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大学構内でアウトなケシを見つけた話

ある日、友人3人と大学構内を歩いて食堂に向かっていると、何やら赤い花が目に入ってきた。

遠目に見ると、ケシの花であることがわかったが、いつも見かけるナガミヒナゲシなどのケシとはどこか雰囲気が違う。近づいてみてみると、やはり見たことのないケシである。

ここで、ケシという植物について軽く説明しておこう。ケシはキンポウゲ目ケシ科ケシ属に分類される植物である、𝘗𝘢𝘱𝘢𝘷𝘦𝘳 𝘴𝘰𝘮𝘯𝘪𝘧𝘦𝘳𝘶𝘮のこと、またはケシ属に分類される植物の総称で、𝘗𝘢𝘱𝘢𝘷𝘦𝘳 𝘴𝘰𝘮𝘯𝘪𝘧𝘦𝘳𝘶𝘮を含む一部の種はアルカロイドのモルヒネを含み、アヘンの原料となる。そのため、あへん法により、アヘンの原料となるものの栽培などは禁止されている。これが、私の言う「違法なケシ」ないし「アウトなケシ」である。

ところで、私はこのケシを見つける少し前に、Twitterで違法なケシに関する注意喚起ツイートを見ていて、違法なケシと合法なケシの識別点について軽く調べていた。

そのおぼろげな記憶を辿ってみると、目の前のケシは違法なケシであるように思えた。

とはいえ空腹であったので、一旦食堂で昼食をとったあとに改めて確認することにした。

昼食をとり、ケシを見つけた場所に戻ってみると、当然のことであるが、まだそこに生えていた。

ケシを観察しながら、スマホで違法なケシと合法なケシの識別点を調べてみる。そして、目の前のケシと比較してみると、明らかに違法なケシである

違法なケシと合法なケシの最もわかりやすい識別点は、葉のつき方と形状だ。合法なケシであれば、葉は茎を抱かず、深い切れ込みが入る。しかし、違法なケシでは、葉に葉柄がなく、葉は茎を抱き、深い切れ込みは入らない。

ここで、問題のケシを改めて見てみよう。

問題のケシの葉

葉柄はなく葉は茎を抱き葉に深い切れ込みは入っていない

やはりアウトなケシである。

いつか見たいと思っていた植物を自分の手で見つけた私はめちゃくちゃハイになっていた。それはもうアヘンをキメたくらいに。(もちろん、麻酔を打たれた以外でアヘンをキメたことなどない。)

さて、アウトなケシを見つけたからにはするべきことがある。

そう、通報である。

違法なケシを見つけたからには、通報するのが市民の義務というものだ。私はスマホを開き、110という電話番号を打ち込んだ。人生で初めての緊急通報である。アウトなケシを見つけたこと、見つけた場所、自分の氏名と電話番号を伝えて、警察を待つことにした

一緒にいた友人のうち2人は3限の講義に出るため離脱し、1人が残った。2人で警察を待っていたのだが、警察が一向に来ない。しばらくして、折り返しの電話がかかってきた。

大学に立ち入りの許可をとっていたそうである。私は興奮してそこまで気が回っていなかったが、確かに警察が大学に立ち入るのには許可がいるだろう。これを読んでいる方々はケシを見つけたことを通報する前に、大学に連絡するようにしてほしい(そんな機会はそうそうないだろうが)。

ちなみに、警察が来るまでの間、私と友人は他にもケシがないか探していて、最終的に12本も見つけることができた。

そうして、しばらくしていると、警察の方々と大学の職員さんがやってきた。警察の方々には、麻薬を専門としているらしき人がいて、ケシを見て確かに違法なものでいると確認していた。

結局、生えていたケシは全て警察に持っていかれ、この事件は幕を引いた。回収されたケシは全部で13本。どうやら1本見つけられていなかったらしい。

違法なケシを見つけたときの嬉しさは半端ないので、ぜひこれを読んでいる方々も探してみてほしい。

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