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秋田からの帰り道

おはよう御座います。

15年ほど前に、ある職人さんと出逢いました。
彼の作られる商品はとっても丁寧です。

身体が少し悪くて、耳も少し悪かったので、たまに意思が届かなかったりしました。

お母様にも優しくされてて、自分がしんどい時もあったと思いますが、そんな事をいっさい周りには見せずにいたけど、僕にはたまに話をしてくれていました。

仕事終わりに『飯食いに行きましょーよ!』

って誘ってもなかなか一緒に行ってくれないから、【俺,嫌われてんのかな?】と思った事もありますが、事情を聞くと、お母様と一緒に食べるから…と。
お母様をとても大切にされてるんだなぁと思うようなコメントが多かったです。

15年くらい前に出逢った最初は気難しい人だなぁと思いました。
僕が営業マンで、その方は、商品を買って下さっていました。簡単に言うとお客さんです。

難しいのは、商談の時で。
特に品質面で納得がいかなかったりしたら、全く意見を変えようとしませんでした。

しかし、段々と人間性が分かって来たら、気難しいのでは無く、純粋に真面目なだけなんだと気付きました。

10年ほど前のある日、夜遅く(18時頃)営業に伺わせて貰うと、その方が1人で倉庫で商品を作られていました。

めっちゃ丁寧でした。
僕は見ててとても楽しかったのを覚えています。
そして木材の事や特性を沢山教えて貰いました。
マジ、今まで見た中の丁寧さ部門で言ったら一位です。
(その方の話を帰って会社でも良くしていました)

僕はずっと近くで座って話をしながら、1時間以上、その丁寧できめ細かい作業を見ながら、コンビニ弁当を買って来て、食べながら見ました。

そして数年後、その方と共に働くことになりました。

その方に感謝している事は、沢山あるのですが、その一つは、一生懸命『今までの自分のやり方を共栄のやり方に揃えなければ』と確認しながら進めてくださっていた事です。
僕には色々伝わりました。

しかし、最初の頃は一緒に進めて行くのが難しかった時も多かったです。

【なんで俺のやりたいようにすんなりやらせてくれないんだ?】
【ってか、なんでそんなに消極的なんだよ】
とか思っていました。

一年間くらい、そんな時期がありました。

しかしある日、途中で考え方を変えました。

彼はネガティブな発言をしているのでは無く、心配事を教えてくれてるのだから、その心配事を全部解決すれば俺のやりたいように出来るんだ!と。 

そう思うと自分の至らない部分を教えてくださってると言うわけで非常に心強くなりました。

今思うと、そもそも、そんな丁寧なモノづくりの職人気質の方、と、営業でまぁまぁ大雑把でリスクがあっても、強引に進めていく僕の価値観が最初から合うことの方がむずかったんだろうな…と。感じます。

記憶にあるのは、棺を丁寧に補修していた時の話です。
米粒より小さなシミがありました。

僕『え?!このシミも取るんですか?!分かるっちゃ分かるけど』
彼『そうなんですよー。お客様がたまに言うんですよね!』
僕『でもコレは桐、特有の良さじゃないですか?』
彼『そうなんですよ。(言ってるんですけど)でも、お客様はそんな事知らないから…』
僕『えー。俺だったらコレお客様にお願いして分かって貰うように話すけどなぁ…』

とかって言いながら、話していた事が、数年後、一緒に働く事になり、この時の会話の事を、僕が実際に実行することになるなんて、そんな事、当時は思いもしませんでした。

実際にお客様にこの事を伝えて、何回か話して、『よし。分かった』と納得して貰った時は、2人で『桐の良さとして,分かってもらえて良かったですよね』
って話をした事を覚えています。

熱くプロ意識の高い人と仕事をさせて貰えた事が僕の価値観のベースになっています。

自分の考え方を変えてからは、彼とは非常に進めやすくなりました。
なんなら、逆に頼り甲斐があるようになり、話も内容もとてもスムーズに出来るようになりました。疑問があれば教えてくれるし。

何より本音で言いますと、一緒に熱く語れるから口論になったとて、僕はとても楽しかったです。


責任感も凄くて、僕が『休みを取ってください』と言っても、仕事が気になるので…と言って、たまに顔を出したりしてくれてました。言い出したら聞かないし。

でもこのまんまじゃ休めないから、増員しました。

その反面、僕がたまに無理なことをお願いしても、快く解決してくださるし、常に真面目に
【仕事とはどう言う事か】
…と言うことが分かっている、同じ価値観で働ける方でした。


それは以前の会社からずっと大切にされていた、
【いつもお客様を第一に考えて行動する】
と言う事だったんだと思います。

また、アイデアも素晴らしく、弊社の透明なフィルムが取り外し式になるように開発してくれたキッカケをくれたのも彼でした!

あれは、ここ数年で最高のヒットアイデアです!
実用新案とったし。

あともう一つ、
【見えないところも、手を抜かない】

一番の思い出というか、気持ち良い景色は、前半に書いた、夕方の倉庫で弁当を食べてた時の情景です。

関係性も、会社の組織と言うより、お客さんと営業と言う立ち位置で、歳上の方と歳下の自分、みたいな感じでした。

その中で、見たあの方の仕事ぶりは、本当に自分の脳裏に焼きついています。

あの時、多分、彼の仕事ぶりに惚れてしまってたんだろうな…って思います。

ありがとうございます。
ました。
ました。か。

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