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研究・批評のための資料整理の方法

研究を始めるためには、資料調査・収集・整理・分析がかかせません。僕は映像を研究しているので、ここでは映像に関する資料のアーカイブをどうやっているのかを紹介します。かつてはVHSやDVDを購入するか、テレビで放映された作品を録画してアーカイブするのが通常でしたが、いまは映像研究がとても楽になりました。動画配信サービスに入っておけば、いつでもアクセスして繰り返し見て確認できますし、場所をとりません。しかしながら動画配信サービスも多岐にわたり、いつでも目的の作品を観ることができるわけでもないのでリスクがあります。やはりデータとしてもっておくにこしたことはない。ということで、僕が映像資料をどのように管理しているのかをまずは書いておきます。

衛星放送チャンネルを録画する

・衛星劇場
・日本映画専門チャンネル
・映画・チャンネルNECO
・東映チャンネル
・ザ・シネマ
・ムービープラス

スカパーでこれだけ契約すると4000円ほどになりますが、映画館に2回行くのと同じです。このチャンネルから毎週もっていない映画を録画していくので膨大な量の作品が1ヶ月でたまります。すべてエクセルに記入して管理していて、現時点でざっと4000作品くらいを保有しています。こうしないと同じ映画を数枚買ってしまったり、何度も録画してしまったりと無駄な支出をしなくてすむ。毎週1回はすべてのチャンネルで1週間分の予約をします。作品と被らないようにエクセルをチェックし録画予約をしていく作業なので1時間以上かかります。結構大変ですが、これも大事な研究の仕事だと思ってやるしかない。僕はBlu-ray(BDRE)で1枚50GBのディスクを使っているので大体5〜8作品くらいがおさまります。そしたらケースにラベルを貼って番号で管理します。以下の写真のようにエクセルファイルとディスクが対応していて、監督や俳優、撮影などで検索すれば保有作品がリストアップされ、すぐに取り出せるという仕組みです。

録画してラベルを貼ったBlu-rayディスク
映像アーカイブのエクセルファイル

準備は大変ですが、商業誌で映画紹介の連載コラムなどをやっていると、すぐ候補作をピックアップして視聴でき、とても便利です。研究論文を書くために作家論ならその監督に関連するものをすべて検索して一気に観るということをやっています。目立ちませんが、こういう日々の努力が批評を書くにも研究をするにもかかせません。

動画配信サービスで視聴する

とはいえ、やはり動画配信が近年かなり充実してきているので、気になるシーンを見返すといった作業も楽になりました。便利さには勝てません。動画配信サービスもかなり重宝しています。ちなみに契約をしているのは以下。

・Netflix
・Hulu
・U-Next
・Amazon Prime Video
・Disney+
 
映画研究は毎日が筋トレみたいなもので、もうずっと最低1日1本は観るようにしてきました。夜ご飯の時に必ず観るので、特別忙しい何かを抱えていなければ、だいたい2〜3本は観ている気がします。昼間は仕事=研究をしているので、普通に映画を流します(同じ作品を何度も観たり、必要な箇所だけ観たり)。おそらく年間500本とか600本くらいは観ています。人にいうと驚かれるのですが、映画研究者は多くの人が歯磨きするみたいに映画を観ているのではないかと思います。というか、仕事なんで…。昔は映画を研究するのもお金がかかりましたが、今はこうしたインフラが整っているので衛星放送と動画配信をあわせても月1万円くらい払えば、どれだけ観ても追いつきません。

研究環境を整える

研究者というと研究室に山積みになっている本に埋もれて仕事をしている印象があるかもしれません。以前、『早稲田学報』2020年2月号で「教授の部屋」という特集がありました。机にスペースがまったくないほど本が積み重なっていたり、なぜかガスマスクや手榴弾があったり、研究室というのは個性が溢れていて面白い。

こういう研究室、昔から憧れていました。学者っぽいじゃないですか。でも、僕は無理です。この乱雑な研究室でもどこになにかあるか完璧に把握できていればいいです。そういう学者も結構いるように思います。が、僕は無理。だから僕の研究室や書斎はとても綺麗です。つまらないくらい整っています。東京工業大学にある研究室はこんな感じ。

僕は研究室でも自宅の書斎でも、書籍やDVDをカテゴリーごとに並べて整理しているのです。何がどこにあるか把握できないのは嫌なのです。必要な時にすぐに取り出せないのもストレスです。だから、僕は図書館のように資料を分類して視覚的にわかるようにしています。以下のように棚に見出しをつけ、映像資料も分類しています。僕が使っているのはキハラ株式会社の以下の商品です。

棚見出 プラスチック B
クリアインデックスE

棚見出 プラスチック B
クリアインデックスE

自宅の書斎は研究領域別にわけてはいますが、どちらかというと家で原稿を執筆することが多く、研究室ほど広くないので、棚見出を使って執筆中の本のテーマごとに本棚を分類することが多いです。単著や依頼された単発の原稿など並行して研究・執筆を進めていることがほとんどなので、執筆する本のテーマに関連する文献をまとめておくようにしています。次回は本の読み方や分析の方法について書こうと思っています。といっても読書術とか方法論の話ではなく、どういう道具を使って読んだり書いたりしているのか、そんな話です。

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