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【平家物語】巻03_14 金渡


また重盛は、「我が国ではどんな善行を積もうとも、子々孫々まで後世を弔ってくれることはまず無い。他国に依頼したい」と考え、九州に住む信頼できる人物を呼び寄せて500両を渡し、三千両を宋に運んで育王寺の僧と宋の皇帝に贈り、後世の弔いをしてもらうという手配を依頼した。
使者を迎えた僧侶も宋の皇帝も、重盛の申し出に感動し、こうして今も宋の国では、日本の大臣・平重盛の極楽往生を願う祈りが続けられているのである。

さて、前章段から引き続き「重盛さよならエピソード」です。
「え…あんた、日本の大臣として宋国の医療は受けられませんって言うてたやん…。医療はダメだけど御祈祷はOKってどんなダブスタ…」などと思うわけですが、平家物語の語り手はそんなツッコミは一切しません。これはプライベートな依頼なのでセーフ、ってことなんですかね。

このお話の中では「今も重盛の往生を願う祈りは続いてます」と〆てますが、21世紀を生きる我々は中国でそんな祈りなんて続いてないことを知ってるわけでして。
ただ、彼の魂安らかであれという祈りは、ある意味この「平家物語」のなかに続いているとも言えます。
ちょっとしんみり考えさせられてしまう章段です。