【平家物語】巻01_11 殿下乗合
お馬さんを描くために、動物ポーズ集を見るわ競馬の本を見るわ、写真集も漫画も馬が載っているものは全部かき集めました。疲れた……。このまま描き続けるうちに、もうちょっと巧くなっていけるとよいのですが。
さて、このお話。
この展開には平家物語作者の脚色がずいぶん入っていて、本当のところ、激怒して仕返ししたのは父である重盛だったというのが、『玉葉』に記されているのは有名な話です。
藤原基房というのは、清盛と昵懇で、清盛の娘・盛子を妻にしていた藤原基実とは腹違いの兄弟。基房と基実は不仲です。資盛が憂さ晴らしのターゲットにされたのも、舐めんなよとばかりに重盛がやり返したのも、重盛が親バカだった……というだけではなくて、政治的思惑もあったのでしょう。
資盛のお出かけの状況も、実際は、このまんがのような「鷹狩り帰りの騎乗」ではなく、女車に乗ってお出かけしてるところだったそうです。ということは、お仕事モードではなく、ごく私的な軽いお出かけ。どこ行ってたんでしょうね。このとき資盛は小学6年生くらいの年齢。恋人のところ……ってのはちょっと早い気もしますが。
摂政の従者にいいようにボコられちゃうあたり、小生意気な子だったのか、ただのぼんやりさんだったのか、どっちだったんでしょう。「建礼門院右京大夫集」を読んでいる限り、かなり「カッコつけ君」のようなので、前者だったのかなとも思いますが。
平家物語でのこの「殿下乗合」の描写ですが、摂政の従者のなかには、相手が清盛の孫であることをわかってる奴もいたけど、ボコりたかったから敢えて黙ってた……っていうくだりが、なんだかいかにもアリそうで、面白いです。プロ野球の乱闘で、嬉々として遠くから走ってきて乱入してる人みたいな。あれっ、でも今も乱闘ってあるのかな?昭和の風習?