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ある日の理科の宿題がきっかけで、

中学3年生の夏か秋くらいのことだったと思う。

その頃の私は、研究のために大学院に行く自分なんて全く想像していなかった。特に熱心に勉強をしていたわけではなかったが、成績はそれなりに良く、進学校を目指すこともできたが、私が志望していたのは工業高校のデザイン系の学科だった。漫画家マンガを読んで、漠然と漫画家に憧れていた私は、絵を学ぶために美術系の高校に行きたかった。だけど、美術科を目指せるほど美術をしっかり学んだこともなかったので、そんな私でも入学できそうで、かつ、絵が描ける時間がたくさんあって、漫画家を目指すのに良さそうだという理由で志望していた。

夏休みが明けた2学期、ある日の理科の授業で、夜空の星の動きを観察しようというのがあった。出された宿題はちゃんとやるタイプの中学生だった私は、小学校でもらった星座早見盤を持ち出したりしながら、1時間ごとに夏の大三角の3つの星の動きを観察し、先生から配られた記録用紙に記録した。

宿題を発表する日が来た。同じクラスには30人ほどの生徒がいたが、この宿題をやってきたのは私を含めてたった2人だったため、自分の観察結果を発表せざるを得なくなった。星座早見盤を見たりして、星の名前まで記録していた私は、自分の結果に相当自信があり、堂々と黒板にその結果を書き込んだ。そして宿題をやってきたもう1人の子も結果を黒板に書き込んだ。その子の結果は私とは真逆だった。

私は、南の空にある星を、西から東へと動くという風に記録していたのだ。逆にもう1人の子は、東から西へ動く、観察していた。理科の先生は、2人の板書後、南の空の星は東から西へと動くのが正しいですよと教えてくれた。私は間違えて観察していたのだ。星の名前まで調べて、熱心に取り組んだのに、空回りして間違ってしまったことへの悔しさと恥ずかしさでいっぱいになった。

ただ、この時の私にはもうひとつ、「どうして?」という感情も強くあったんだと思う。星が東から西へと動くという事実に納得できなくて、その正しい理屈を知りたいと思い、その日の放課後、図書館へと向かった。(もしかしたら先生が間違ったこと言っていて、私が正しいかもしれない、それを確かめたいという気持ちもあった気がする)

天文・宇宙関連の本は数十冊程度しか並んでいなかったため、どれを借りようかそれほど迷うことなく、初学者向けの本を借りて読んだ。(この時に読んだのかわからないが、この駒井仁南子さんの本を初学者だった頃に読んだ記憶がある。私が読んだ時は黄色い表紙だった。https://www.amazon.co.jp/dp/B074C3D2JQ/ref=dp-kindle-redirect?_encoding=UTF8&btkr=1)

そこからどういう風に宇宙沼にはまっていったか定かではないが、きっとシンプルに「宇宙すげー」という驚きやワクワク感に引っ張られて、自然と色々な宇宙の本を読み漁ったのだろう。そしていつの間にか私の夢は、天文学者になって宇宙の事を研究することになっていた。そして、志望高校を工業高校から進学校の普通科に変えたのが11月か12月のこと。

日頃の真面目な授業態度と定期テストでそこそこの点を積み上げてきたためか、無事に合格することができた。


その先から今に至るまでのお話はまた別のノートに。

たった一つの宿題が、私の人生を少しだけ変えてくれましたというお話でした。


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