちろん紹介されている。

 「桃は、蕾も花も、葉っぱも、若い枝も、種子(仁)も、根っこも、樹幹から分泌される樹脂も、みな薬となるのである。蕾は乾燥させて利尿剤に、花はごま油につけて洗顔に使えば肌がうつくしくなる。種子の仁は桃仁と呼ばれ、浄血剤である。」1)

 東洋医学での一般的な用いられ方は種子である。“浄血剤”という言葉が最も分かりやすいが、専門用語では駆瘀血薬、活血薬などと呼んでいる。主に婦人科疾患に用いられ、月経周期、痛み、そして興奮性の精神症状にも用いられてきた。桃仁を含んだ代表処方には、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)がある。

中国の3世紀頃の慢性疾患の病態と治療法を示した書物『金匱要略』には婦人科の子宮筋腫に対して、桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、“感染症治療マニュアル”的存在の『傷寒論』には感染症に伴う精神症状に対して桃核承気湯が紹介されている。」

なるほどー。
要するに、果実目的じゃなくて、薬用目的ってことですな!!

こらー、地獄の鬼も逃げ出すし、纏向遺跡で桃の種だらけだったのは、桃仁で、薬用のための在庫貯蔵だったのかも!??

なんか、納得したな!!

ついでにこちらも。

https://www.ir.nihon-u.ac.jp/pdf/research/publication/02_37-2_08.pdf



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