椋鳥の百羽に冬の来たりけり 川島葵
「椋」2022年2月号より。
大学に入学して初めての秋。必修の体育でグラウンドを内周したときのこと。いなかっぺのわたしが「この鳥はなんですか?」と女性体育教員に訊くと「そんなどこにでもいる鳥なんか知らんわ」。
そののち、あれはどうやら「ムク」という鳥らしいと気づく。どこにでもいるのに、皆知っているようで知らない。そんなの羨ましいじゃないか。単純に「鳥」と呼びたき鳥だ。ちいさくて愛らしい。ちょっとかしましいのはご愛嬌。
〈百羽〉くらいがちょうどいいわ。そんなふうに思ってしまう掲句。この小さ過ぎず大き過ぎない冬の到来が心地よい。
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