【平家物語】巻03_07 少将都帰
京に帰還した成経が向かったのは、教盛の門脇邸ですから、いまの六波羅蜜寺の近所。康頼が向かった双林寺はいまの円山公園の近所。七条で分かれなくても、門脇邸は円山公園に行く途中じゃん…とか思ったんですけど、そこまで一緒に行っちゃうと、康頼は清盛の本拠地六波羅を縦断することになるから、迂回したんですかね~。
なんとなく名残惜しくて、車は二台あるのに一緒の車にのる二人。ほほえましい。ほほえましいんだけど、既にこの人たち、俊寛のことは過去にしてますね。
3人旅行で2:1になったときの、なんともいや~な状態を彷彿させます。
最初、成経と家族の対面シーンにしようと思ってたんですけど、読み直したらここが描きたくなって、こっちにしました。
成経は、肥前(長崎・佐賀)→備前(岡山)→鳥羽→京と移動していきます。戻るのは嬉しいんだけど、うれしいんだけど、体が戻るだけで、戻らないものだらけなんだ…っていう自覚が、じわじわ積もっていくんですよね。我が子の成長だって見られなかった。そのせつなさがピークに達してるシーンが、今回のシーンです。
クレバーな人ではないんだろうけど、でもホントに幸せに苦労なしで育ってたんだろうなーって思える、好きなシーンです。父親の成親は、政治的な立ち回りを見てると、そんなにイイ奴には思えないけど、でも成経にとっては、そんなこと関係なく普通のお父さんなんですねぇ~。
康頼が帰郷後に書き著した「宝物集」は仏教説話集です。島流しに遭ってもうダメだ…と思ったところから戻ったことで、信心が深まったんですかね。