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評㊱八月納涼歌舞伎第一部@歌舞伎座、3階A席5500円、イヤホンガイド値上げへ

 八月納涼歌舞伎第一部@歌舞伎座、3階A席5500円。
 「手塚治虫原作 日下部太郎脚本 新作歌舞伎 新選組二幕」
(11:00~12:13)、「三世河竹新七作 闇梅百物語」(12:43~13:38)の二本立て。

観るつもりのないものを観た、が

 いや、正直、観るつもりはなかった。
 が、ちょいと色気を出して、観てみようと思ったら、観るつもりのないものを観てしまった(なんだそりゃ)。が、それなりに楽しんだし、いろいろと勉強にはなったので、書く。

暑い暑い八月は“軽量級”納涼歌舞伎

 歌舞伎は基本的に一か月間は月初から月末まで同じ演目を続け、月替わりで演目と出演者が変わっていく。新春大歌舞伎だのだの。

 八月は暑い。真夏だ。昔も暑かった。客も暑いし、役者も暑い。舞台でも楽屋でも稽古場でも、役者は汗みどろだ(想像するに、今ほど暑くないにしても冷房はない)。
 というわけで、昔は主役級、重量級のメーンの役者たちが夏休みをとり、代わりに若手役者らが主役を張れる絶好の機会だったと聞く。演目もいわゆる本格的な歴史ものは扱われず、舞台上で水をばしゃばしゃ跳ね飛ばしたり、怪談物があったりと、まさに「納涼」、やや“軽量級”の月。
 勿論現代は稽古場や楽屋にエアコンが効き、主役級役者も出演するわけだが。毎月必ず歌舞伎を観に行くわけでもない自分としては、あえて選ぶこともない。

コロナ代役を観にきたはずが、復帰の日だったww

 が、コロナ降板した役者の代役が意外性があり好評、みたいなネット記事を読む。
 なになに、
 歌舞伎ってすごい…コロナ感染者代役のクオリティーの高さ 思わぬ形であこがれの役に挑んだ勘九郎(日刊スポーツ 8/21)
 第一部の「新選組」では主演の深草丘十郎役の中村歌之助、親友の鎌切大作役の中村福之助が感染のため休演した。その窮地を救ったのは2人の従兄でもある中村勘九郎、七之助だった。
 ……へー、では!

 と行った。客は多いな。みんな代役見てみたいのかな。あれ、どう見ても、若者が出ているぞ。

 中村福之助&歌之助、コロナ感染から復帰「2回目の初日のつもりで」代役つとめた勘九郎&七之助に感謝(スポーツ報知 8/27) 
 中村芝翫、三田寛子夫妻の次男・中村福之助と三男・中村歌之助が26日、歌舞伎「八月納涼歌舞伎」(30日千秋楽)の第1部「新選組」に復帰した。2人は新型コロナウイルスに感染し、休演していた。

 なんと、本来の若者が復帰した日だった。あはは。まーいいや、恢復おめでとう。

いろいろあるね、歌舞伎の世界

 に、追い打ちをかけるように(用法が違うが)
 三田寛子が別居認める 夫・中村芝翫の別宅訪れる女性について「主人は主人、私は私」(NEWSポストセブン 8/28)
 の報。いやー、歌舞伎の世界はいろいろありますな。
 
つい最近、
 香川照之がテレビで生謝罪…性加害に「申し訳ございません」サントリー、今後のCM出演は「検討中」(スポーツ報知 8/27)
 もあったし。

一番のニュースは「イヤホンガイド」値上げ!!

 で、本題(?)に入る前(入るのか)の一番のニュースは、歌舞伎座イヤホンガイドのレンタル料金が9月から値上げ!!

イヤホンガイドのレンタル料金700円から800円に

 そりゃ、素人ですから、イヤホンガイドは毎回借ります。
 これが、700円⇒800円!!! えええええ。何でもかんでも値上げの時代とは言え。
 事前にネット予約すれば700円らしい
が、まず最初は戸惑うだろうな。
 むむむ。ま、先に知っておいてよかったか。

若者の顔は丸く、声はいわゆる張る

ロビーにあったハガキ。「おひとりさま一枚でお願いします」

 そう、新選組に出てきた、深草丘十郎役の中村歌之助(20)(芝翫の三男)、親友の鎌切大作役の中村福之助(25)(芝翫の次男)、はいずれも顔がふくふくしていた(=しわがない)。若さの肌艶か。
 そして、声は、張っている。そう、どこかの小劇場のような。それがわざとなのか、どうかは不明。

 比すると、周囲の老練な役者たちが、声をあえて張ったように聞かせず、それでも朗々と響いてくるように思う(思うだけかもしれない)。
 年輪の差、なのか?
 歌之助も福之助も既に芸歴10数年以上であろうが。

手塚治虫と骸骨を観て夏がゆく

 手塚治虫原作の新選組。上手と下手に劇画っぽい立て看板みたいなのが立っている。途中、ふすまに大きな「火の鳥」が。ブラックジャックなどおなじみのキャラも登場。へえええ。こんな感じか。

 闇梅百物語、は、のっぺらぼうだの、一本足の傘だの、河童だの、狸だの、雪女郎だの、七之助の舞、親子三人組の骸骨踊り。

 中でも骸骨だ。もうね、歌舞伎役者は名前をドンドン変えるので自信ないが、六代目中村勘九郎、三代目勘太郎(11)、長三郎(9)。

 確かにかわいい。てか、こんな小さい時から大舞台を何度も踏めば、そりゃ「上手く」なる。
 もう少し大きくなったら、なぜ自分がここにいるのか、悩むのか、悩まないのか。
 20歳前後から演劇を志して自ら飛び込んでくる人たちとは、全く違うわけだ。どっちがいいともいえない。ただ、歌舞伎の人たち、中でも「血筋」のある人は物心ついたら、もうそこにいるんだ。。
 へー、歌舞伎ってこういう風に観るのか、的な。
 微妙な感想と共に、夏がゆき、秋が来る。 


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