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Love Letter

今年の三月、北陸の小さな町を旅した。
旅のツレが今はもうほとんど評価されていないある作家の故郷が見たいといって赴いた町だった。

そんなに辛気臭い旅ではなく地元の文化人として知名度が低いという情報をあざけったり近所の芋屋にさりげなく尋ねたりと愉快なフィールドワークだった。
芋屋のおかあさんに教えてもらった情報を元に、作家の生家があったらしいあたりを歩いてみる。焼けてしまって当時の区画も分からず、たぶんこの辺、というツレ。わたしは何もない道路の真ん中で、このへんかなぁピンポーンお邪魔します、というコントをした。

ツレはこの振る舞いが印象に残ったのか、後日道中について綴った記録にこの一部始終が書かれていた。わたしはコイツ岩井俊二知らねンだ、とひとりごちた。

1998年の岩井俊二監督作品の映画「Love Letter」の中で主人公のミポリン、彼女の死んだ恋人の男友達役のトヨエツ、は小樽にある恋人の生家を訪ねる。といっても生家は過去のトンネル開通によって跡形もない、ただの道路である。

案内する男「あ、そのあたりが玄関かな」
トヨエツ「ガラガラ(引き戸を開ける仕草)」
案内する男「ハハハ」
トヨエツ「(敷居をまたぐ仕草)お邪魔しまぁす」

余談。

先日トーク番組を観ていたら女優の内田有紀が出ていて、現在俳優経験者だという人物がマネージャーについているという話題に触れていた。
ゴシップ好きな母によれば、そのマネージャーは彼女の現交際相手で誰かと思えば柏原崇なのだった。
わたしのなかでは2008年のドラマ「ハチミツとクローバー」の野宮さんでおなじみ(大好き)で、先述の「Love Letter」には例の死んだ恋人の中学生時代を演じている。

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