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【平家物語】巻03_04 公卿揃


清盛の娘・徳子の御産では周辺のトラブルが相次いだ。
まず、御産のときには御殿の屋根の上から甑を落とすのが習いだが、これは生まれた子の性別によって落とす方向が違う。
このたびは男子誕生なので、本来は南へ落とすべきところを、誤って北へ落としてしまったのだ。
また、御産の日、7人の陰陽師が招かれ、儀式を行っていたのだが、その中の一人、安倍時晴が、六波羅池殿に集まった貴族たちの混雑に巻き込まれ、冠を落とされた情けない姿をさらす羽目になってしまった。
どれもひとつひとつは小さなトラブルだが、その後の平家一門の辿った運命を思うと、それも全てあの結末に繋がっていたのか、と後に思いあわされるのだ。
その後の運命はともかく、御産の報を受け、公卿たちは軒並み六波羅へ参上した。今このときの平家は絶頂期である。

こういう漫画を描くときに一番困る、平家物語恒例の「揃モノ」です。
しかし今回は名前羅列だけでなく、エピソードも紹介されてるので、まんがにする側にとってはありがたい…。
陰陽師というと、平家物語のクライマックス・壇ノ浦合戦で、イルカの群を見かけて占う陰陽師がいますが、あの人の名前は安倍晴信。この時晴はお年寄りらしいので、祖父と孫とか、わりと近い親戚だったりするんですかね。
甑のエピソードまで入れることができなかったのは残念。
陰陽道では北は陰、南は陽だったと思うので、北が女で南が男ってのと対応しますね。間違えて落とした甑落し係が、その後どんなお叱りを受けたのか、気になります…。めっちゃ怒られたか、もしくは清盛上機嫌だから「いいよいいよ」で済んだのか。
(清盛の性格的に、なんとなく後者になりそうな気がしますが)

章段名通りにそろった公卿の皆さん、平家物語によく名前が出てくるメンバーとしては、平家一門のほかでは、太政大臣の妙音院藤原師長(頼長の息子)、大納言藤原邦綱(重衡妻である輔子の父親)、源通親(後に頼朝と組んで九条兼実を蹴落とす)、高倉院の恋人・小督の父親である藤原成範(平治の乱で捕らえられて死んだ信西の子)、巻2「座主流」で明雲処罰に反対していた参議・藤原長方などなどの名が出てきています。この漫画では代表で、基房&兼実兄弟に登場していただきました。

あっ、ひょっとして兼実は各話紹介に登場したのって始めてかな? 兼実、表面上は基房とはわりと当たり障り無く付き合ってるんですよね。
基実親子に対しての罵詈雑言っぷりとは結構違う。基房は、殿下乗合事件とか盛子の遺産騒動での暗躍のイメージで、わりと恰幅の良いおっさんでもいいかなーと思ってたのですが、
肖像の顔がキリっとした面差しだった(まぁ当時の絵なのでふっくらなんだけど)ので、神経質そうな顔だちにしてみました。このとき33歳。兼実のほうは29歳。わ、若いわ二人とも…。