中野の小劇場『ザ・ポケット』に行く
小劇場点在の街・中野
今回は劇場の話。そこで観た公演の話はさておき、別にどうってことないけど、書きたくなった。
新宿からJR中央線で5分、小さな劇場が点在する街・中野。
本多グループが街を劇場に育て上げた下北沢と異なり、それなりの規模の街に、ぼこぼこ小劇場ができたか。中野駅の南北、東中野なども含めれば10数か所はあるらしい。
ここに向かった日、中野駅の北口、南口でそれぞれ別の政党が演説していた、参院選も間近だ（と思ったら、その前にまだあった！→後述）。その喧噪から南西に、小粋な感じの飲食店街の路地を抜けて少し。
アマプロ交差の「ザ・ポケット」、規模はほぼスズナリ？
「ザ・ポケット」は、南口マルイの裏手南西側。隣接する「テアトルBONBON（約120席）」「劇場MOMO（約90席）」「劇場HOPE（約70席）」と同じポケットスクエア運営で、1998年5月にオープン。同グループ中で最大の客数約180席。小劇場としては大きめ（座席数170～230席の下北沢ザ・スズナリに匹敵か）？。その規模の割にか、そのせいか、アマチュアもよく使う、アマプロの交差点のような劇場（スズナリは専らプロ使用っぽい？）。といっても、未来の売れっ子を夢見つつも、懐が寂しく人間関係もそれほど広がっていない（＝観に来てくれる知り合いが多くない）若手役者（の卵？）は、もうちょい狭い劇場を使うのかもしれない。
HPによると使用料金は
ザ・ポケット 土日祝1ステージ104500円、2ステージ157000円
ザ・スズナリ 土日祝1ステージ105000円、2ステージ131250円
客席数、使用料金から見ると、規模的にはスズナリ的大きさの劇場と言えよう。照明、音響など実際の使い勝手はわからない。
舞台と客席の距離もほどほど、「品のいい」日常の劇場
ただ、客席の折りたたみ椅子はクッション性もそこそこよいし（補助椅子もパイプ椅子でなく、クッションあるもの）、客席自体の傾斜、舞台との距離もほどほど。演者が身近に見られる、ちょうどいい大きさの観やすい劇場な気がする（私見）。
そうそう、小劇場の中には、ブラックボックス、バーン！ 空調パイプバーン！ 照明器具バーン！ 塗りたての工作のような、生々しい“非日常”を前面に押し出しているところも少なくない（単に手が回らないだけかもしれない）。それはそれで味があり、「劇場（こや）に来たぜ」みたいなわくわく感は、緊張も伴う。
比して、なんだかここは「品がいい」。普通の社会人の感覚のまま、まるで普通の家を訪ねるように来てもいいというか。尖っていないというか、上演作品が尖っていることがあるにしても。
観劇を終えて外に出ると、勿論そこは住宅街。歓楽街にありそのまま興奮が続く他の劇場と違い、そういや自分も住宅に住んでいるなと思い出させる日常が出迎え、心は素に戻る、人によって好みはあろうが。
そのまま中野駅まで数分の道を歩き、おとなしく帰宅してもいいし、中野の歓楽街や飲食街で遊ぶのも自由。観劇の前後を日常のままで過ごすか、さらなる楽しみへと脳と足を運ぶかは、その人が選べる。中野という大きめの街の駅近にたたずむメリットか。
トイレは女子で個室が複数（2～4の間で記憶飛ぶ）。ホワイエは雑談できるほど広くなく、と言って、繰り返すが外はもろ住宅街で近隣迷惑となるため、観劇直前・直後の雑談もおちおちできないのが玉に瑕か。
隣の「テアトルBONBON」の次回公演案内。つかこうへいの熱海殺人事件を、元ジャニーズ・少年隊（2020年末退所らしい）の「錦織一清監修」が目をひく。人それぞれ、自分の世界で頑張っているようだ。
運営者の思いあふれる劇場、と、ほっこり
特段の思い入れがあったわけではないが、HPにある「ポケットスクエアの想い」に目を通していたら、なんだかほんわか、ほっこり。劇場を作りたい想いから都内の劇場を20年間巡ったとか、「いいものを安く提供すれば、みなさん来てくださる。」「使う人、観に来る人、ご近所。みなさんが喜んでくれる劇場に。」などなど。
そして、あれ、この前支配人・現顧問というこの方は、さっき劇場の前に立っておられた方ではないか？
劇場の公式ツイッターも、上演する作品をちゃんと見て「見に来てくださいね」と心からつぶやいているように感じる。
いい劇場です（きっと）、ころっとやられてしまった。。
コロナ禍に負けず、いろんな劇団と共に生き、素敵な運営を続けていただきたい。
……で、気づいたが、本日は区長選告示の日。自分の考えと政治的信条は全く無関係なので、さっさとあげておく。
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